クリーニング Livrer 三宿ストア
仕上がりの風合いにまでこだわった納得のシミ抜き
アーティストの繊細な衣装もケアする凄腕クリーニング店
ファッションフリークのワードローブは、常にデリケートな素材や複雑な構造の洋服であふれている。そんな大切な一着についた悩ましいシミ。クリーニング店では対応できないと断られたり、自分ではどうしたらいいかわからず放置してしまうことも。Livrer三宿ストアは、「洗う」前提で作られていないにもかかわらず、汚れや摩耗が激しいきらびやかな舞台衣装のクリーニングを長く手がけてきた知見から、ユニークなデザインの服のクリーニングにも真摯に向き合う。彼らのポリシーは、洋服の生地に負担がないよう極力ドライクリーニングをせず、一点一点、手間をかけて水洗いをすること。汚れの除去に最適なのは水洗いだと確信しているからだ。ドライクリーニングがより効果的な場合もあるが、石油系のクリーニングなので環境負荷が大きく、独特の臭いがつくことも避けられない。
シミ抜きと洗いは、熟練のクリーニング師たちによって手作業で丁寧に行われる。汚れた部分へのダメージを最小限に抑えながら仕上げることに注力しているという。今回撮影したスウェットは、2種類の溶剤を使ってシミ抜きを行なった後、生地全体の退色の原因となった汚れを取るために、全体に2度の洗いをかけた。Livrerは6種類のハイスペックなオリジナル洗剤を自社開発し、汚れの原因に応じて、最適な洗剤を選び洗いをかける。今回はシルク&ウール繊維向けのデリケート衣類用と、しぶとい汚れによくきくアウトドア用の洗剤(5)をダブル使いした。費用は、シミ抜きが無料で2,800円。
ファッションエディターの福原咲子さんも太鼓判を押す。
「クリーニング界の革命児的存在。服好きにはたまらない、マニアックなお手入れをかなえてくれます。衣類のアンチエイジングを唱え、長く着るための相談に乗ってくれる。ケアのアイデアを広めていく姿勢にも共感します」
(左) 蒸気と超音波を当て、汚れの落ち具合をチェック。汚れの成分によって溶剤を変える
(右) シミが薄くなったら、適切な洗剤で水溶液を作り、ブラシにつけてシミを叩く
(左) もみ洗いをし、すすいだら脱水。シミの落ち具合を見て、この工程を繰り返す
(右) 自社開発した洗剤
金のフリルがついた杢生成りの生地のスウェット。果汁やワインらしき濃いシミが消え、全体的に色のくすみも明るくなった
Shop Data
東京都世田谷区池尻2の7の12 ストアハウス三宿1F
営業時間:11時〜20時
定休日:水・木曜
Instagram: @livrer_flagship
ajour 銀座三越店
ずっと使いたいリングはサイズ直しでアップデート
熟練の職人が腕を振るうジュエリーリフォームの世界
宝石の加工が盛んな山梨県甲府市で、1966年にジュエリー加工職人の工房として開業し、現在はジュエリーリフォームとリペアを専門とするajour。日本全国の大手百貨店14店舗に窓口となる店舗を構え、10名ほどのジュエリー職人を抱える工房は御徒町にある。指輪などのサイズ直し、フレーム変更、宝石の磨き直し、宝石の留め直し、チェーンの直し、イヤリングをピアスに加工し直すことから大胆なデザイン変更まで、多岐にわたるリフォームや修理を受け付けている。
今回は、ダイヤモンドがついたゴールド(K18)製リングのサイズアップをオーダー。ajourでは、ゴールドかプラチナ、一部店舗によってはシルバー製のアイテムにサイズ変更加工を施すことができる。まずは、店頭で加工相談と見積もりのカウンセリングを行う。指輪のサイズを左薬指から中指用に変え、内側に入ったイニシャルの刻印を消すというリクエストにこたえてくれたのは、ジュエリー職人歴38年の永元敬吾さん。サイズアップするには、一度指輪を切断し(6)、新たにゴールドの破片を加えて溶接する必要がある。切った部分を広げて必要な距離を出し、適切な分量のゴールドをはめ込む。その後は、熱加工(7)から研磨(9)まで、ミリ単位以下の細かい作業が続くが、永元さんの長年の経験による的確な判断と、無駄のない手順で進められていく。今回かかった費用は、33,550円。複雑なデザインほど、リフォーム加工の難易度が上がるが、商品の販売元のジュエリーブランドやほかの修理店で断られたオーダーの相談も受け、「最後の砦」として信頼を集めている。
