【ANNA SUI】アナ・スイにインタビュー。「人の手による仕事の価値を残したい」

世界で活躍する8人の視点。デザイナーが未来に紡ぐもの

一流のモードの作り手たちは今どんなことを考えて、何を見据えているのか?クリエイティブな才能を発揮し続ける8人に、未来への希望を聞いた

世界で活躍する8人の視点。デザイナーが未来に紡ぐもの

一流のモードの作り手たちは今どんなことを考えて、何を見据えているのか?クリエイティブな才能を発揮し続ける8人に、未来への希望を聞いた

アナ・スイプロフィール画像
ANNA SUIアナ・スイ

米デトロイト出身。NYのパーソンズ美術大学を卒業後、1981年にブランドを設立。’91年にランウェイデビュー。多様な文脈をミックスしたロックな感性で世界的に人気に。現在、回顧展『THE WORLD OF ANNA SUI』が各都市を巡回中。

SPURがアナ・スイを紹介したのは1996年。以来、ソフィア・コッポラとの対談から、歌舞伎のバックステージ訪問、スカンジナビアや上海の旅まで、数々の特集に参加してくれた。
「SPURの服のセレクション、スタイリング、特集のすべてが大好き。日本語を読めなくても、ファッションのみならず、エンターテインメントや文学の世界について何をどう追いかけているのか見てとれる。その世界的な関心と、常に最新のカルチャーを学び続けたいという点で、私たちはとても似ていますよね」

振り返ると「本当に幸運で、たくさんの人々に支えられてきた」と語る、ブランド設立からの44年間。その支持の理由は"リアルさ"にあると分析する。
「背後に生身の人間の愛情が込められているのを知っているからでしょう。テキスタイルやコンセプト、インスピレーションを分かち合いたいという純粋な気持ちをずっと大切にしています。それはTikTokやほんの数秒の何かではない、永続的なものなんです」

そして今、トレンドに左右されない一貫した世界観は、新たなファン層を惹きつけている。
「私のデザインが今の若い人たちに支持されているのは驚き。90年代の写真を掘り返しているようですね。当時の服を再現してほしいという依頼も多いんです」

デザインを通して未来に残したいものは、迷わず「クラフツマンシップ」と答える。
「テクノロジーのおかげで"人の手で作られた風"のものが増えましたが、昔のやり方がやっぱり好き。誰かがその色を生地に塗ったとか、刺しゅうしたとか、そういうのがわかるもの。今後それはもっと必要とされるでしょうね」

アナには映像作家、俳優として活躍するジーニー&チェイス・スイ・ワンダーズ、ランジェリーブランドを始めようとしているイザベル・スイという姪がいる。彼女たちのような次世代には何を伝えるだろう。

「クリエイティブで意欲的な彼女たちを誇りに思います。ただ、時間がたつ速さにはなかなか気づかないものね。私は何十年間も常に次のコレクションを考えるあまり、その瞬間を楽しむことができなかった。今は多くの若者が簡単に有名になろうとしていますが、その裏に多くの仕事があることを忘れてはいけない。継続的に努力し続けなければならないことを、彼女たちは私のキャリアを通して理解しているでしょう」

「モットーは夢を生きること」というアナだが、現実は夢以上のものとなった。
「ブランドを始めた頃はこれほどグローバルに展開されるとも、これほど長く続けるとも思っていませんでした。私はただロックンロールなスタイルを作りたかっただけ。友人たちもこんなに長く仕事を続けるつもりはなかったと冗談を言うほど。今から20年後、30年後も私が作った服を好きでいてくれる人がいる。デザイナーとしてそれ以上望むことはありません」

【ANNA SUI】アナ・スイにインタビの画像_1

こよなく愛するクラフツマンシップとアートを凝縮した過去のコレクション。

サイケデリックなモチーフをリーバイス®のデニムにハンドペイントした2018年春夏のルック

【ANNA SUI】アナ・スイにインタビの画像_2

手織りで描かれた温かみのあるテキスタイルを採用した2016-’17年秋冬

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パンクとパイレーツを融合させた2007年春夏では、精巧なディテールや異なるテキスタイルをミックス&マッチ

【ANNA SUI】アナ・スイにインタビの画像_4

アメリカンデザイナーとしてのアイデンティティを反映させた2017年春夏。ウエスタンシャツにはハートの手刺しゅうをあしらって

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