【みうらじゅんとクレープ】東京の人気クレープ店8店舗を紹介!

巷では今、クレープの名店が急増中! 素朴な味わいのシュガータイプから、彩り華やかなデザート系まで。コロナ禍を経て「甘党宣言」をしたみうらじゅんさんと一緒に、わくわくする大人のスイーツを体験!

巷では今、クレープの名店が急増中! 素朴な味わいのシュガータイプから、彩り華やかなデザート系まで。コロナ禍を経て「甘党宣言」をしたみうらじゅんさんと一緒に、わくわくする大人のスイーツを体験!

みうらじゅんさんプロフィール画像
みうらじゅんさん

1958年、京都府出身。漫画家としてデビュー以来、"イラストレーターなど"の肩書で活躍。著書は『さよなら私』『マイ仏教』『「ない仕事」の作り方』など多数。爽やかな青シャツは私物のアニエスベーのもの。今回の撮影のため京都の講演会や焼肉などでの出番を避け、きれいな状態で持ってきてくださった。

太るものは全部入ってるのに食後の罪悪感がなくておいしい

みうらじゅん クレープ
「この筒の形状って、聖火かこれしかないよね」とクレープを天高く掲げ、点火の様子まで再現したみうらさん。聖"クレープ"ランナーが生まれた瞬間

「クレープって、まず名前がいい。言葉のもつ響きが、いつの時代もいいんだよね。さだまさしさんが組んでおられたのは『グレープ』か。『精霊流し』と同じくらいの時期に流行っていてどっちだっけっていつも思ってた。

もともとクレープは好きだったんですよ。何が好きかって、とにかくクリーム。生クリームが一番だけど、クレープには生クリームとカスタードクリームの両方入れたい。小学生の頃におかんがケーキを作ったとき、生クリームだけをずっと食べていたくらい。ごはん食べられなくなるよって言うんで、白米の上にのせて食べたこともありました。それほど好きなんですよ。僕らの世代って、まだザ・動物性のクリームが主流でしたから、少しもたれるんですよね。大人になってから、今のおいしいものに感動できるわけで、とてもいい経験だったと思っています。

だからお店で売っているものがこんなにうまいんだ……って最初に驚いたのが、クレープだったんです。事務所が原宿にあったとき、買ってきてもらったものがすごくおいしくてね。そこからハマったんだと思います。今でもよく行くクレープ屋さんは新宿の露店。ベンチに座って食べてます。今はインバウンドの観光客も多いから店の人に『ハロー』なんて言われたりします(笑)。

今日のクレープは、今まで自分が食べてきたものとまったく違いました。これまでジャンクなものしか食べていなかったのですが、これなら完食してももたれない、大人のクレープですよね。お値段も映画1本観られるぐらいの大人価格。シャインマスカットの風味も爽やかで、これはぜひお店の中で食べたい。あっさりとしているし、体にも優しいですよね。後ろめたさなしに食べられる味わいで、もはやデザートではなく高級料理といえます」

【豪徳寺】EQUALLY(イクアリー)

【豪徳寺】EQUALLY(イクアリー)
クリームたっぷりの甘いクレープが好きなみうらさんのために考案された「季節のフルーツのジェラートクレープ」¥1,870。今の時期はシャインマスカットがメインに。クリーム、クランチやジュレがちりばめられている。食感の変化を楽しめて童心に帰れる、まさに「大人の原宿クレープ」

ふとしたときに立ち寄りたい、ご褒美クレープ

「ル パティシエ タカギ」や「PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI」で修業を積んだ友納滉一さんが、予約なしで入れる街に根差したクレープリーを目指し、今年5月に商店街の一角にオープン。客席からもカウンターで調理する様子が見えて、ライブ感を楽しめる。クレープの生地は、フランス産と国産の小麦粉をブレンド。水分は少し多めに、なめらかでとろける食感に仕上げた。中央に鎮座するのはバニラビーンズを加えた自家製のジェラート。周囲を取り囲む生クリームは、コクがあるのに後味はさっぱり。みうらさんが「普通のクレープだとだいたいこの辺で寂しくなる」と話していた最後のひとくちまで楽しめるよう、細かくカットした具がぎりぎりまでぎっしり詰まっている。

