今月号から始まる新連載のテーマは保存食。長尾さんの考える保存食とは? 「作って楽しくて食べておいしいもの。そばにあると心強く、安心なもの。単なる時短や効率のためではなく、健やかな自分を持続させるために役立つはずです。季節の色や素材を感じながら、仕込みの時間を楽しんでみては」。第1回は、そんな保存食のよさを詰め込んだピクルス。「野菜のピクルスは、1リットルの保存瓶にちょうどいい量。冷蔵庫で2週間持ちますが、味がしみ込みすぎないほうが好きなら半量で作って早めに食べ切っても。卵はまわりが締まってくるので、1週間が目安です。ピクルスは酸味だけでなく甘みも大切なので、りんご酢の代わりにワインビネガーや米酢を使う場合は砂糖をやや多めにして調節を。粗糖などの未精製の砂糖を使うと味に深みが出ます」。野菜の色合いや、ピクルス液に加えたターメリックの黄色がとてもきれい。「丁寧に仕込んで、仕上がりを美しく。これも保存食の大事なポイントです」
材料(作りやすい分量)
- きゅうり
- 3本
- 黄にんじん
- 中1本
- セロリ
- 1本
- ディル
- 3本
- 卵
- 4個
- ガルバンゾ(水煮)
- 1パック
- りんご酢
- 300㎖
- レモン(ノーワックス)
- 1/2個
- 粒こしょう
- 約20粒
- ローリエ
- 2枚
- 塩
- 小さじ2
- 砂糖
- 大さじ山盛り2
- ターメリック
- 小さじ約1/8
作り方
❶セロリの茎はすじを取って斜めに切り分ける。黄にんじんは皮をよく洗い、厚さ1㎝弱の輪切りにする。きゅうりはピーラーですじ状に皮をむき、両端を切り落として1㎝の輪切りにする。バットなどに入れ、軽くまぜ合わせておく。レモンは3枚スライスし、残りは搾っておく。
❷鍋に湯を沸かし、常温においた卵を7分ゆで、流水で急冷して粗熱を取って殻をむく。
❸清潔な瓶にきゅうり、黄にんじん、セロリをまぜながら入れ、途中で周りにディルとセロリの葉、レモン2枚を詰める。上に残りのレモンとディルをのせる。別の瓶に、ゆで卵とガルバンゾを詰めておく。
❹鍋に水700㎖とりんご酢、レモン汁、塩、ローリエ、砂糖、粒こしょうを入れて中火にかける。煮立ったら少し火を弱めて1分ほど煮詰める。ピクルス液が熱いうちに、野菜の瓶に注ぎ入れて蓋をする。残りのピクルス液にターメリックを加えてまぜ、卵の瓶に注ぎ入れて蓋をする。そのまま半日以上おく。
「ピクルスはそのまま食べるだけでなく、葉野菜と合わせてサラダにしても」。ケールをちぎって器に盛り、2種のピクルスをのせる。仕上げに薄く削ったチーズを散らしオリーブオイルを少々たらす。「チーズはペコリーノなど塩気のあるものを。卵があるとボリュームが出てごちそうに」
PROFILE
ながお ともこ●フードコーディネーター。今月号からスタートした保存食の連載も引き続き、SPUR.JPにて、料理プロセスの動画を展開。「保存食の仕込みから盛りつけまで、誌面では伝えきれないポイントも動画だとわかりやすいので、ぜひ見てください!」。 vegemania.com
SOURCE:SPUR 2021年3月号「長尾智子のお酒と小さなひと皿 金曜日のアペロ 最終回」
photography: Masahiro Sambe text: Kaori Okuda