大切な人たちと集う機会が増えるホリデーシーズン。一年の労をねぎらい、新年を祝うおもてなしやお呼ばれの場には、スペシャルな気分を感じさせてくれるご褒美ワインが必要! そこで今回のうち飲み向上委員会では、ソムリエが太鼓判を押す、お値段以上の価値があるワイン&シャンパンをリストアップ!おいしさと特別感はお値段以上! 至高のワイン5選
エディターAKIYAMA (以下A )暮らしに活気が戻った2023年の年末年始は、華やいだ気分を大いに満喫したい! ということで、ソムリエの田邉公一さんに至極のワインをセレクトしていただきました。
田邉公一さん (以下T )年末年始のうち飲みは、いつもより特別感を味わってほしいけど、単純に価格が高いワインを選ぶのではなく、厳選したミドルレンジのワインにしました。もっと高額でもおかしくない、おいしくて評価の高いワインばかりなのでご期待ください!
ライターYOKOMIZO (以下Z )おすすめのペアリングと、「ベストうち飲み賞」もぜひチェックを!
レストランの味を家で飲む贅沢感「ジョエル・ロブション ピノ・ノワール シュームジュール by アラン・ブリュモン」
ジョエル・ロブション ピノ・ノワール シュームジュール by アラン・ブリュモン〈750㎖〉参考上代¥4,400/三国ワイン(アラン・ブリュモン)
T 高額や希少性など特別感にも色々ありますが、注目の造り手や、話が弾むようなこだわりワインであることを選ぶ基準にしました 。もちろんおいしさは、どれも疑いの余地なし!
A トップバッターは、「ジョエル・ロブション ピノ・ノワール 」。フレンチの神様と称される、食の巨人がワインを!? どういうことでしょうか?
T フランス南西地方の最高峰の造り手であるアラン・ブリュモンとコラボレートしたワインです 。ロブショングループのレストランでハウスワインとして提供されていて、ロブションらしい至高のスタイルを取り入れ造られています。
Z アラン・ブリュモンはコンビニワイン でも取り上げた有名生産者。最強タッグなわけですね!
T この赤ワインのポイントは、ピノ・ノワールから造られているところ。ピノ・ノワールは冷涼なブルゴーニュ地方原産の葡萄で、比較的温暖な南西部での栽培は相性が良くないとされているのに挑戦したところ。南西部では普通に考えると育たないはずのピノ・ノワールで、ここまでのクオリティに仕上げたのは並大抵のことではないです、すごい!!
Z 2017年のヴィンテージだから、もっとどっしりとした味わいかと予想していたのですが、バランスが良くて軽やか♪ それでいてフレンチでよく使われる、バターも受け止めるコク深さも感じます。
T ピノ・ノワールらしいエレガントさときめ細かいタンニン、赤いベリー系の果実味があり、南西部で育てられた葡萄ですがちゃんと品種個性を活かせています 。さすがの一本です!
A これほどのブランド力があるのにリーズナブルですよね。
T ロブション以外のレストランでこのワインがオンリストされていることも少ないと思います。だからこそ、うち飲みが醍醐味。おすすめのペアリングは、ちょっと頑張ってフォーマルなフレンチがベストではありますが……。
Z うち飲みは大好きだけど、自炊フレンチはハードルが高いっす! パティスリー&ブラッセリーの「ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション 」でパンやキッシュを買えば、もう大満足♡
ジョエル・ロブション ピノ・ノワール シュームジュール by アラン・ブリュモンをチェック!
破格のシャンパンが飲み頃「ニコラ・フィアット コレクション ヴィンテージ ブラン・ド・ブラン 2017」
ニコラ・フィアット コレクション ヴィンテージ ブラン・ド・ブラン 2017〈750㎖〉¥8,800/日本酒類販売(ニコラ・フィアット)
T 今回のラインナップでシャンパンはこれひとつ。なんせ、シャンパンは価格が高騰していますから。半年に一度は上がっていますね。
Z つまり、¥8,800は決して高くはないということですか?
