【北海道ワイン】人気ワインショップ・ウィルトスおすすめの、今注目の北海道ワイン6選【うち飲み向上委員会vol.38】

ここ数年、日本のワイン前線は急ピッチで北上! ワイン通に国内の注目エリアを尋ねれば真っ先に上がってくるのが北海道だ。北の大地ではワイナリーが続々と増え、有名な空知や十勝以外の土地からも新しい風が吹く。そこで今回のうち飲み向上委員会は、北海道ワインが充実する東京・自由が丘のワインセレクトショップ「ウィルトス」で道産ワインを飲み比べ! おすすめとともに、北海道ワインの魅力をお届けする。

新たなワインの銘醸地・北海道! 人気ワインショップのおすすめを飲み比べ
エディターAKIYAMA(以下A)今回のうち飲み向上委員会は課外授業です! 先生はワインのセレクトショップ・ウィルトスのオーナーである中尾有さん。神宮前に続く2店舗目として昨年オープンした自由が丘にあるショップ&バーにおじゃましております。テラス席もあって広々と気持ちがよい空間で、最高だな〜!

中尾有さん(以下N)ありがとうございます。北海道は後発だからこそ実験的なワインがあったり、幅広い年齢層の方が活躍されていたりと面白いんですよ! 今日はベテランの造り手から、移住組のニューカマーまでお気に入りのワインをご紹介します。

ライターYOKOMIZO(以下Z)最後には恒例の「ベストうち飲み賞」の発表も。今のワイントレンドをキャッチアップしましょう!

テーブルグレープの微発泡「ロウブロウ クラフト ナイアガラ 2022」

ロウブロウ クラフト ナイアガラ 2022
ロウブロウ クラフト ナイアガラ 2022〈750㎖〉¥2,585/ウィルトス(ロウブロウ クラフト)

N 2022年に北海道・余市に誕生したばかりのロウブロウ クラフトは、新しいスタイルのワイナリー。地元の葡萄農家と地元レストランがタッグを組んでいて、農家で醸造担当の赤城学さんはドメーヌ タカヒコで修行を積んで独立された方です。

A これはナイアガラという品種で造った微発泡の白ワイン、生食用ぶどうですよね? 

N そうそう、国産ワインは元々生食用葡萄が主流なんです。ピノノワールなどワイン用葡萄は生産量が少なくワインが高くなってしまうから。昔はデラウェアが多かったけど、最近ナイアガラを使ったワインが増えているんですよ。

Z レモンっぽいテイストやスパークリングであることも相まって爽快感が半端ない! 華やかで甘い香りがまたキュンとさせる〜っ、これは青春の味。汚れちまった大人に、ピュアな心を思い出させてくれます。

A つまり、おいしいってことね(笑)。ワインというよりも、アロマや清涼感がクラフトビールっぽい。グビグビ飲んじゃうなー!

N すっきりとした飲み口でおいしいでしょう! 新しい個性になっていますよね。

ヤマブドウで造る上質な赤「ファイアープレイス 2020」

ファイアープレイス 2020
ファイアープレイス 2020〈750㎖〉¥3,100/ウィルトス(さっぽろ藤野ワイナリー)

Z 札幌のワイナリーで、2000年から葡萄造りを始め、2009年から醸造をスタート。ワイン造りの道のりって長いなぁ、まずそれだけでリスペクトです。

N 開墾して、葡萄の木を育てるところからスタートしますからね。ここはパークゴルフの事業をやっている大きい会社で、別業態からの進出です。

A フレッシュな酸でおいしい! 山葡萄をメインに野生酵母で発酵させているんですね。ジュースだと結構クセがあるので、こんなに飲みやすいとは思いませんでした。

N かなりおいしいです、このクオリティのものはなかなかありません! 自然派ワインのライトな造り方でやらないと、酸と渋みが強い山葡萄はうまく処理できないと思います。あとは他の品種をブレンドすることでバランスをとっているのではないかと。どうしても山葡萄だけだとワインとしての旨みが少ない。旨みが濃いピノノワールを足して仕上げていますね。

Z 山葡萄、成り上がったな! 田舎出身の孤独なミュージシャンが、上京してバンド仲間に出会い、夢の武道館に立つ。そんなサクセスストーリーが見えました!