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東京都世田谷区豪徳寺1の46の15 豪徳寺レーベル2F
◯営(月・木)8時30分〜18時、(金・土・日)8時30分〜22
㊡火・水曜(祝日の場合は営業、翌日休み)
@equally_creperie
※事前予約(https://equally-creperie.com/)も可。完全キャッシュレス決済。

【みうらじゅんとクレープ】東京の人気クレの画像_3
後日、撮影の様子を描いたみうらさんによるイラスト。クレープ好きを「クレーパー」と命名
【みうらじゅんとクレープ】東京の人気クレの画像_4

今すぐ行きたいクレープアドレス

フランス・ブルターニュ地方発祥の薄焼きパンケーキ、クレープ。パリッもちっとした食感を楽しむ本格派から、パフェのような層を楽しむ見目麗しい創作系まで。めくるめく世界に包まれて。

【北沢】ØC tokyo(オーシー トーキョー)

【北沢】ØC tokyo(オーシー トーキョー)
上 器はプリミティブでありながらモダンな野口悦士さんの作品。「クレープ」¥1,200は焼成後にバターをたっぷり塗り、さらに優しい甘さの喜界島産ざらめをかける。シェフが通う「PROLOG」の「コーヒー」¥600も可憐な味 下 内装を手がけたのは、単に家や店を作るのではなく"コミュニティをつくる"建築家・クマタイチさん

どこまでも続く余韻に心酔。"シュガーバター"の概念を超える

北沢の大山緑道沿いに誕生したクレープが主役のカフェ。レシピを手がけたのは田井將貴さん。レストラン「Kabi」の立ち上げ後はコペンハーゲンに拠点を移し、「NOMA」出身のソムリエが開く店でシェフを務めたホープだ。一見、プレーン。しかし口に含むと、とめどなく広がる旨みに世界が一変。秘密は九州産有機小麦粉に沖縄産黒糖、木次乳業のブラウンスイス乳などを混ぜ、12時間寝かせた生地。モチモチでとろける生地とざらめのしゃりしゃり感。熱々の生地と冷たいグラスフェッドバターのコントラストに心揺さぶられる。

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東京都世田谷区北沢5の27の16 1F
☎070−8455−1180 ◯営9時〜21時 無休
 Instagram:octokyo2024
※シェフが本帰国し、9月からおつまみも提供するワインスタンドを開始予定。

【用賀】moderato on the green(モデラート オン ザ グリーン)

【用賀】moderato on the green(モデラート オン ザ グリーン)
上 丸テーブルやソファを配したのびやかな空間の前に広がるガーデンにも心が高揚 下 アニャナ塩をふった「ソルティ レモン」¥900を含め、定番は全5種。「テテリア」が卸す紅茶「ヌワラエリヤ」¥900は差し湯できるのもうれしく、「いっぱい食べて、飲んでね」と太っ腹な植松さんの想いが伝わる。温かい接客も足を運びたくなる理由のひとつ

都心の新たなオアシスで"ごちそうクレープ"に舌鼓

モデルガーデンの複合施設「世田谷ガーデン倶楽部」内のカフェが生まれ変わった。プロデュース・ディレクションを手がけたのは料理家の植松良枝さん。「家で作れない味を焼きたてで味わってほしい」との思いから主軸に置いたのはクレープ。小麦粉や牛乳、卵などで作る生地には、表面にもトッピングにもカルピスバターを惜しげもなくたっぷりと。端っこはゴーフルのような風味でカリッと、先端にいくほど発酵バターが絡み合ってじゅわっとした食感に。甘さの中に塩気や酸味が躍る、ロマンティックな味わいに惚れぼれ。

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東京都世田谷区用賀1の26の16 世田谷ガーデン倶楽部内
◯営11時〜17時、〜18時(土・日)㊡月・火曜 ※フードのLOは閉店の1時間
Instagram:moderato_on_the_green

【中目黒】neel 中目黒(ニール ナカメグロ)

