「ひとりっPの突撃ワンダートーク in The World」、略して、「突ワン」。第3回めのゲストはファティマ モロッコの代表でありバイヤーの大原真樹さん。年末年始に2回放映されたNHKの人気番組「世界はほしいモノにあふれてる」でのドキュメンタリールポが楽しいと話題になり、モロッコへの注目が高まっている中、ショップにおじゃましてお話を聞きました。モロッコへの渡航累計90回、さらに5年前に、ひとりっPともモロッコを旅したことがある大原さんに、モロッコ旅の最新事情と尽きないモロッコ愛をうかがいます!
津々浦々まで見ないと気が済まない!となって、モロッコに集中!
ひとりっP(以下P):みなさんから腐るほど聞かれていると思いますが、モロッコには何回くらい行かれているんでしょうか。
大原さん(以下O):今は90回くらい。来年で100回いくんじゃないかな。
P:2000年から20年かけて100回!どんなペースですか?
O:ここ10年は年6回くらいで、それまでは年2回です。最初は遊びに行っていて、2006年にファティマ モロッコを立ち上げてから回数が増えました。モロッコ中、全部まわって、各地の雑貨を見よう!と決めました。旅好きなので、いろんな国に行きたかったはずなのですが、モロッコに集中することとなったわけです。
P:ひとりっPが声を大にして言っているのが、「世界2大雑貨がかわいい国が、モロッコとメキシコ、オアハカだー!」って。最近はそこに、第3の国としてペルーも入りました。しかし、情報がないから足で歩いて集めているんですよ。ツーリストが多いところに一番バリエーションがあって、そういうところで可愛いものを見つける度に、「どこで作ってるの?」と聞いて、教えてもらった町や村を訪ね歩いている感じです。
O:それ、私と同じ。それをどんどん突き詰めていくといい店できますよ(笑)。
P:そもそもモロッコに行こうと思ったきっかけは何だったんですか。20年前はそんなに情報もないですよね?
O:ないない。セレクトショップの仕事をしていた時に、絨毯やランプ、絵などの内装が全部モロッコのものだったんですよ。そのアイテムを見た時に、すごいドキュンときて、「えっ、これどこの国のものですか?」と聞いて興味を持ちました。
P:そのころから、モロッコが心の中にあった。
O:死ぬほどあった。モロッコ行きたい!って。2年間ボロボロになるくらい見ていた唯一のモロッコ特集の載っている雑誌を抱えて、2000年にモロッコに初めて行った覚えがあります。
P:最初に行ったのはどこですか?
O:フェズとマラケシュに行ったんですが、サハラ砂漠には行かなかった。フェズにはフェズブルー、マラケシュにはマラケシュピンク、街ごとに色がある事に感動して。それはタイル、漆喰、建築物、雑貨にまで渡っていて、「何、何、すごい!」ってなりました。旅をするのが好きなので、それまでもヨーロッパやアメリカ、アジアなどあちこち行って、トルコが好きだなって思っていたんです。しかし、モロッコに行った時に、トルコは全部忘れました(笑)。
P:たしかに中近東系同士だから似ているけれど、なるほど〜!
O:「これはすごい!何なんだ!」と思った感動はそのままに、仕事があるから帰国するじゃないですか。しかし、半年後には砂漠に行くために、またモロッコへ。そんな感じで、モロッコ通いが始まりました。
P:そこまでになるともう他のエリアのことは忘れましたよね(笑)。ちなみに旅人にとってのモロッコの魅力って何ですか?
O:男女問わず、どんなカテゴリーでも楽しめる分野があると思うんですよね。世界遺産もいくつもあるし、風光明媚だし、オーガニック、スローライフ、ファッション、食事好きの人たちを満足させられる。トレッキングも遊牧民体験もできるし。そう、サーフィンもできます。ゴージャスにSATC(ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」)みたいな楽しみ方もあります。
初心者はマラケシュから。サハラ砂漠へも足を延ばして!
