2024年6月6日(現地時間)、スペイン・バルセロナでデシグアルの2025年春夏コレクションが発表された。今年で40周年を迎えるブランドが変わらず大切にしてきたのは、創造性、革新性、そして喜びだ。新たな旅の始まりとなるメモリアルなファッションショーを、エディターがリポート。
1984年、創業者のトーマス・メイヤーによりバルセロナで設立されたデシグアル。スペイン語で“他とは違う”を表すブランド名のとおり、デシグアルのアイテムといえば、カラフルな色使い、大胆な柄やデザインがトレードマーク。ファッションを通して自由とオーセンティシティ、そして前向きな生き方を提案する姿勢はグローバルに支持され、現在は109カ国で展開されている。
また、“Glow Up”(grow up+glow)の精神で、気鋭のデザイナーとのコラボレーションコレクション、AIを駆使したオンデマンドコレクション、次の40年の鍵となるサステイナブルなコレクション製作などを推進。リブランディング、リポジショニングにも積極的に取り組んでいる。
創造性、革新性、そして喜びの詰まったスペシャルな2025年春夏コレクションショー
記念すべき2025年春夏コレクションショーのメインテーマは、“Reflections”。「地中海」「夏の夕暮れ」「1890年代と2000年代」「サーフィン」「バルセロナ」にインスパイアされ、アーカイヴを現代的に再解釈した40体のルックがお披露目された。
特別なランウェイショーの舞台は、デシグアルの本社にもほど近い、地中海を臨む遊歩道。この時期のバルセロナの日没は21時過ぎなので、ショーのスタート時間である20時45分は、太陽が照りつけていた夏の青空がドラマティックに変化していくまさにそのときだ。ショーのテーマである“Reflections”を体現するようにいくつも並べられた鏡には、美しい夕焼けの空が映り、海と夕暮れを一度に楽しめる粋な演出としても機能していた。
スペシャルコレクションの栄えあるファーストルックでモデルを務めたのは、俳優・モデル・作家として活躍し、デシグアルのミューズのひとりでもあるハリ・ネフ。
スカイブルーからオレンジ、パープルへと移り変わる美しいカラーグラデーションが目を引くシアー素材のドレスは、まさにこの日、この時のバルセロナの風景を象徴しつつ、デシグアルの輝かしい未来を予感させる。
ノットディテールで遊び心をきかせたボディスーツに、パネルにミラー加工をほどこしたフリンジスカートを合わせれば、カジュアルシックなパーティスタイルが完成。スカートはレイヤードアイテムとしても活躍しそう。
「Lettering」シリーズは、ブラック・ホワイト・レッドの力強いカラーパレットが特徴。フラワープリントのミニドレスには、シルバーのスニーカーやセルフレームのサングラスで、フューチャリスティックな味つけを。
ピンク×ライトブルーの配色がどこかサイバーメタリックな視覚効果も生み出す、リブニット素材のセットアップ。カラーレスで艶感のあるメイクアップやタイトなヘアも、ミニマルなルックによくマッチしている。
ブランドのシグニチャーであるデニムのパッチワークでライダースジャケットを表現。デシグアルの過去・現在・未来をつなぐこのキールックでモデルを務めたのは、創業者トーマス・メイヤーの長女、アンドレア!
これからのデシグアルを象徴するようなラストルックを飾ったのは、ハムリン姉妹のひとりとしても注目されるイット・モデルのアメリア・グレイ。
フラワープリントやスパンコールをあしらったロマンティック・ボーホーなVネックトップスに、トーマス・メイヤーの娘・ガラがデザインを手がけたアクセサリーがよく映えて。カーゴパンツを合わせ、ヘルシーにまとめているのが現代的。
マルチウェイで使える人気のバッグシリーズ、「Voyager」のマキシバッグがランウェイにも登場。アウトドアムードの漂う配色やディテールをスタイリングのアクセントに。
ヒールがハートの形にかたどられ、反転した「D」の文字を大きく配したサンダル。デシグアルが大切にしてきた、ファッションの喜びや情熱を体現するアイテムだ。
ブランドのアイデンティティである“他とは違う”スタイルをセレブレートするため、ショーに出演するモデルたちの顔ぶれ、そしてスタイリングも個性豊か。
40周年のアニバーサリー、かつ近年取り組んでいたリブランディングの節目としてのショーだけあって、世界中のインフルエンサーやメディア、そしてバルセロナ社交界の著名人を含む400名以上が来場。日本からは、振付師でアーティストのRIEHATAさん、モデル・DJのAMIAYAのふたりが渡西した。ショー終了後、二組のショートインタビューに成功!
RIEHATA(振付師・アーティスト)
−−ショーの感想は?
普段、ダンスの仕事をしているので、ファッションショーに招待していただくのは珍しいことなのですが、今回のショーには私が今欲しいインスピレーションやエナジーが詰まっていて、本当に来てよかったな、と。世界のどこにいても大切なモットーであり、デシグアルのブランドの根本にもあるジョイや情熱はもちろん、自分が楽しいと思うスタイルや生き方を大切にすることの重要性が伝わってきました。
−−会場ではエネルギッシュなダンスも披露していましたが、デシグアルのドレスの着心地は?