【中目黒】neel 中目黒(ニール ナカメグロ)
大皿いっぱいに広がるクレープの大海原! 卵とバターの魅力が際立つ生地は、かなり薄めなので、風味は豊かながら食べ心地や後味は至極軽やか。洋梨のピューレと厳選したセイロンティーをブレンドした「neel’s ラフランスティー」¥780とペアリングを楽しみたい

味も生地の折り方もユニーク。エポックメイキングなクレープ

木造家屋をしゃれた空間にリノベーションし、風通しのよさも魅力的なカフェ。クレープはシグネチャーのひとつで、ルックスも味わいも唯一無二。そのこだわりは生地にあり、薄力粉とグラニュー糖、生クリームと牛乳などに洋酒、たっぷりの卵を加えるのが特徴。そのためカスタードのような味と風味が口中に広がる。「シンプルシュガーバター」¥610は生地の折り方も特徴的で、端っこの羽根の部分はパートフィロのごとくパリッ。内側に向かうほどにふわっ&もちっとした食感に変化する。「塩キャラメル」¥110などのトッピングも可。

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東京都目黒区青葉台1の25の9
☎03−5708−5323
◯営9時〜20時30分 無休
Instagram:neel_nakameguro

【代々木八幡】horn(ホルン)

【代々木八幡】horn(ホルン)
上 暖かな調光の照明だけで構成したカフェは地下にある。1階では素朴で優しい味わいのパンの販売も。パンやクレープはすべてテイクアウトも可能 右下 1階はパティスリー&ブーランジェリー。クレープは目の前で焼いてくれる。 左下 イートイン限定で「自家製 バニラアイス添え」+¥300も

パリを思わせる、身近で気軽なクレープリー

ベトナム料理店「ヨヨナム」やイタリアンバール&カフェ「1500」などを営むヤマモトタロヲさんが手がける。本場パリのような、色とりどりのケーキが並ぶパティスリーとブーランジェリーの一体型で、名物のひとつがクレープ。重厚なクレープ台でじっくり焼くシンプルな生地は、滋味豊かな味わいながら水分をたっぷり含み、重たさはゼロ。毎日食べても飽きのこない"デイリークレープ"だ。写真のカルピスバターとグラニュー糖をのせた「ブールシュクレ」¥500や「シナモン」¥520のほか「シトロン」や「ココナッツ」各¥550など季節の味も。

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東京都渋谷区上原1の2の1
☎03−6804−8265
◯営10時〜19時 不定休
Instagram: horn.tokyo
※クレープの提供は12時〜18時。

【等々力】ASAKO IWAYANAGI SALON DE THÉ(アサコ イワヤナギ サロン・ド・テ)

【等々力】ASAKO IWAYANAGI SALON DE THÉ(アサコ イワヤナギ サロン・ド・テ)
上 今秋は紫葡萄にフォーカスしてメニューを展開予定。葡萄のクレープは8月30日〜期間限定で登場 下 サロン内はグレートーンの洗練された空間

まるでパフェのよう。ドレスアップしたクレープ

スイーツ界を牽引するパティスリーでは、皿盛りのクレープ以外に、進化系クレープも人気。中力粉やバニラペーストを混ぜて作る生地の焼成時間はごくわずか、はらり儚い口どけなのに、もちっとした食感が特徴。「クレープビジュー 葡萄」¥2,970予定はクレームシャンティ、生フロランタン、ナッツのクロッカン、カシスギモーブ、コーヒー水羊羹、そして葡萄のソルベや生フロランタンジェラートなど、全12のエッセンスで構成される。ただ甘いだけじゃない、五感に訴えるハイエンドクレープ。

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東京都世田谷区等々力4の5の9 2F
☎03−6432−1158
◯営8時〜11時 11時30分〜18時 ㊡月・火曜
※席のみ事前予約(https://asakoiwayanagi.net)も可。
クレープは11時30分〜17時30分の提供。

【六本木一丁目】pâtisserie i griega(パティスリー イ グリエガ)