T はい、かなり安いんです! しかも、このシャンパンはニコラ・フィアットの中でも、上級ラインですから。ポイントは2017年のヴィンテージシャンパンであること 。スタンダードクラスのシャンパン(=ノンヴィンテージ)は、複数の収穫年にまたがったワインをブレンドして造られます。単年でヴィンテージを付けるということは、よほど良い葡萄の収穫年だった証 。ヴィンテージシャンパンなら、普通は¥10,000以上になるでしょう。
A ミネラリーでエレガント、シャンパンならではのリッチなテイストを堪能しつつも、そんなに重くない! するっと飲めちゃいます。
T 白葡萄のみで造られるブラン・ド・ブランの特徴ですね 。シャンパンで感じるボリューム感は、ピノ・ノワールとか黒葡萄が生み出すものなんです。このシャンパンはシャルドネ100%。柑橘や林檎のニュアンスがあり、シャルドネの個性がよく出ています 。瓶内での熟成期間が長いヴィンテージシャンパン特有の、ビスケットのようなトースト香もあり、旨みもしっかり感じられますよ 。
Z ニコラ・フィアットはどんな造り手ですか?
T フランス国内でもかなり売れていて、国外でも知名度抜群! 品質が高いものを安定供給できているのでレアでなかなか買えないということもないし、価格もヴィンテージシャンパンでアンダー¥10,000。ニッチなシャンパンだと思います。
Z めちゃめちゃ優良企業じゃないですか! しかも、本当においしい! キャビアのカナッペと新年を祝って、THE・贅沢に酔いしれたいです。
T いいですね、シーフードやお寿司とのペアリングも合うと思いますよ。タコやイカ、ホタテ、サーモンなどを使ったお料理との相性も抜群です 。ニコラ・フィアット コレクション ヴィンテージ ブラン・ド・ブラン 2017
ビジュアルも味わいも超一流!「フランチャコルタ ロゼ ブリュット」
フランチャコルタ ロゼ ブリュット〈750㎖〉参考上代¥6,600/モトックス(アジィエンダ・アグリコーラ・フェルゲッティーナ)
T ロゼのスパークリングは盛り上がるので、ぜひ紹介したくて。イタリアでロゼのスパークリングといえば、フランチャコルタです!
Z 登場した瞬間にテンションが上がるビジュアルですね、ウェイウェイ♪
T フランチャコルタは瓶内二次発酵でシャンパンと同じ造り方をしています 。最短18ヶ月以上熟成させなくてはいけません。使用できる品種もほとんどシャンパンと同じ。この醸造方法では酵母の澱が瓶内に溜まるのですが、澱が瓶内に広がってワインと接触する面を広く取るために、このフォルムにしているんです。
Z おしゃれで三角フォルムにしているわけではなかったのですね、パリピ狙いかと思ってごめん!
A うま〜い! 木苺のような、心ときめく味ですね。きめ細やかな泡で、驚くほど滑らか !
T ピンクグレープフルーツやオレンジのような香り、ピンクペッパーのニュアンスも少しあります 。味わいはドライで、旨みを楽しんで。爽やかな飲み心地なんですが、赤い果実の余韻があります。乾杯はもちろん、食中酒としても最適。フランチャコルタは内陸のエリアで、ハムの盛り合わせとのペアリングはおすすめです。トマト系ソースにベーコンを入れたパスタ、ローストチキン、野菜とも相性がいいのでリゾットもぜひ 。フランチャコルタ ロゼ ブリュットをチェック!
サントリーニ島の自然が育んだ爽やか白「アルギロス アトランティス ホワイト 2019」
アルギロス アトランティス ホワイト 2019〈750㎖〉参考上代¥3,520/都光(エステート アルギロス)
A サントリーニ島、憧れの地です! 産地を聞いただけでおいしさ2割増し♡ リゾートのイメージを持っていましたが、ワインも造られていたとは。
T サントリーニ島はワイン造りで有名なんですよ。海風が強く、潮気を含んだ風を受けて育つ葡萄が特徴 。ワインに使われているアシルティコは、サントリーニ島の土着品種です。ワイナリーのアルギロスはこの葡萄を使ってさまざまなタイプのワインを造っている、アシルティコのスペシャリスト。畑ではサステイナブルな農法を取り入れていて、肥料には不要となった果皮や枝を利用し、農薬は使用せず、土はラバが耕します。これはエントリーラインなのでお手頃ですが、本来は高め価格の品種なんですよ。
Z 手間暇から考えてもかなりリーズナブルだと思います! どんな味わいの葡萄なんですか?