色も味もチャーミングな余市のロゼ「ピンクナイアガラ 2022」

ピンクナイアガラ 2022
ピンクナイアガラ 2022〈750㎖〉¥2,600/ウィルトス(ミソノヴィンヤード)

N これは造り方がすごくユニークなロゼなんです。ナイアガラ果汁をピノノワールの皮で少しだけマセラシオンしているんです。だからフレーバーもちょっと柔らかい。テイスティングしてみてください。

A 同じナイアガラを使っているけどロウブロウ クラフトとはまた全然違います! ジューシーさがあって、旨みが強まりますね。

Z カバのエチケットがキャッチーかつ価格がお手頃で、ギフトにも良さそう! このワイナリーはどんなところですか?

N 元々東京の青山で「バーガンディ」というワインバーを経営していて。2019年に北海道・余市で土地を開墾し、2021年に認可されてスタートした新しいワイナリーです。

Z バーガンディ」、知っています! すごくラグジュアリーな雰囲気のところでしたよね。

N そうそう。そこを閉店されて、今は無添加、天然酵母、無濾過にこだわったワイン造りの道へ。まだ小規模ではありますが、これからが楽しみです。

A こうしてワインの造り手が集まる北海道の魅力ってどんなところでしょう?

N やっぱり決定的な要因は冷涼な気候。本州がこれだけ暑くなってきている中で、温度帯が低いので多彩な葡萄品種を栽培することができますから。メルローやキャンティも植えられる、そういうところは他の国でもないですねあと収穫時期に台風が来ないことも大きいと思います。

ヨーロッパレベルの自然派ワイン「2021 メルロブラン・ド・ノワール」

2021 メルロブラン・ド・ノワール
2021 メルロブラン・ド・ノワール〈750㎖〉¥4,100/ウィルトス(多田農園)

Z ロゼのスパークリングでしょうか?

N これもちょっとユニークなワインですね。サーモンピンク色ですが、実は微発泡の白なんです! 味も面白いですよ。

A おいし〜い! 梅やグレープフルーツのような、酸味がありつつもほんのり甘みを感じます。

N 梅酢っぽいニュアンスで、このビネガーみたいなフレーバーが和食にぴったり。ブラン・ド・ノワールというのは名前の通り、黒い葡萄から白いワインを造るということ。ピノノワールから造るシャンパーニュの製法と同じです。 

Z 割烹はもちろん、カジュアルな家庭料理にも合いそう! 多田農園さんがあるのは富良野なんですね。
N 街中からちょっと離れたところにあって、何回も行かせてもらいました。元々は玉ねぎと人参農家で、葡萄はその後ですね。福祉にも積極的で障がい者の方も一緒に働かれているんですよ。オーベルジュもやっています。僕が一番好きな北海道ワインはここのなんです。日本ワインっぽくないでしょう? ヨーロッパに良い意味でクレージーなナチュラルワインってあるじゃないですか(笑)、そういう遊び心を感じます。 

Z 守りに入っていない、やんちゃな味です! イタリアの自然派ワインですって言われたら、そうかなと思っちゃいますね。

N ピノノワールもすごく洗練されたおいしさで、どこで造られているかわからないくらい。野生酵母のワインはマニアックなもの、それをローカルなところで挑戦されているバイタリティがすごい。縮こまっていちゃいけないなと、自分も負けられないなっていう気持ちにさせてくれます!

道内最旬エリアのワイナリー「スノーリバー ロザート 2021」

スノーリバー ロザート  2021
スノーリバー ロザート 2021〈750㎖〉¥3,000/ウィルトス(雪川醸造)

Z ワイナリーがあるのは北海道の東川町。2020年設立だから、ここもニューカマーですね!

N 旭川空港の近くの自然豊かなエリアで、北海道の軽井沢的なイメージかな。東川町は移住者がめちゃくちゃ多くて、今一番アツいですね。昔から木工が盛んだったり、写真の街としても有名になったりして、クリエイティブな職種の方の移住も多いみたいですね。そして今はワイナリーも、おしゃれなビストロもできました。

A あの話題の街だ! SPURでもお世話になっているフォトグラファーの方も、写真のプロジェクトに参加されていました。

N 雪川醸造のオーナーは移住組で、元々はIT系の会社に勤めていた方なんです。このエチケットもAIがデザインしているんですよ。

Z 最先端と大自然の理想的なバランス、日常が小洒落ていますね。これから「東川町出身」はパワーワードですよ。

A ルビーレッドの色がきれいなロゼワインですね。色が濃いので赤ワインにも見えそうなくらい、おいし〜!

