2023.04.15

【ソムリエ小久保尊さんが解説】 ワイン初心者におすすめ!ブドウ品種の特徴で選ぶ、赤&白ワイン6選【うち飲み向上委員会vol.41】

店員さんやソムリエさんに好みを聞かれても、“ワイン選びは勘が頼り”な人は少なくないはず! そこで今回のうち飲み向上委員会では、15万部突破のベストセラー『図解 ワイン一年生』の著者であり、ソムリエの小久保尊さんをゲストに迎えて、メジャー品種で造られたワインを飲み比べ。世界中に数千種あるともいわれるブドウから、赤はカベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、メルロー、白はシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングの6つの味を覚えてしまえば羅針盤を手に入れたも同然。ワインの大海原ももう怖くない!

ビギナーが押さえておくべき! メジャー6品種の単一ワインを飲み比べ
エディターAKIYAMA(以下A)ご著書のコピー“世界一かんたんなワインの教科書”の通り、ブドウ品種をマンガキャラクターに仕立てた気取らない説明がとてもわかりやすくて、ようやく品種というものが理解できた気がします! 

小久保尊さん(以下K)ワインを知る近道は、品種の味の特徴をぼんやりつかむことだと思います。世の中に出ているワインの多くは、この6品種のうちのいずれかが使われているので、まずはここから始めましょう! 

ライターYOKOMIZO(以下Z)覚えるべきはたった6つ、これであなたも違いのわかる大人舌に近づける! おすすめのワイングラスや正しいワインの保管法など、ワインについての基本のイロハを小久保さんから教えてもらいました。最後には「ベストうち飲み賞」も発表します!

メジャー6品種のワインを飲んで、味わいの特徴をつかもう!

ワインのぶどう品種の特徴イラスト

歴史が古いヨーロッパのワインは品種をブレンドして造るのが主流で、混ざってしまうと相当な経験者じゃないと、各品種の味を判別することはできません。反対にニューワールドと呼ばれるワイン新興国のものは、品種を一種類に絞った単一と呼ばれるものが主流。味を知るという目的なら、単一の方がはっきりと違いがわかりやすく、各品種の味に慣れるのには最適!

ワインの品種の特徴をマスターする方法は、赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨン、白ワインはシャルドネを軸にして、味をたどる方法です。カベルネ・ソーヴィニヨンのパンチの効いた濃厚な味が気に入って別バージョンを飲んでみたかったら、次はまろやかな味わいが特徴のメルローを試してみましょう。カベルネ・ソーヴィニヨンがちょっと重いなと感じたら、ピノ・ノワールへ。タンニンも酸味も控えめで、なんといっても香りが魅力の品種です。

白ワインは、安定感があって典型的な辛口であるシャルドネを飲んでみて、もうちょっとすっきり寄りの味わいが良ければ爽やか系フレーバーのソーヴィニヨン・ブランをトライ。フルーティな白ワインを飲んでみたいと思ったら、リースリングを選びましょう。酸味とのバランスが良いおいしい甘口が楽しめますよ。でも今回選ばなかった品種もぜひ飲んでみてください! 産地や造り手が違えば味わいも変わって、好みのワインに巡り合えたり、色々試しているうちに舌も肥えるはず。

ナパのワイン名家の流れをくむ「スペルバウンド カベルネ・ソーヴィニヨン」

スペルバウンド カベルネ・ソーヴィニヨン
スペルバウンド カベルネ・ソーヴィニヨン¥2,900/ジェロボーム(マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステート)

Z 赤ワインの基本のキは、カベルネ・ソーヴィニヨン! 今回はカリフォルニアワインですね。

K カベルネ・ソーヴィニヨンは、世界中で造られている超人気品種です。白ワインの軸となるシャルドネをスーパーアイドルとキャラ付けするなら、カベルネ・ソーヴィニヨンはどんな役割もきっちりこなす優等生タイプですね! 皮が厚いのでタンニンが豊富、ブドウの味もしっかり感じられます。

A フルボディということですね! ナパのワインをチョイスされたのは?

