長尾智子さんに教わるのは、友人を訪ねたり、みんなで集まるときのための"誰かのための料理"。「持ち寄りの楽しみは工夫すること。コンパクトにまとめて、行き先で盛りつけて食べて、始末よく終わるのが理想」。おいしい時間を共有するためのレシピを紹介する。
フルーツたっぷりのクラシックなデザート、プリンアラモードに心躍らない人はいないはず。
「持ち寄りにするなら、プリンを型のまま持参してそれぞれ好きなように盛りつけると楽しい。フルーツが色とりどりなだけで可愛らしさが出るので、少なくとも3種類は用意して」。
定番のいちごやバナナに、清見などのジューシーな柑橘も加えると果汁によって自然とマリネされる。あとはたっぷりのキャラメルソースとホイップクリームで仕上げを。
「キャラメルソースは慌てずゆっくり焦がし、心配なら途中で火から下ろしながら様子を見ること。余熱で火が通るので、焦がしすぎに注意を。濃い色に焦がしたキャラメルソースより、ほどほどの優しい色にしたものがプリンアラモードにはおいしく、少しクラシックに見えて雰囲気にも合います」。プリンも柔らかすぎず、スタンダードな食感。
それぞれ個性あふれる盛りつけで、春のお茶会が盛り上がる!
材料
プリンアラモード(120㎖のプリン型5個分)
牛乳
500㎖
卵
中4個
てん菜糖
100g+20g
グラニュー糖
100g
生クリーム
約100㎖
いちご(小粒)
約12個
キウイ
1個
バナナ
1本
パイナップル
約1/6個
ブルーベリー
約80g
柑橘(清見など)
1〜2個
〈下準備〉卵は常温に置いておく。お湯を沸かす。
キャラメルソースを作る。鍋かフライパンにグラニュー糖と水大さじ2を入れてなじませ、中火にかける。時々軽くゆすり、周りから茶色く焦げてきたら少し火加減を調節しながら、周りは茶色くなり中心はまだ色が薄い状態で火から下ろす。余熱で全体が濃いめの茶色になってきたら、計50㎖のお湯を2回に分けてキャラメルソースの縁から加える。全体をゆすってなじませる。小さじ2ずつプリン型に流し入れ、冷ましておく。残ったキャラメルソースにお湯を50㎖程度加えて弱火にかけ、ゴムベラで静かに混ぜて溶かし、粗熱が取れたら容器に移す。お湯を加えるときは必ず火から下ろし、とびはねに注意。
プリンを作る。オーブンを150℃に温め、深めの天板にキャラメルソースの入ったプリン型を並べておく。卵をボウルに割り入れ、てん菜糖100gを加え泡立て器で溶きほぐす。泡が立たないようすり混ぜること。小鍋に牛乳を入れて温め、沸騰しないように鍋の縁から煮立ち始める程度で火を止め、卵のボウルに静かに加えて混ぜる。こし器でいったんこし、型にそっと流し入れ、天板にお湯を型の6~7分目まで注ぐ。オーブンで40分蒸し焼きし、そのまま冷ます。
生クリームにてん菜糖20gを加え、しっかりツノが立つまで泡立てて容器に入れる。パイナップルは一口大に切り、キウイと柑橘は皮をむき、いちご、ブルーベリー、バナナはそのまま容器に詰め合わせる。プリンは型のままラップをかけ、保存容器かケーキ箱に詰める。
〈仕上げ〉ブルーベリー以外のフルーツはそれぞれ食べやすく切り分け、器に入れる。柑橘はナイフでひと房ごとに切り取る。フルーツ全体をざっと混ぜ、時間があれば冷蔵庫へ。プリンの縁をスプーンで押さえて、キャラメルソースが縁まで上がってきたら器にそっと返す。周りにフルーツをたっぷり盛り、ホイップクリームをのせてキャラメルソースを回しかける。
今月のお気に入り
「フルーツを切り分けるときは、刃がシャープで薄手の小ぶりなナイフを使うとストレスなくきれいに切れます」。長尾さんが愛用しているのはフランスの老舗メーカー、オピネルのペティナイフ。
「長く使っていますが切れ味が変わらず、サイズ感もちょうどいい。一本持っていると、焼き菓子の切り分けなどにも使えて便利です」
フードコーディネーター。雑誌や書籍で活躍する一方、オリジナルの器やスパイスミックスなどを扱うオンラインストア「SOUPs」を展開。「そろそろバラ科果物の季節。梅、あんず、さくらんぼの出盛りに備えて、保存びんを準備中」