それがとっても動きやすいんですよ! 鮮やかな色やパターン、ユニークなデザインながら、ファブリックが軽くて柔らかくて。ストレッチがきいていて着心地が良いので、すぐに動き出したくなってしまいますね。
−−トーマス・メイヤーさんに会ってみて感じたことは?
まずは、ジャケットに落書きをする陽気さや遊び心に心を打たれました! 誰にも分け隔てのない笑顔で「今日のショーを楽しんでね」と声をかけてくださって、あまりにカジュアルなので一瞬、オーナーだということを忘れてしまうくらい(笑)。世界中で愛されるブランドの象徴というか、彼のパーソナリティがクリエイションにも反映されている気がしました。とてもフレンドリーで優しかったです。
−−40年後も変わらず持ち続けていたいものは?
子供の心! 「楽しい」とか「うれしい」とか、そういう気持ちはずっと変わらないもので、情熱や愛情が大きくなることはあっても、私自身はずっと少女のまま生きているんだと思います。ファッションが好きで、カラフルなものが好きで、大好きなダンスで見ている人を元気にさせたい。こういった気持ちは子供の頃から自分の根っこにあるので、これがなくなってしまったら仕事をどんなに頑張っても意味がないんです。子供の頃に芽生えた情熱や「好き」という気持ちは、40年後も変わらずに持っていたいな、と思います。
AMIAYA(モデル・DJ)
−−ショーの感想は?
AYA:バルセロナの夕暮れとマッチした美しい空間で、開放的な気分でショーを楽しめました。これからの季節にぴったりなアイテムがたくさんあったので、来年の夏、海に行く時などに着たいな、と思いました。
AMI:やはりデシグアルらしい色使いやパターンが印象的でした。ブランドのアイデンティティを感じさせつつ、今の気分に合うようアップデートされているのが新鮮だったと思います。
−−コレクションで気になったアイテムを教えてください。
AYA:夕陽をイメージしたようなグラデーションカラーのドレスや、スパンコールが付いたスカートが気になりました。
AMI:私もグラデーションカラーのドレス、それからキールックとして登場していたデニムのパッチワークアイテムです。
−−バルセロナに来たからこそ感じたデシグアルの魅力は?
AYA:これまでもデシグアルのコレクションを着たり、パーティに参加させてもらったりしていましたが、今回バルセロナに来たからこそ、ブランドがどんな思いで服作りをしているのかが伝わってきました。この街は人もハッピーだし、温かいし、さらに好きになりましたね。“他とは違う”というブランドネームに込められた意味も、バルセロナに来てショーを観たことで、より理解できた気がします。
AMI:ショーに招待されたゲストの中にはファッションウィークでよく顔を合わせる人もいましたが、みんなそれぞれのスタイルを持っている人ばかりで。ゲスト選びにもデシグアルらしさを感じました。
−−気になったゲストについても教えてください。
AYA:隣の席に座っていたミランダ(・マカロフ)やクララ・ベリー、それからキキ・ヤン・チャン。みんな個性的なスタイルを持っていて、私たちも刺激を受ける人たちです。ミランダはすごくハッピーでいつも優しくしてくれて大好きなので、隣でうれしかったですね。
AMI:あの空間で、ファッションの本質的なところを感じられたというか。ファッションが本当に好きな人が集まっていて、そんな雰囲気の中でショーを観られて、ファッションっていいよね、と改めて感じられた時間でした。
フォトコールでグローバルゲストのスタイルをチェック!
ファッションショーは演出や音楽も含め、多角的にコレクションに触れられるだけでなく、来場ゲストたちの着こなしチェックも楽しみのひとつ。思い思いに着飾った彼女たちの、リラックスしながらも自信に満ちた表情にも注目したい。
パリス・ジャクソン
「デシグアル × ステラ・ジーン」のブラックミニドレスで登場したパリス・ジャクソン。端正なシャツカラーとゆったりしたパフスリーブ、スリムなコルセットウエストのバランスがユニークな一着だ。
エステル・エクスポシト
スペインの俳優、エステル・エクスポシトが選んだのは、マルチカラーのトロピカルプリントがあしらわれたベアトップドレス。伸縮性のあるチュール素材が、しなやかなボディラインに寄り添って。
ティラン・ブロンドー
すっかり大人になったモデルのティラン・ブランドーは、ノースリーブのカットアウトTシャツ&カーゴパンツでカジュアルシックな着こなしを披露した。足もとにはハイヒールサンダルを合わせ、エレガンスをひとさじ。
ブランドを育んできた地中海文化、そして過去に発表してきた革新的なクリエイションにリスペクトを払いながらも、留まらずに進化し続ける強い意志の表明ともなった今回のコレクション。次の40年をともに歩む私たちに、デシグアルはどんな驚きと喜びをもたらしてくれるのだろうか。
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