N ベリー系のニュアンスとすっきりした酸は食事にもよく合うし、おすすめです!

大地の強みを凝縮した白ワイン「REGENBOGEN 虹 2020」

REGENBOGEN 虹 2020
REGENBOGEN 虹 2020〈750㎖〉¥4,300/ウィルトス(えべおつWEIN)

N ここは滝川市江部乙町で高橋さん親子が営むワイナリー。僕も行かせてもらったらすごく良い方達で! 東京からご家族で北海道へ移住して新規就農されたんですよ。2023年から醸造所もスタートする新しいワイナリーです。

Z 生産地として初めて聞くエリアです。ワイナリーがあるところは、このエチケットのような場所なんですか?

N そうですね、まさにこんな感じのところでした。この白ワインの魅力はストラクチャーがしっかりしていて、ヨーロッパっぽいんですよね。輪郭がはっきりしていて、酸とミネラルがあって、厚みもあるけどバランスがいい。こういうワインを造るには日本の本州では暑すぎるけど、冷涼な北海道なら可能なんです。

Z 黒白7品種をブレンドした複雑さと、筋のとおった洗練された味わいは、今回のラインナップの中でひと味違いますね!

N ガストロミックな料理や寿司などの繊細な味を受け止められるのは、こういうエレガントな味わい。ベーシックなワインはそういうものだったんですけど、だんだんとアンチテーゼで、「もっとカジュアルで楽しくていいじゃん」という考えが出てきた。またそれが流行ってくるとクラシックなものへ戻ったり。ファッションのトレンドと同じで、繰り返しですね。僕は両方大好きなんですけど、シチュエーションによりますね。でも逆にいうと、他の5本は単品で飲んでも楽しめたり、エスニック料理と合ったりとかそれぞれの良さがあります。どちらもあるからいい。

A どういうふうに、いつ、誰と飲みたいかってことですね! ドレスもデニムも、ヒールもスニーカーも好きな気持ちと同じ♡



〜今回の「ベストうち飲み賞」を発表します!〜

A 葡萄の品種もワインの種類も充実していて、北海道ワインといっても地域ごとにまるで違う魅力があることに驚きました!

N そう言ってもらえると嬉しいです。今回の6本以外にもまだまだおすすめしたいワインがあります!

Z 甲乙つけ難いのですが、中でも選ばせていただくなら、多田農園の「2021 メルロブラン・ド・ノワール」に。おいしさはもちろん、取り組みにも一票です!

A 私は7品種の葡萄を使ったワイン「REGENBOGEN 虹  2020」をまた飲みたい! 2023年に醸造所もスタートされるということで、これからどんどんおいしいワインを造られていくんだろうなと思いました。

Z みなさんもぜひ北海道ワインを探しにウィルトスさんへお出かけください!


ウィルトス
https://virtus.buyshop.jp/ 

【うち飲み向上委員会メンバー】

中尾有
慶應義塾大学卒業後、成城石井のワインバイヤーや都内レストランでのソムリエを経て、フランスワイン専門店「LA VINEE ラ・ヴィネ」に入社。2015年「ウィルトスワイン神宮前」、2022年「ウィルトスワイン自由が丘」を設立。クラシックなワインから自然派ワイン、日本ワインまで多岐にわたるワインを扱う。

ライターYOKOMIZO
おいしいお酒とごはんのためなら、高い海外輸送費も厭わず即ポチ。苦手な家事は休日に大好物の泡を飲みながらやっつけます。最近は海外の料理番組を観て、妄想トラベル。

エディターAKIYAMA
お酒はもっぱら外でハシゴ酒だったのが、ここ3年でうち飲みの魅力に開眼! おいしいお酒を飲みながら、ほろ酔い気分で愛猫と遊ぶのが至福の時間。

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