リフォームの相談や見積もりは、ajour公式LINEでも、無料で受け付けている。ジュエリーの修理は、注文から完成まで約4週間、リフォームは約6週間ほど要している。ちょっとした悩みや疑問でも気軽に相談できる。
指輪の状態を見て、デザインに触れない箇所を切断機でカットする
(左) やすりと機械で余分な金属を削り、長さを出した部分の形を整える
(右) 全体的に磨きをかけてツヤを出す
(左) 水と超音波で洗浄
(右) 職人歴38年の永元さん
日常的に身につけたため全体的に傷があり、輝きが鈍い状態。5号から6号へサイズアップし、全体に磨きをかけ、ゴールドも宝石もツヤが増した
Shop Data
東京都中央区銀座4の6の16 銀座三越新館2F
03-3562-1111 大代表
営業時間:10時〜20時(銀座三越に準ずる)
Instagram: @ajour_jewelry
SARTO 銀座店
理想像が形になるオーダーメイド式洋服のお直し
テーラーメイドの技術と柔軟な造形感覚で洋服をリペア
2000年に創業し、銀座2丁目にアトリエを構えるSARTO 銀座店。洋服を体にフィットさせてシルエットをより美しく、着心地をさらに向上させるため、お直しもオーダーメイドと変わらないプロセスを大切にしている。そのため、店舗でフィッティングを行なった内容に応じて、メンズのテーラリングチームとウィメンズのチームが対応。前者はテーラーの作法に則った方法を、後者は自由なデザインや特殊な素材を得意とする。ときに知恵を出し合ったり頼ったりする間柄だという。
今回は、女性用のコートのお直しにつき、ウィメンズのチームより専門のフィッター・松尾尚子さんがクライアントに応じる(1)。ただの計測にとどまらず、職人に的確な指示を伝えるための大事な情報収集の時間と捉えている。「パワーショルダーのデザインをなだらかにして、体型に合わせたい」という今回のオーダーのように、モードな服を購入したものの、実際に着たらイメージと違うため理想に近づけたいという、服好きからの要望も多い。
縫製はチーフデザイナーの山本絵美さん(4)が担当。美術大学で立体物の制作を学んだ際、洋服の構造を理解して作り直す面白さを知り、この業界へ。パーツの解体からミシンでの縫製まで、流れるように手早く作業を進めていく。今回、肩幅詰めにかかった費用は15,000円ほど。ほかにも、帽子や毛皮、ドレスのリフォーム、2着の服をドッキングするリメイク、完全オーダーメイドの依頼まで相談に乗る。
showroom SESSION PRマネージャーの最勝久美子さんも、SARTO愛用者の一人。「以前、一枚仕立てのコートを、肩から外して全体的に小さくしました。仕上がりは息をのむほどの美しさ。低身長なので、お直し前提で購入したときの駆け込み寺です」
(左) フィッティングでは、専門のフィッターが直したい箇所や完成イメージについてカウンセリングを行う。並行してリサイズする寸法も計測
(右) 縫い目をほどいて、両袖と身頃に分解する。最後に脇下の裏地を縫い閉じるため、前もって縫い目をほどいておく
(左) フィッティングでの指示書をもとに、肩とアームホールにリサイズするラインをカーブルーラーで引き、不要な部分を裁断する
(右) ミシンでまずは両袖と身頃を、続いて肩パッドと2段階に分けて縫い合わせる。ゆき綿を入れて、肩のラインをふっくらさせたら、最後に脇下の裏地を縫って閉じる
ビッグシルエットのコートの両肩をショルダーポイントから1.5㎝ずつ詰めて、サイズダウン。デザインのムードを変えずに、体にきちんと合う規格に