【六本木一丁目】pâtisserie i griega(パティスリー イ グリエガ)
上 赤坂アークヒルズ内という好立地も魅力 下 美しい断面からも丁寧な仕事ぶりがうかがえる。クレープ生地とほかでは味わえないフィリング、甘さと酸味が絶妙。キャラメルを使用したミルクレープが登場予定

細部までとことん手作り。クレープから始まる新世界

名店「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」などで研鑽を積んだ吉田順子さん。独立後、確かな腕と実直な人柄に惚れた常連客のクチコミだけで広まったのがここ。風味豊かな生地を幾重にも重ねたミルクレープは「手間も時間もかかるけど、ずっと出したかったメニュー」と語る。旬の「さくらんぼとレモンのミルクレープ」¥1,210は、15枚の手焼きした生地の間にマスカルポーネを加えた生クリーム、レモン果汁を搾って作るレモンカード、グリオットチェリーをレイヤー。おいしさと幸せが重なる。

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東京都港区赤坂1の12の32 アーク森ビル2F
☎03−5544−9191
◯営11時30分〜17時
㊡月・火曜(祝日の場合は営業、翌日休み)

【神楽坂】Mrs.JACKDOLL(ミセスジャックドール)

【神楽坂】Mrs.JACKDOLL(ミセスジャックドール)
上 生地は丁寧に撹拌し、約50分かけて作る。力強い旨みとなめらかな食感が特徴。「ロイヤルミルクティー」や「焼きりんごとミルフィーユ」味も 下 店内のほか、テラス席もあり。全メニューテイクアウト可

リッチなデセールをワンハンドで楽しむ

骨太なクレープリーが神楽坂に誕生。イタリアンのシェフである我妻滉さんは、膨大な時間を開発に費やした。生地は指定農家から届く米粉と小麦粉、ラム酒ほか、クラッシュしたヘーゼルナッツまで入り、もちもちで香ばしい。「ティラミスとラムレーズン」¥1,380にはティラミスクリームやブランデー、コーヒーゼリーや紅茶クッキーなど(上・右)。「焦がしクレームブリュレ」¥1,180にはブリュレクリームや飴がけした3種のナッツやキャラメルソース(上・左)。それぞれで味の表情が一変するのも魅力。

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東京都新宿区神楽坂3の2の33 1F
☎03−6280−7726
◯営12時〜16時 18時〜22時、12時〜22時(土・日・祝)
㊡月曜(祝日の場合は営業、翌日休み)

クレープのような人、 みうらじゅん

長髪にサングラスの一見コワモテな風貌ながら多くの人々から長く愛され続けている。ゆるキャラや仏像、いやげ物など味わい豊かなトピックを柔らかい生地のようにユーモアで包み込み、発信する。そんなクレープを体現したようなみうらさんの人生哲学を掘り下げた。

自分が変じゃないから、変なものが好き

みうらじゅん

——今回は、SPUR編集部が考える「クレープのような人」として、ソフトでユニークなみうらさんの生き方を勉強させていただきます! まずはご自身がクレープみたいだと言われて、率直にどんな感想を抱かれましたか?

「『野菊の墓』で言えば『あなたはクレープのような人だ』ってことですかね?(笑)。嫌な気はしないです。だって『岩おこしみたいな人』って言われるよりいいでしょ? 中が甘い=実はロマンティストってことかと思ったんだけど、思えば今まであまり堅いテーマを扱ったことがなくて。一番堅いものだと、金剛仏くらいです(笑)。でも実は仏像って手足がぷくぷくしてて子どもっぽいでしょ? 怖い表情の仏像もどこか柔和に見えるのは、そんな無垢な要素を入れているからなんですよね。まあそれがどうクレープとつながるかは、わかりませんけど(笑)。

意外に思われるかもしれませんけど、僕は根が真面目で、極限状態になると、真剣に思い詰めちゃう。でもそういうタイプの煩悩って、松本清張さんの小説だと確実に地獄に落とされるわけで(笑)。だから、若い頃からふざけたものに魅力を感じてたんだと思います。常識はずれなことがかっこいいと思ったのはロックを聴いてからなんです。彼らが実は〝真面目に不真面目なことをやっている〟ことに気づいたんです。ロックスターって、世界中で何度も同じ曲を歌ってるわけですよ。それって真面目じゃないとできないことだし、続かないです。そんな人たちをマネて髪の毛を伸ばし、世に言う変な格好をしてきたんです。