K ボルドーワインだとブレンドされているので、品種の個性というよりは造り手の個性が出ます。そういう意味でも、品種について知りたいなら単一が多いニューワールドがいい。チリもいいですよ!

Z アメリカのカベルネ・ソーヴィニヨンなら、もっとどっしりした味をイメージしていたのですが、そこまででもない! バランスが良くて飲みやすいです。

A このワイナリーはどんなところですか?

K オーパスワンを造っていたカリフォルニアワインの名家であるモンダヴィ一族の、ロバート・モンダヴィ・ジュニアが親しみやすいカリフォルニアワインを造り出すために設立したワイナリー。カリフォルニアのワインって結構甘かったりするんですよ。でもこれはバランスが良く、品種の個性も出ています。それでいてカリフォルニアらしいバニラっぽい樽香の余韻もあって、ちゃんとおいしい!

バランス抜群のイタリア産「ジャンニテッサーリ ピノ・ノワール」

ジャンニテッサーリ ピノ・ノワール
ジャンニテッサーリ ピノ・ノワール〈750㎖〉¥2,200/アズマコーポレーション(ジャンニテッサーリ)

K ピノ・ノワールは高級なワインを造る品種。シャンパンをはじめ、ブルゴーニュの高級ワインとして有名なロマネ・コンティもピノ・ノワールから造られています。

A カベルネ・ソーヴィニヨンを赤ワインの軸にした場合、ピノ・ノワールはより軽めの味わい。カベルネ・ソーヴィニヨンは重いと感じた人におすすめの品種ですね!

K 葡萄の皮が薄いので、透明感があって輝きのあるような、ルビー色のワインになることが多いです。これは少し色が濃いめですが……!

Z クリーンな飲み口、良い意味で舌にあまり残らないのが個人的には好みです!これはイタリア産の単一ワインですが、フランス産との違いはありますか?

K ブルゴーニュよりイタリアは南にあり少し暖かいので、果実味が増しキャッチーな味わいかなと思います。ピノ・ノワールの三大産地はフランス、アメリカ、ニュージーランド。アメリカのピノ・ノワールだとオレゴン州が有名でよりパワフルな味に。ニュージーランドやイタリアは中間的で、ブルゴーニュほど上品すぎず、アメリカほど味のパンチが強すぎないので、ビギナーの人には特におすすめです!

Z ブルゴーニュの熟成された味わいを堪能するには、大人舌がほしいところ。ニュージーランドワイン、イタリアワインで武者修行します!

しっかり味のチリ赤ワイン「シングルヴィンヤード サグラダ・ファミリア メルロー」

シングルヴィンヤード サグラダ ファミリア メルロー
シングルヴィンヤード サグラダ ファミリア メルロー〈750㎖〉¥2,915/モトックス(ビーニャ・バルディビエソ)

K 最初のカベルネ・ソーヴィニヨンの味わいが好きなら、このメルローも好きなはず!メルローはカベルネの渋みを穏やかにして、まろやかさを足したイメージです

Z このチリのメルローは、タンニンが結構ありますね。

K メルローらしさという観点からすると、このワインに関してはタンニンがやや強いですね。単体でもおいしい味わいだけれど。チリ産のワインは味の骨格がしっかりしています。メルローの特徴としては、果実味というより、土っぽさとか木っぽいニュアンスがあるんですよね。チリのメルローは甘くないですが、酸味がほとんどありません。

Z ステーキやすき焼きとペアリングしたい味わいです!

K レバーパテにベリーソースを添えたり、ブラックチェリーのパイなど、ベリーを使う料理も合うと思いますよ。

カリフォルニアのハイコスパ白「アデュレーション シャルドネ」

アデュレーション シャルドネ
アデュレーション シャルドネ〈750㎖〉¥2,160/ヴィントナーズ(アデュレーション)

Z 白ワインで軸になるのがシャルドネということですが、詳しく教えてください!