T 柑橘系のフレーバーが印象的ですね! ギリシャはレモンを絞る料理がすごく多いのですが、そういった地元料理とすごく相性がいい 。酸味はクエン酸のような感じで、シュワっとしているんです。サントリーニ島は地中海性気候で冬だけ雨が降る地域、だから乾燥しています。葡萄は、海風で運ばれた海水を木がキャッチしてその水分で育つという感じ。果皮にずっと海風があたっているので、ワインにした時も海水由来の塩味がアクセントになっているんです 。
Z 本当だっ、エーゲ海を泳いだあとのような気分に。見えるっ、真っ白な建物と濃いブルーの海が……! 妄想トラベルは、最高のおつまみですね♪
A いやいや、何か食べようよ(笑)。爽やかな風味とミネラルが、生牡蠣と合いそうです !季節的にも旬ですし。
T 間違いないですね、海のテロワール合わせでシーフードとすごく相性がいい 。現地だとカラマリのフライの合わせも人気 。しっかり食べたい時は、海苔のパスタやお寿司がおすすめです!
アルギロス アトランティス ホワイト 2019をチェック!
人気急上昇! 南アフリカのスパークリング「グラハム・ベック ブリュット ブラン・ド・ブラン」
グラハム・ベック ブリュット ブラン・ド・ブラン〈750㎖〉参考上代¥4,250/モトックス(グラハム・ベック ワインズ)
T 南アフリカのブラン・ド・ブランです。産地のロバートソンは、南アフリカでは珍しい石灰質土壌で、地質がフランスっぽい。南アフリカは今、スパークリングワインに力を入れていますが、その中でもグラハム・ベックは最もスパークリングワイン造りに情熱を注いでいるワイナリーと言っても過言ではありません。これはキャップクラシックと呼ばれるワインで、瓶内二次発酵で造られたスパークリングワインという意味 。つまりシャンパーニュ式で造られているんです。シャンパーニュ地方の有名メゾンで経験を積んだスペシャリストを最高醸造責任者に迎え、渾身のスパークリングワインを造り上げた。
Z クオリティ的にはシャンパンと遜色がないんですね 。グラハム・ベックのワインの中でブラン・ド・ブランをチョイスした理由は?
T ロバートソンはシャルドネのメッカですし、実際に飲んでみて味わい的にも一番良いなと思いました。先ほどのニコラ・フィアットのシャンパンよりも温暖なエリアで造られている分、果実味がソフトでまろやか。洋梨やピーチのフレーバーがあり、辛口ですが甘みをほのかに感じる 。グラハム・ベックには¥7,000くらいのワインもありますが、ブラン・ド・ブランでホリデー気分を十分楽しめる! ¥4,000代の倍以上の価値があり、それくらいの完成度に仕上がっているなと思います 。
A おすすめのペアリングはいかがでしょう?
T お肉はもちろん、海鮮でも野菜でもちょっと軽く焼いたり、炙ったりしたもの 。ナッティで少し香ばしいワインの味わいに合うと思いますよ。
Z ローストしたものが合いますよね、芳醇な味わいなので個人的にはグラタンとペアリングしたいです!グラハム・ベック ブリュット ブラン・ド・ブランをチェック!
〜今回の「ベストうち飲み賞」を発表!〜
Z テイスティングだけで高揚感がすごい! どれもホリデーにぴったりのワインでしたが、中でもとびきりの特別感を堪能したいとしたら、どちらがいいでしょうか?
T 「ニコラ・フィアット コレクション ヴィンテージ ブラン・ド・ブラン 2017 」はラインナップの中では高いけど、マーケット的には安くてお値段以上の味! ノンヴィンテージの価格でヴィンテージが飲める、意外とこのお得さが知られていないのでぜひこの機会に出合ってほしいですね。もう1本は、「フランチャコルタ ロゼ ブリュット 」 。クオリティが高く、確実にパーティを盛り上げてくれる1本になること間違いなし。あとホームパーティの料理はイタリアンが多いので、相性も良いと思います。
A 心を射抜く珠玉のワインが幸せな笑顔を運んでくれるはず♡ ぜひワイン選びの参考にしてみてください!