P:では、最初に行くモロッコのおすすめは? 初心者プランを教えてもらえますか。
O:まずはマラケシュからスタートですね。時間があれば3、4泊くらいしながら、ちょっとサハラ砂漠まで行って戻るのが入門編かな。色んな雑貨とか見ながら、リヤドをめぐって。
(※リヤド モロッコ式建築の中庭のある小規模の宿泊施設)
P:砂漠までどのくらいかかるんでしたっけ?
O:車で40分くらいで行けるところもあります。電気も通ってないキャンドルだけのリヤド、すごく素敵なんですよ。マラケシュで2、3泊して砂漠で1泊して戻ってくるのがいいかな。理想のコースはマラケシュ、スコーラ、砂漠、バラの谷ケアラムグナ。最後にマラケシュに戻るのもいい。
P:サハラ砂漠のおすすめエリアはメルズーガがよいですかね?
O:メルズーガだったら、キャンプで泊まるのがおすすめ。
P:それやりたいんですよ。星がピカピカじゃなくてビカビカに輝いているんでしょ?
O:ラグジュアリーキャンプ。シャワーもあるんだよ。ラクダにのってサンセットまで砂漠を進んだら、そこでご飯を食べて、次の日にサンライズを見て拠点まで戻ってくる。最高のリゾートですよね。
P:私がサハラ砂漠に行った時に驚いたのは「サハラがすぐそこ!?」。大変な路をかきわけて挙句の果てにたどり着き、「やっとサハラだ〜〜!」じゃなくて、街のすぐそこにあるんですよね。人の暮らしのすぐそこから始まる感じに、めちゃくちゃびっくりしました。
O:私が最初にサハラ砂漠に行った時には電気が通ってなくて、ピステ(道なき道)って言うガタガタ道を四駆に乗り換えて行っていたんです。今はアスファルトになったし、ガソリンスタンドもできた。だから、行くなら早い方がいいです。観光地化が進んじゃうから。
P:では、リピーターの人におすすめコースは?
O:次にはフェズに行くといいんじゃないかな。日本で例えるなら、京都にみたいなところで、1000年前の旧市街なんですよ。1000年前から変わらない。マラケシュより古いんです。先が三角のバブーシュってフェズでしか作れなかったんですよ。最初私が「ピンクのバブーシュを作ってください!」って職人にお願いしたら、「そんな色作れるかー」って。毎週金曜日のお祈りの時に履く黄色のバブーシュが正装なんですよ。またその後に、「ゴールドやシルバー作って」って言うと、「やってらんねーよ、ふざけんな!」って感じ。今はどちらも作ってくれますけれどね(笑)。
P:プライドが高いんですね。
O:フェズの陶器、フェズの刺繍は有名です。今ではモロッコの工芸品はマラケシュでなんでも手に入りますけれど……。手に入るけれど、そこで買うんじゃなくて、ちゃんと作っているところが見たいから現地に行くんです。
P:わかります!! われわれはモノが好き。根掘り葉掘り知りたいし見たいから、見て回るのにいちいちものすごく時間オーバーしちゃうんですよね。だからツアーじゃだめなタイプ。
O:モロッコではドライバーを頼んで移動するんですが、自分の目で先に何があるか見ていたいから、いつもは運転手の隣、助手席に座るんです(NHKの番組の際は撮影の都合上後部座席だった)。だから、おばちゃんがやっている露店とかも知っています。
P:自分の興味の赴くまま津々浦々、モロッコ各地を行くってことですね。それってつまりは、神は細部に宿るってことだと思うんですよ。細部まで知り尽くしているって、お仕事の何か大事な部分に反映されてると思う。マニアだから、その気持ちすごい分かります。
O:売れるとかじゃなくて、砂漠のおばあちゃんが作っているものなんかを喜んで、ぎゃんぎゃん買ってくるんです。売れないんだけれど、持って帰りたくなっちゃうの。まあ、こだわりの強い、変態の旅なのね(笑)。
モロッコ旅って、リヤド旅!美味しいごはんがでるリヤド!
