パーソナルな視点でジュエリー選びを楽しんでいる清水奈緒美さん。独自の審美眼による新しい宝石とのつき合い方を指南する。第3回にピックアップするのは思わずコレクションしたくなるアイコンチャーム。
LとVのフォルムを組み合わせるとプレイフルな造形に。ボリューム感もモードマニア向き。
メゾンの頭文字をかたどったイエローゴールドが印象的な「LV ヴォルト」のブレスレット。LとVをツイストさせたように配置されたメタル部分は、セーフティクラスプをはずして、プッシュボタンを押しながら開閉して身につける。その一連の所作にルイ・ヴィトンらしさが込められていると清水さんは考えている。
「アーカイブで、南京錠の形をしたパドロックのついた小ぶりなボストンバッグを愛用しています。LV ヴォルトのブレスレットのクラスプをはずしたときと、そのバッグについている、ゴールドの鍵をかちりと開けるときの感触と似ていると思いました。創業当時は高級トランクから始まったというエピソードもありますし、ルイ・ヴィトンのアイテムは旅とは切り離せないものだと感じています。このジュエリーも同じ空気をまとっていますよね。旅先で自分や誰かにお土産を買うような、気軽さや遊び心が込められているなと」
手持ちのブレスレットと重ねてつけても表情豊かに仕上がる。シンプルなデザインだけど、イエローゴールドの力強さもメゾンらしい持ち味に。
ピンクやブルー、グリーンなどカラフルなコードとゴールドのメタルの組み合わせはスタイリング心をかきたてる、と清水さん。
「上質なジュエリーでありながら、シリアスになりすぎない表情を持ち合わせているところも魅力的です。カラフルなコードを重ねるとミサンガのよう。向かう先での幸運を祈るように、ストーリーを思い描いてみるのも楽しい。また、色のチョイスやメタルのボリュームなど、ユニセックスなデザインであるところもポイントです。金具部分とコードは取りはずせてつけ替えることができるので、好きな色のコードに変えたり、重ねづけできたりと自分らしいスタイリングに引き寄せられます。旅先でもさらりとジャケットを着こなす、マチュアな女性像にぴったりなのではないでしょうか」
今季、ゴールドを掛け合わせた組紐のようなデザインが仲間入りする。伝統工芸品を思わせる意匠もメゾンならでは。
「モノグラムも日本の家紋から着想を得ていると聞いたことがあります。さまざまな国の文化を感じさせる点も素敵ですよね」
スタイリスト。ファッション誌の編集者を経て、2010年よりスタイリストとして独立。ものを選ぶ審美眼にファンも多数。モード誌を中心に、広告や俳優のスタイリングも手がける。