Shop Data
東京都中央区銀座2の6の15 第一吉田ビル2F
03-3567-0016
営業時間:11時〜19時、〜18時(日)
定休日:水曜
Instagram: @sartoginza
紬かけつぎ店
キズ穴修復の技術の継承を担う若手が営む専門店
衣類にぽっかり開いた穴の糸や繊維を再び形成する
かけつぎとは、生地にできた穴や傷などを、手作業により元の生地と同じような織りや編みで修復する技術。かけつぎ専門店で10年以上修業した職人の長谷川雄一さんと岡野晃兵さんが、2020年に独立して開店した。スーツやコート、ニット、Tシャツなどに開いた虫食いや糸引き、ほつれを何事もなかったように修復する。着物文化のある日本で、100年以上の歴史がある技術だ。
今回は、カーディガンの裾のリブに開いた穴の修復を依頼。糸がほどけた部分は、同じ編み方を正確に再現して組織を再構成する。細かい組織を分解して作り直すので、職人は精密作業用のルーペを装着(6・7)。袖のつなぎ目に使われている糸を修復に使用。抜き取った箇所は別の糸と入れ替える。
1㎝×1㎝大の穴を合計3カ所ふさいでもらい、費用は18,000円ほど。かけつぎが完了するまでの所要時間は、約1カ月(繁忙期を除く)。どうしても着用したい日がある場合は、納日についての相談も可能だという。紬かけつぎ店への依頼は、メールや公式LINE、電話を通して。要望を伝え、直したいアイテムを店舗へ直接持って行くか郵送し、料金を銀行に振り込むことでオーダーが完了する。
(左) 渡した糸が抜けないように本体に絡めていく
(右) 当て布の上から、修復をした場所にアイロンを当てて完成
カーディガンの裾にあった穴が、まるで何もなかったような仕上がり
伊藤鞄製作所
鞄専門だからこそできる職人の知恵と技が光る
バッグの困りごとに複数のオピニオンと選択肢を提案
1960年に鞄職人が、MADE in JAPANを東京で作るという理念のもと創業。伊藤鞄製作所はバッグの企画から製造、販売まで行なってきた。いいものでも作りっぱなしはいけないという想いから、アフターケア、特に修理事業に力を入れている。現在は、就業環境に配慮した広い工房で、6名の鞄修理職人が働く。
担当したのは、キャリア16年の渡邉誠さん。今回はちぎれかけた取っ手の補修を依頼。その部分の装着はもちろん、取っ手の側面の切りっぱなし部分で損傷している箇所を縫い合わせ、補強を行なった。金額は11,000円。素人が気づかないバッグの傷みや弱点も、職人目線で気づき、いくつかアイデアを提案した上で修理をすすめる。寄せられる相談内容は、リサイズやリメイク、内袋の替え、縫い目のほつれ縫製修理、金具や取っ手の交換など。購入したてのバッグを、壊れる前に補強したいという相談も少なくない。
(左) 縫い目をほどいて、取っ手を外す。似たレザーをテープ状にし、裏に接着剤を塗る
(右) 取っ手のちぎれた部分に布製のテープを巻き、9のレザーを巻く
補強部分をミシンで縫う
バッグ内部に縫いつけられた取っ手の両端が、重い荷物によってちぎれかけている。布テープとレザーを巻き補強
Shop Data
東京都足立区東綾瀬3の5の7
03-3620-2257
営業時間:9時30分〜18時
定休日:日曜・祝日
Instagram: @ito_kaban
めがね修理のタムラ
河田愛歌さん(エディター)おすすめ
サングラスの右側のツルが折れ、セルフレームと金属の接合部分のネジを紛失。ツルを接合し、新たにネジ留めを依頼
日本が誇る世界的アイウェアの産地による最高の修理体験
福井県の鯖江市は、雪が多く地場産業がないため、農家の副業として広まったのが眼鏡製造の始まりだ。そう語るのは、父親世代から50年以上続く家業の眼鏡修理を行う田村和久さん(1・2)。ブランドや販売店で修理ができない案件でも、町工場の技術で加工や修理ができる場合が多い。職人に眼鏡の悩みや修理内容を直接伝えられるため、行き届いた満足度の高いサービスを提供できるのだという。「大手販売店と修理店に相談したところ断られ、鯖江市の職人さんならと思い、ダメもとでメール相談。快く引き受けてくださり、想像以上の仕上がりに感動しました」(河田さん)