K シャルドネは世界的に栽培に成功し、造られている品種ですね。そんなところから、スーパーアイドルというキャラ付けをしました(笑)。シャルドネを好きな人も実際すごく多いですから。産地や造り手によって大きく味わいが変わるというのも特徴です。ヨーロッパならフランスのシャブリが有名。北の寒いところなので酸がシャープで、すっきりとした白ワインに。それがカリフォルニア色に染まると樽香も、果実味もガツンと強くなります! 

Z たしかにアデュレーション シャルドネは、ジューシーな味わいです! 丸みのビロードのような感触が、暖かくてリラクシングなLAっぽい。ココナッツや洋梨、トロピカルなニュアンスも

K そのニュアンスもカリフォルニアワインらしさですね! ただ味をたどるという意味で、基本のシャルドネにしてはちょっと極端だったかもしれません。だいぶカリフォルニア色に染まっていますね。ついおいしくて選んでしまいました! 

Z 私の中でこのカリフォルニアシャルドネはケイティ・ペリーでしたが、基本のシャルドネはハリー・スタイルズかな!

A それも軸にしてはクセ強くない(笑)!? 

ニュージーランドの自然が生み出すフレッシュな辛口「ストーンベイ ソーヴィニヨン・ブラン」

ストーンベイ ソーヴィニヨン ブラン
ストーンベイ ソーヴィニヨン・ブラン〈750㎖〉¥2,016/アプレヴ・トレーディング(マールボロ・ワインズ)

K シャルドネを飲んでみて、もっと辛口すっきり系が好きだなと感じた人はソーヴィニヨン・ブランを試してみてくださいグレープフルーツやハーブのニュアンスが典型的な特徴です

Z これはニュージーランド産のチョイスですが、ヨーロッパとどう変わりますか?

K ヨーロッパだとフランスのロワールやボルドーも有名ですが、ニュージーランドも名産地なんですよ! ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランはハーブ、青くささがパワーアップします。そこに優しい果実味が加わるのがヨーロッパとの違いで、めちゃくちゃおいしい

Z 確かに草原のように青々しく、爽やか〜! ほろ苦さがあるけれど柑橘類に近く、全く嫌な感じはしません。

A このワインのおすすめポイントは?

K ソーヴィニヨン・ブランらしさがすごくよく出ているので、わかりやすいと思いました。それでいて¥2,000台で買える! ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランはそんなに高くないけど一定のクオリティが担保されているイメージです。シャルドネは黄桃とかパイナップルのようなニュアンスがあったと思うんですけど、これはもっとさっぱり系。飲む前にキンキンに冷やしましょう。うちの店でも人気で、ソーヴィニヨン・ブランが好きならこれは間違いないやつです!

オーストラリアだから出せる果実味「ローガン・ワインズ ウィマーラ リースリング」

ローガン・ワインズ・ウィマーラ リースリング
ローガン・ワインズ・ウィマーラ リースリング〈750㎖〉¥2,090/モトックス(ローガン・ワインズ)

 K リースリングはドイツやフランス・アルザス地方の甘口が有名ですよね。ニューワールドだとオセアニアで多く造られている品種ですが、今回はオーストラリアのこちらをご紹介したくて!

Z 基本的なリースリングの特徴というとどんな味わいですか?

K 甘口だけでなく、辛口も造られているんですよ。結構酸が強い葡萄なので、甘口に造った時にも、酸によりバランスが取れワインとしておいしくて甘ったるくない。そういうところから品種の特徴をツンデレキャラにしました。酸もあり、甘くもあり(笑)。

A このワインは甘口寄りではなく、辛口に仕上げているタイプですが、これもまたおいしいっ! オーストラリアという産地になった場合、品種の特徴にどういう変化があるのでしょう?

K オセアニアは暖かいエリアになるので、果実味が増し、フルーツの甘みに近い。ドイツやアルザスの寒いところでは甘口に造っても、フルーツというよりは蜂蜜っぽい甘さが出てきますね

Z ドイツの方がシュッとした甘みですよね、こういうふくよかな甘みのリースリングは新鮮。韓ドラのツンデレイケメン御曹司がデレを出してくるターンをご想像ください(笑)!

