こだわりのセレクトが光る相模屋本店のナチュラルワインと簡単おつまみレシピ【うち飲み向上委員会vol.5】

ここ数年、ファンが劇的に増えているナチュラルワイン。造り手のこだわりが存分に詰まったワインは個性豊かな味わいが魅力。今回の「うち飲み向上委員会」では老舗酒屋・相模屋本店からセレクトした、今秋おすすめのナチュラルワインをお届け。さらにゲストが教えてくれる、簡単でとびきりおいしいおつまみレシピも公開しちゃいます!


厳選ナチュラルワインと出張料理人・岸本恵理子さんの絶品おつまみ!

エディターAKIYAMA(以下A)食欲の秋ですよ~、美食祭りの開催です! 秋の夜長にいつもよりちょっと豊かな時間を楽しみたいということで、出張料理人の岸本恵理子さんをお迎えしナチュラルワインを飲み比べします。ナチュラルワインに精通している岸本さんに、今回のラインナップに合うおつまみレシピも教えていただきました!

岸本恵理子さん(以下K)ナチュラルワインはひとつとして同じものがなく、どれも本当にユニーク! 個人的には飲み疲れず、体に入れてもストレスを感じないところも気に入っています。季節の恵みを取り入れたおつまみは、どれもちゃちゃっと作れるので、是非皆さまに作っていただけたら嬉しいです。

ライターYOKOMIZO(以下Z)ナチュラルワインでうち飲みしているオシャンな人のSNSでもたびたび見かける相模屋本店さん。スタッフの方と岸本さんの最強タッグにご相談しながら選んだ注目の6本から、最後にはベストうち飲み賞も発表しちゃいます!

ミネラリーな桜色の白ワイン「グラニット」【ライターZリコメンド】

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グラニット¥3,960/相模屋本店(フロリアン・マチルダ・ハートウェグ)

土壌の特徴が表現された、葡萄の果実味

A そもそもナチュラルワインの定義ってあるのかな?

Z 明確にコレっていう定義はないみたいですよ。例えば農薬を使わず葡萄を栽培したり、防腐剤を極力使わないワインの製造方法など可能な限り自然な方法で造られているというのがポイント。

K ちなみにこのグラニットは亜硫酸無添加の白ワイン。亜硫酸は元々葡萄が発酵してワインになる過程で自然と生成されるものですが、劣化を抑えるために後から添加しているものも多いんです。

Z まずこの繊細な桜色にスパークジョイ♡ ワインにもときめきが見つけられることをこんまりさんにお伝えしたいですね~! 食卓が華やぐので、おもてなしの1杯目にもおすすめです。

A うち飲みでコレはたしかに気持ちがアガる~(笑)。甘口かと思いきや、イキイキとした酸味が意外! ほのかに塩味も感じられます。

K 口元がキュッとするような、シャープな酸味がたまりません。この土壌はミネラルたっぷりで、葡萄の果実味が凝縮され緻密な味わいに仕上がるんですよ。

コスパ最高のイタリアンワイン「マレーサ 2019」【エディターAリコメンド】

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マレーサ 2019¥2,750/相模屋本店(マッセリア・スタルナリ)

A お次はマレーサ。 飲んだ瞬間は味がしまっていて、口の中で果実味がじわ~っと広がって親しみやすい味になる。少し冷やしめの温度で飲むのがおすすめだそう。個人的にはちょっと時間をおいて味がふんわり開いた感じも好きでした。白といえばキンキンに冷やして飲むのがうまい! と一般的に言われていますが、ナチュラルワインでは違うのでしょうか?

K ナチュラルワインは旨味が強いものが多いので、冷たすぎるとその醍醐味を感じられないんですよね。初めの1杯はまず冷たい状態を楽しんで、2杯目からはテーブルに置いておき、その温度なりのおいしさを堪能してみてほしいです。

Z オレンジのようなニュアンスのある酸味が、ひんやりしていると引き立ちます。爽やかさもありながらまろやかな余韻もあって……「軽い飲み心地の」ひと言では片付けられない。

K マレーサは以前にも飲んだことがありますが、2019年はめちゃくちゃ当たり年だと思います! 少し温度が上がって味に膨らみが出てきたら、「なすの甘酢マリネ&早生みかん和え」と是非。(レシピは下部をチェック)

ニュートラルな味わいのスパークリングワイン「ペットナチュレル」【岸本リコメンド】

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ペットナチュレル¥3,850/相模屋本店(シェードル)

溌溂とした切れ味に芳醇な果実味が◎

K このワインに使われているグリュナーフェルトリナーというオーストリアの品種が大好きなんです。骨格のしっかりとした味わいに仕上がり、葡萄の良さがすごく出ています。

Z あのぉ、骨格ってどういうことでしょう? ワインの表現って詩的で素敵なんですけど、お店などで恥ずかしながらよくわからず聞き流しているときがあります。

ここで私が思うしっかりとした骨格とは、綺麗な酸が土台にあることで、(赤ワインなどでは骨格=タンニンなどを指したりもします)それによって、他の味わいの輪郭もはっきりして、厚みがあるって感じかな。さらに切れ味の良さも魅力。

なるほど~! このグレープフルーツの皮のような苦味もアクセントになって好きです。

五感に染み渡るフルーティな味わい「ヴィトヴスカ セレッツィオーネ」【ライターZリコメンド】

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ヴィトヴスカ セレッツィオーネ¥5,500/相模屋本店(マルコ・フォン)

