海を越えて広がる、豊かな茶の世界へ。京都・八坂にスペシャルな茶体験ができるブティック、POUYUENJI KYOTOがオープン

グローバルに茶の世界をキュレーションするブランド、POUYUENJI(ポウエンジ)が、京都・八坂に最上級のティーエクスペリエンスを体感できるブティック、POUYUENJI KYOTO(ポウエンジ キョウト)をオープンした。京町家をアップデートした洗練空間で、新しい刺激に満ちた茶の世界に触れることができる。

グローバルティーブランド、POUYUENJIの初のブティック、POUYUENJI KYOTOが、2024年6月、京都・八坂にオープンした。

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ティールームで行われる1時間の茶席では、POUYUENJIのティーマスターが淹れる茶を菓子とともに三煎楽しめる。photo by Nakajima Mitsuyuki

POUYUENJIは2019年、ジェネラルマネージャー兼キュレーターの蔡明倫(Ming Tsai)が、茶の名コレクターとして知られる、“台湾の靴王”と呼ばれた大実業者の父、蔡其建(Chi-Chien Tsai)とともに設立。蔡其建は茶を嗜むという行為が、スピリチュアルでマインドフルネスであり、人に多くの恩恵を与えてくれる、時代を超えた豊かな文化なのだということに早くから気づいていた。60年以上にわたって茶の魅力に取り憑かれてきた彼は、この愛を、そして自分のコレクションを、多くの人々と分かち合うコミュニティを作りたいと考えた。それがPOUYUENJIの始まりだ。

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庭に面したティールーム。一枚板のテーブルが存在感を放っている。photo by Nakajima Mitsuyuki

そんな彼らの展開する、現代の暮らしにおける茶文化の精神的な価値を世界と繋ぐ活動の大きな第一歩となるのが、POUYUENJI KYOTO。最初の拠点を京都にしたことについて、蔡明倫は「およそ800年前に最初の茶事が行われたのは京都です。京都には奥深い茶の歴史、世代を超えて受け継がれた職人精神、ディテールへのこだわりとともに、新しいものを取り入れることにも積極的な風土があります。お茶の世界において、京都は非常に象徴的な街なのです」と話す。

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セラーの中で管理される、ヴィンテージの茶の数々。

POUYUENJI KYOTOでは、蔡其建自身で試飲し厳選した烏龍茶、普洱茶(プーアールちゃ)、岩茶(がんちゃ)などの特別な茶葉を豊富に取り揃えている。1950年代のヴィンテージの貴重な茶に関しては温度・湿度を管理したセラーで厳重に保管。一方、より気軽にお茶を楽しめるように、「東方美人 2015」をはじめとした茶葉も数種類用意されている。パッケージもスタイリッシュで、ギフトにも最適だ。

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茶と菓子のペアリングの例。photo by Nakajima Mitsuyuki

ティールームで提供されるのは、60分のお茶体験(予約制)。POUYUENJIティーマスターが厳選した茶葉で淹れる三煎の茶と、俵屋吉富をはじめとした京都の老舗和菓子店などとのコラボレーションによる菓子とのペアリングが楽しめる。

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蔡明倫たっての希望でオープニングの茶会を催したのは、陶作家で茶人としても活躍する安藤雅信。この時には安藤の茶器が使われた。photo:POUYUENJI提供
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2階のライブラリー。東洋と西洋の要素がミックスした心地よい空間となっている。photo by Nacasa & Partners Inc.

京都の伝統的な建物の雰囲気を残した外観に対し、インテリアは「Old & New」をテーマにしたシックなもの。インテリアディレクションは「香港のグランドハイアットやアンダーズ 東京などのようなクオリティの高い空間にしたい」と考えた蔡明倫が、それらを手がけた世界的デザインファーム、tonychi studiosに依頼した。障子や簾など日本的な要素を取り入れつつ、壁面にトラバーチンを使ったり、台湾の花柄モチーフを取り入れたりした空間は、全体的にクリーンで明るい雰囲気で、居心地は抜群だ。

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「縁側」と呼ばれる、庭に続く通路。photo by Nakajima Mitsuyuki
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作庭は北山安夫によるもの。「隅々のディテールにまでこだわった北山先生の作品の魅力も茶とともに感じてほしい」と蔡明倫は話す。photo by Nakajima Mitsuyuki

「自然はこのブランドを語る上で欠かせないもの」という蔡明倫の希望もあって新たに設けたという日本庭園は、高台寺や建仁寺の庭を監修している、日本を代表する作庭家のひとり、北山安夫が手がけたもの。季節の移り変わりを感じながらいただく茶は最高だ。また、2階には貸切で茶会を開いたりする際に使えるライブラリーが。本棚には東西の茶文化や京都、建築などに関するさまざまな本が並んでいる。また、茶と同じく蔡其建が長年集めてきた茶器のコレクションの展示もあるので必見だ。

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POUYUENJIのチェアマン、蔡其建による茶器のコレクションなども随時展示される。
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オープニングには安藤や蔡明倫のほか、お茶好きとて知られる女優の市川実和子も参加。photo:POUYUENJI 提供
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八坂の塔のある法観寺のすぐそばの賑やかな場所にありながら、一歩店内に足を踏み入れれば信じられないほど静謐な空間が広がっている。photo by Nacasa & Partners Inc.

なお、今秋には隣の敷地に、もっと気軽に茶の魅力を楽しめるよう、「PLAY Tea」をテーマにした店舗もオープン予定。こちらではPOUYUENJIの茶とフルーツやミルクなどを組み合わせたドリンクを提供するという。「お茶は仰々しい感じではなく、もっとカジュアルに味わっていい。京都散策の途中にふらりと立ち寄っていただければ」と蔡明倫。こちらもお楽しみに。

POUYUENJI KYOTO
住所:京都府京都市東山区八坂通下河原東入八坂上町374
営業時間:10:00〜18:00 ティールーム 10:00〜18:00(L.O.16:00) ※ティールームは完全予約制
定休日:月・火曜
電話番号:075-533-8826
https://kyoto.pouyuenji.com/