P:ちなみにモロッコって、リヤドが死ぬほどあるじゃないですか。いいリヤドってどうやって見つければよいのでしょうか。
O:リヤドって2年くらいで、結構オーナーが変わっちゃうの。外観や建物は同じでも、ホスピタリティも食事も、インテリアもがらっと変わるから、足で情報を稼ぐしかない。マラケシュやフェズなどは特に。スコーラやケラアムグナみたいな田舎町は、オーナーがある程度は腰を据えてやっているから、安定しているリヤドもあります。
P:オーナーは外国の方が多いんですか?
O:多いですね。フランスやベルギーの人だと素敵なセンスのものが多いからか、観光客も押し寄せています。
P:センスのよいリヤドの見分け方ってありますか?
O:それは難しいですね。自分でちゃんとサイトを見て、あとは1軒1軒コンコンとドアをノックして、中を見せてもらうのがいいですね。リヤドって、中が全然想像つかないんですよ。ドアを開けてみないとわからない。
P:まるで「アリババと40人の盗賊」的! 日本から予約していかなくて大丈夫なんですか?
O:お勧めは一泊目だけはどこか予約しておいて、残りは自分の足で探してそこに移っていくのがよいと思います。特にマラケシュはリヤドがたくさんあるから行ってみないと、なかなか難しいかもしれません。ただ、3月と9月はヨーロッパの人のお休みがあって、超ハイシーズンだから、その時は早めにリヤドを押さえておいた方が安心です。
P:リヤドを探しながらインテリアもいろいろ見られるし、楽しそう。毎日違う宿に泊まりたいかも!「ひとりっPと40人の盗賊」旅!
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O:リヤドは食べるお宿だから、リヤドに泊まってレストランに行く事はナンセンスなんです。朝はテラスで食べて、夜は部屋に用意してもらうなど、絶対宿で食べるべき。
P:そういえば、泊まったリヤドで食べた、マスカットと鶏肉のタジンとかもう絶品! むちゃくちゃ美味しかった!
O:果物と肉を合わせるのがすごい上手なんですよ。カリンと牛肉のタジンとかも美味しいですよ。
P:果物を料理に使うのが嫌いな人がいるじゃないですか。ぜひモロッコであれを食べてみて欲しい。本当に美味しいから!!
O:クスクスもね、本当に作ったらとても手間がかかる料理なんです。サラサラにするにはあの熱いのを空気を入れながら掻きまぜて、4、5回蒸す。そうすることで味の染み方が全然違うの。モロッコ料理は家庭で食べるのがいちばんおいしい所以もそこ。お母さんの愛情のこもった、手間をかけたものが最高の味になるんです。そう、クスクスを食べる時には、ぜひ「スープを別にください!」とお願いして、そのスープをかけながら食べてくださいね。
P:なんかフランスで食べたのと全然違っていたのはそこなんですね! ほんと、よく染みてて美味しかった! モロッコの旅はリヤド旅。美味しいごはんの出るリヤドを渡り歩く旅、ってことですね!
O:そうですね!上級者目指して、ぜひリピートしてください。フェズもシャウエンも行ってるモロッコ5回目くらいの方には、モロッコ北部がおすすめ。アシラ、タンジェ、テトワン、そして帰りにシャウエンへ流れで行って欲しいな。
P:すごい!まだまだ見るべきところがたくさんありすぎる〜〜! 大原さんがモロッコ100回渡航を達成するまでに再訪したいです。計画練ります! そう、気に入った旅先って、行きたいなら何回行ってもいいんですよね。気になるなら奥へ奥へと突き詰めていってみるのもひとつの旅のスタイル、っていうことが、よ〜〜くわかりました。ひとりっP、もう迷いません! みなさんも、変態的にこだわりたくなるような、大好きな場所に出会う旅をぜひ! HAVE A NICE ひとりっぷ~!
https://www.fatimamorocco.com/
photogaraphy:Yuka Uesawa
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