正しいワイングラスの選び方って?

【ソムリエ小久保尊さんが解説】 ワイン初の画像_8

持っておくと便利なワイングッズは数あれど、一番大事なのはちゃんとしたワイングラスです。高級なものである必要はなく、種類を揃える必要もありません。家に一脚だけ、大きめで薄く作られたもの、そして飲む時にグラスの内側に鼻がしっかり入るくらいリムが広いものがあればOK! 口当たりがよく、香りの集まり方が格段に違います。ワイングラスがちゃんとしているだけで、ワインのおいしさはお値段以上になりますよ!

ワインの注ぎ方や味わい方をマスター!

【ソムリエ小久保尊さんが解説】 ワイン初の画像_9

ヴィンテージワインは空気とずっと触れ合っていなかったので、デキャンタージュが必要。空気に触れさせて、味や香りを開かせるのが目的です。リーズナブルなワインはあまり変化を感じないかもしれませんが、そこそこ良い価格のワインだと少し高めの位置からジョボジョボ注ぐだけでも、空気に触れて香りと味が開きやすくなります。最初は低めの位置から注いで、徐々に高くしていくと格好良いですね! スパークリングワインの場合は泡が飛ばないように、優しく注いでください

ワインをグラスに注いだら、セオリーとしてはまずグラスを回さないで香りを嗅ぎます。最初に感じる香りがトップノート。その後に、グラスを回してみたらもう一度嗅いでみる。回すのは6回くらい、でも正解はないと思います(笑)。

そして味わい方は自由ですが、自分で選んだワインや高級ワインの味をちゃんと知りたい時は舌全体で味わうのがポイント。ひと口そっと口に含み、舌全体にワインを広げて染み込ませるようなイメージで味わうとわかりやすいです。品種の味を意識しながら飲むと、インプットされやすいですよ。

赤&白ワインの保管法について

【ソムリエ小久保尊さんが解説】 ワイン初の画像_10

最近はワインセラーもお手頃でコンパクトなものがあるので、ベストな保管方法はこれ! そうでない方法なら冷蔵庫の野菜室、もしくは床下収納やパントリーなど温度変化が大きくない場所がいいですね。赤ワインも常温保存はおすすめしません。特に軽めのものほど少し冷やした方がいい! 重めのものでも18度くらいで保管しましょう。いざ飲むときに保管場所から取り出すタイミングは、重めの赤なら早めに、白は直前がグッド。

〜今回の「ベストうち飲み賞」を発表します!〜

A メジャー6品種の飲み比べ、すごく勉強になりました! 今日のたどり方からだと、リースリングが好みでした! 王道の甘口も飲んでみたいと思います。

Z それでいうと私はピノ・ノワールですね。すごくエレガントでおいしかった!

K 今回が品種の味を知ってもらうヒントになって、そこから色々試してもらうきっかけになったら嬉しいです。

Z まずはカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネ、そこからスタートしてワインの世界をもっと味わいましょう!

【うち飲み向上委員会メンバー】

小久保尊(こくぼ たける
日本ソムリエ協会認定ソムリエ。チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル。2011年に「ワインと肉 COQ DINER」を船橋にオープン。2021年からは千葉県初の都市型ワイナリー「FUNABASHI COQ WINERY」にてワインの醸造も始める。著書に「図解 ワイン一年生」「図解 ワイン一年生 2時間目 チーズの授業」がある。
FUNABASHI COQ WINERY https://fcw.theshop.jp/ 
図解 ワイン一年生 https://www.sanctuarybooks.jp/book-details/cate00057/book825.html


ライターYOKOMIZO

おいしいお酒とごはんのためなら、高い海外輸送費も厭わず即ポチ。苦手な家事は休日に大好物の泡を飲みながらやっつけます。最近は海外の料理番組を観て、妄想トラベル。

エディターAKIYAMA
お酒はもっぱら外でハシゴ酒だったのが、ここ3年でうち飲みの魅力に開眼! おいしいお酒を飲みながら、ほろ酔い気分で愛猫と遊ぶのが至福の時間。

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