"アペロ"とは、フランス語のアペリティフ(食前酒)の略で、「お茶しない?」「一杯、どう?」というような気分を表す言葉。寒さがしみる季節は、鶏団子のスープと日本酒のアペロでじんわり温まるのもいいもの。「気楽に作れるお雑煮風のスープは、お正月と言わず、冬の間何度も作りたい。昆布と鰹節のだしに鶏団子から出るうまみも加わって、コクのあるスープになります。鶏団子は、水気を切った豆腐を加えると柔らかくやさしい仕上がりに。多めに作って、丸めて冷凍しておくといつでも使えて便利です。もしあればお餅を玄米餅にすると、全体が素朴で落ち着いた色合いになります」。仕上げにちょこんとのせた菊花が美しいアクセントに。「菊花は、漢方では疲れ目に働きかけ、リラックス効果があるといわれている素材。色もきれいなので、酢のものだけでなくスープにも積極的に使ってみて」。合わせたのは、可愛いねこラベルのワンカップの日本酒。「たくさん飲めなくても、ワンカップならおいしい日本酒が気軽に試せておすすめですよ」。
材料(2人分)
- 昆布
- 7〜8㎝角1枚
- 鰹節
- 軽くひとつかみ
- 鶏ひき肉
- 約150g
- 木綿豆腐
- 約80g
- パン粉
- 大さじ2
- 片栗粉
- 小さじ2
- かぶ
- 小4個
- 長ねぎ
- 1/2本
- 菊花
- 1/2パック
- 玄米餅
- 4個
- 米酢
- 小さじ1
- しょうゆ
- 適宜
- 塩・黒こしょう
- 各適宜
作り方
❶ 鍋に1ℓの水を入れ、昆布を加えて弱火にかけ、塩少々を加える。10分ほどしたら鰹節を入れ、静かに2〜3分煮て火を止め、蓋をしてしばらくおき、昆布と鰹節を取り出しておく。
❷ ボウルに鶏ひき肉、キッチンペーパーに包んで水気を切った木綿豆腐、塩少々、パン粉、片栗粉、しょうゆ小さじ1/2を入れて、材料が混ざりあってなじむまで木べらでしっかり練り合わせ、冷蔵庫で休ませておく。
❸ かぶは皮をむき、4〜5等分にする。長ねぎは長さ3cmに切って開き、細切りにする。菊の花びらは摘む。鍋に湯を沸かして米酢を加え、菊花を湯にくぐらせる程度にさっとゆで、軽く絞っておく。
❹ ①の鍋を中火にかけ、沸いてきたら、②を小さな団子状に丸めて入れる。かぶも加え、煮立ちすぎないように火加減し、しょうゆ小さじ1を加える。静かに煮込んで鶏団子に火が通ったら、半分に切った玄米餅、長ねぎを加え、2〜3分煮て味見し、足りなければ塩かしょうゆを少し加える。餅に火が通ったら、でき上がり。お椀に盛り、黒こしょうを挽きかけ、菊花をのせる。
鳥取・日置桜の「福ねこラベル」純米酒ワンカップ。やわらかい飲み口で、 熱燗にしても美味。「売り上げの一部が保護猫活動に寄付されるそう」。
PROFILE
ながお ともこ●フードコーディネーター。「この冬、とらや赤坂店と東京ミッドタウン店で開催される『とらや市 鉢』を監修しました。昔から日本の食卓に欠かせない鉢を紹介するほか、小石原ポタリーや波佐見焼の販売も」。展示期間や詳細はとらやHP(https://www.toraya-group.co.jp)で確認を。
SOURCE:SPUR 2021年1月号「長尾智子のお酒と小さなひと皿 金曜日のアペロ No.22」
photography: Masahiro Sambe text: Kaori Okuda