Z スロベニアからやってきたオールラウンダーをご紹介します! すごく飲みやすくってバランスの良い落ち着いた味わいの1本。どんな料理も受け止めてくれる実力を感じますが、この「生落花生のスパイス紹興酒漬け」との相性は最高です♡(レシピは下部をチェック)

K この白ワインは、2016年のヴィンテージでまさに飲み頃! 年間の生産量も多くなく、とても大事に造られているんです。

A ワインもピーナッツも本当においしすぎて止まらないんだけど!(モグモグ)

葡萄そのもののポテンシャルが高く、穏やかに熟成された感じがしますね。タコやイカなど、旨味の強い食材とも合いますよ。

即完売の人気赤ワイン「フレイザ」【エディターAリコメンド】

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フレイザ¥2,640/相模屋本店(カッシーナ・タヴィン)

美酒の里で造られたナチュラルワイン

A このワインが造られたイタリアのピエモンテといえば、バローロやバルバレスコなどリッチなテイストのワインのイメージがあります。この赤ワインはジューシーさもあるけど、全体としては軽やかな印象。 重たいワインが苦手な自分でもおいしく飲めたので、同じように思っていた方には是非飲んでみてほしいですね。

K 2〜3年熟成させてからリリースされるバローロとかバルバレスコは、地元の人も普段から飲むには重いし、結構値も張る。でもフレイザはもっとカジュアルで、むしろ発酵途中とかを瓶詰めしてちょっとピチピチしている感じ。みんなが気軽に飲むワインです。

Z 瑞々しい果実味があふれる一方で、穏やかで飲みやすい。いろいろなうちごはんと合いそうですね!

K ポルチーニなどキノコ類をフリットにしたり、シンプルに炒めてパスタに合わせたり。ワインのほのかな渋みが秋の食材とぴったりです!

アップカミングなワインをいち早く!「カルカリウス ロッソプーリア」【岸本リコメンド】

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カルカリウス ロッソプーリア¥3,850/相模屋本店(ヴァレンティーナ パッサラクア)

プーリアの伝統を覆す、すごいワイン

K ネグロアマーロ品種は、ネグロ(黒)アマーロ(渋い)というネーミングの通り、プーリアの伝統的な造りだと「まるで万年筆インクか?」ってくらい色も味わいも濃い赤ワイン。でもこの造り手のワインは、もっと軽やかにスッと飲める。造っているのは髪の毛が逆立っているめちゃくちゃパンクなシニョーラなんです!

A 岸本さんが作ってくださった「新生姜のフライ」と相性が抜群ですね。ワインがどんどん進んじゃう!(レシピは記事下部をチェック)

K ほどよいタンニンもフライのおいしさを引き立ててくれるんです。

揚げ物なのにこんな爽やかペアリングはゼロカロリーってことで!(笑)

生落花生のスパイス紹興酒漬け【岸本さんのワインに合うおつまみ①】

ビッグサイズの落花生「おおまさり」を使ったおつまみ。生落花生がないときは、ゆでた枝豆で作ってもおいしいです。



[材料](作りやすい分量)
生落花生(おおまさり) 400g
塩 少々
A
 紹興酒 150ml
 醤油 50ml
 みりん 50ml
 水 200ml
 スパイス〈シナモンスティック・八角(ホール)・鷹の爪〉 各1〜2個
 スパイス〈コリアンダーシード・胡椒(ホール)・花椒(ホール)・カルダモン(ホール)〉 各小さじ1/5〜1/4

[作り方]
生落花生は、たっぷりの湯に塩を少々入れて40分程ゆで、柔らかくなったらざるに上げる。粗熱が取れたら手でつぶして殻に隙間を作り、ボウルに入れる。

新生姜のフライ
[材料](3〜4人分)

新生姜のスライス 15〜20枚程度

A
 小麦粉 大さじ4
 卵 1個
 水 大さじ2
 揚げ油 適量
 塩 少々

パン粉(細挽き)  適量
塩 適宜
早生みかん 適宜

[作り方]
新生姜をきれいに洗い、3mm程の薄切りにする(皮はむかなくてOK)。キッチンペーパーを敷いたバットに並べ、さらに上からキッチンペーパーをのせて、しばらく置いて水分を取る。

ボウルにAの材料を入れ、泡立て器でダマにならないようによく混ぜる。バットに平になるようにパン粉を入れ、❶をまんべんなくひたして、軽く液体をきってからバットに並べ、さらに上からパン粉をかける。

揚げ油を170度に熱し、❷をこんがりきつね色になるまで揚げる。

❹熱いうちに塩を軽く振る。お好みで一口大に切った早生みかんを添える。

うち飲み向上委員会メンバー

岸本恵理子
出張料理人。「自ら感動した味とその記憶を伝えたい」と、イタリア修行からの帰国後、出張料理人を始める。個人宅から映画のなかの料理制作まで、流しの料理人として食に関わる仕事を幅広く手掛けている。実は自分の台所でもひと様の台所でも、ガソリン=ワインがないと動きが鈍る。ワイン発祥の地と言われるジョージアでの料理修行経験もあり。
instagram: eritin_on_the_earth
ライターYOKOMIZO
おいしいお酒とごはんのためなら、高い海外輸送費も厭わず即ポチ。苦手な家事は休日に大好物の泡を飲みながらやっつけます。最近は海外の料理番組を観て、妄想トラベル。
エディターAKIYAMA
お酒はもっぱら外でハシゴ酒だったのが、ここ1年でうち飲みの魅力に開眼! おいしいお酒を飲みながら、ほろ酔い気分で愛猫と遊ぶのが至福の時間。

photography:Hiroki Nishioka illustration:Abbott Okutani text:Momoko Yokomizo

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