Shop Data
福井県鯖江市長泉寺町2の1の8
0778-51-4046
営業時間:8時〜19時
定休日:日曜
Instagram: @tamura_for_repairing_glasses
VALET
木村舞子さん(スタイリスト)おすすめ
はき込んだため腰まわりの生地がたるんで、大きくなってしまったため、ウエストをほどいて、余剰を切り、ぴったりになるようサイズダウン
ジーンズソムリエ資格保持の洋服のリフォーム職人を頼る
オーナー齊藤昭文さん(5)は、大手洋服リフォーム店で技術を磨き、デニム好きが高じてジーンズソムリエの資格を取得。独立に至った。サイズ変更はもちろん、破れや穴の補修から、ベルトループの取り替えまで受け付ける。個人店であることから、ヴィンテージや一点もののリペアについての相談も多い。手入れ方法についても、プロの視点を交えてわかりやすく指南。「トップスをインしてはきたくて、緩くなったウエストを詰めてもらいました。ちょうどウエスト部分にあったリベットも残してもらい、リペアした跡がわからず、自然に仕上がってきてうれしかったです」(木村さん)
Shop Data
東京都練馬区上石神井2の27の1
03-6904-8339
営業時間:11時〜19時
定休日:水曜、第2・4木曜
Instagram: @valet__repair
SUPER8SHOES
柴田雅子さん(Harumi Showroom PR)おすすめ
購入時のむきだしだった革製のソールに貼りつけたのは、ラバー製のソール。傷みを予防し、履き心地を改善した
ヴィンテージショップお抱えの靴職人が足もとの悩みを解決
マニアをうならすアメリカ製のヴィンテージシューズを取り揃えたショップ(4)には、店主の堀口崇さん(3)と靴の職人が常駐している。オーナーのファッション感覚の審美眼と、多くの靴を見てきた職人の知識を結集し、的確なアドバイスと修理加工を提供する。ショップでは、デッドストックのソールや靴のお手入れグッズなども販売。「ショップの中にリペア工房があり、靴を熟知している職人さんがいます。ショートブーツになじみのいいソールを貼ってもらい、足への負担も軽減しました。 絶対的な信頼があり、お願いしたい靴がたくさんおうちで待機中です」(柴田さん)
Shop Data
東京都渋谷区千駄ケ谷3の22の5 B1
03-6804-2174
営業時間:12時〜19時30分
定休日:木・金曜
Instagram: @super8shoes
カラキヤ北沢クリーニング
小川夢乃さん(スタイリスト)・小坂英子さん(KATIMデザイナー)おすすめ
洗濯で存在感がなくなってしまったスカートのプリーツ。プレス加工でくっきり復活した
伝統に裏打ちされた信頼感。宮内庁御用達のクリーニング店
店舗の受付カウンターの奥にクリーニング工場を構える老舗クリーニング店、カラキヤ北沢クリーニング(7)。店主の宮城志有人さん(6)の祖父世代から培われた高いクオリティで衣類のクリーニングを提供している。特に定評があるのはプレス加工。プリーツの角がビシッと揃った仕上がりにこの店の品格と技術の高さがにじむ。また、東京の世田谷区、渋谷区、目黒区に限っては、車での集荷、お届けも。「諦めかけていたプリーツスカート(写真)が、購入時以上にひだが整って返ってきてびっくり!」(小坂さん)。「ここぞというときに着る大切な一着は必ずお願いしています」(小川さん)
Shop Data
東京都世田谷区北沢1の17の19
03-3466-8071
営業時間:8時〜17時30分
定休日:土・日曜
Instagram: @karakiya_kitazawa