上京してから自分も本気でふざけたことをやりたいと思ってね。サングラスに長髪を僕のスタイルにしたんです。しかし、まわりから『スタイルなんて気にしなくていいじゃん』と言われてね。それ、『自分らしくいればいい』ってことだろうけど、自分らしさって、若い頃はちっとも確立していないから。一時期は髪も切ってサングラスもやめたけど、結局こうなったんです」

——キャッチーなみうらさんのスタイルにはそんな秘密が……。そこからずっと同じ姿勢を貫く意志の強さの秘訣は何でしょうか。

「続けていくのに一番肝心なのは、その都度、飽きていないふりをすることですよ。本当は誰よりも先に飽きていますから(笑)。ロン毛は夏暑いしね。さらに『老いるショック』で頭は汗だくです。家では髪をクリップで留めてるんですよ。でもやっぱり人をがっかりさせたくないじゃないですか。僕のやってる仕事も結局、サービス業ですからね。見た方に『いつまでもこの人らしいな』って思ってもらうことが一番だと思いますから。そのためにはいかに飽きていないふりをして、また好きになれるのを待つか。それが〝クレープな人〟だと思います(笑)」

——みうらさんはどうしてユニークなものにいち早く気づけるんでしょうか?

「そういうものって自分がまともじゃないと見つからないんですよ。誰が買うんだろう?って土産物。〝いやげ物〟って呼んでるんですけど、それに気がつくのは、ごくまともな気持ちでね。そこで『僕が買うんだ』って無理矢理に自分洗脳をしていくんです。そんなことに気づけて、人生二倍得したと思うようにしてます(笑)。真面目なことがいい、ふざけたことはよくないと思うとね、人生ひとつしか楽しめないけど、それでも面白かったらいいって発想は、人生二倍楽しめる。自分に対しても、真面目なだけだとしんどいじゃないですか。他人に対してふざけていても、自分には真面目でしょ? 人って。自分が悪いのに勝手にシリアスに悩んじゃったりして。よく自分が悪いくせに、恋人に怒られると、泣く奴いるじゃないですか。あれ僕なんですよ(笑)」

——肩肘張らないみうらさんは、まさに人が憧れる生き方のように見えます。

「ただ肩こりはひどいです(笑)。頸椎を痛めてましてね。実のところは、肩肘張っていないように見せているんです。それに僕が扱うテーマって肩肘張っていちゃだめじゃないですか。(『週刊文春』で連載中の)『人生エロエロ』って、タイトル。それだけでもわかってもらえると思いますが(笑)。しかも週刊誌でしょ。毎回、ネタ出しに大変でね。肩肘張った文章だと気づき、実は書き直してることも多いです。ま、そう見せないようにしてるつもりなんですけどね。みんなが好きな流行りのテーマは扱えませんし、自分がそれをあーだこーだ言っても意味ないと思ってます。だから居場所を自分で作って、そこでひとり相撲をやっているだけなんですよ。でも、ひとり相撲も意外と大変なんです。ひとりぶつかり稽古とかもあるし」

——クレープ人生哲学、味わい深いです。今後の生き方で心がけていることはありますか?

「僕、結局、普通のおじいさんになれない気がするんですよ。『おい、そこのじじい』って言われても、自覚がないからたぶん振り向かないでしょう。そこで考えたのが『アウト老』って言葉です。普通の老人にはなれない、アウトな老人。若い頃に憧れてた映画の中のアウトローの、老人版。それには頑張って自覚を持とうとしているんです。昔、時代劇で『木枯し紋次郎』っていうドラマがあって、いつも揉め事になると『あっしには関わりのねえことでござんす』って言うんです。世の流行には関わりがねえって、アウト老も思うわけでね。そんなときにこのクレープ取材の依頼が来た。ただ普通の老人がやらないようなことは大好物ですから、関わりたいと思ったんですよ。たぶんこれが、アウト老仕事の第一弾じゃないですかね(笑)」

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