2024.01.20

アンダー¥900!! コストコのコスパ最強ワインをソムリエの田邉公一さんがセレクト【うち飲み向上委員会vol.52】

年末年始に緩んだ財布の紐が締め気味になるこの時期、2024年最初のうち飲み向上委員会では『コストコ』のコスパ最強ワインをクローズアップ! 豊富なラインナップで圧倒する会員制倉庫型店では、ワインがズラリと並ぶ商品棚を前にどれにしようかと迷う人は少なくないはず。ワインソムリエがアンダー¥900で見つけた厳選ワインと相性抜群のペアリングをご紹介!



コストコで買える! アンダー¥900ワインBEST4

エディターAKIYAMA
(以下A) コストコといえば商品の回転の早さも有名。以前にもコストコのワインをご紹介しましたが、2024最新版のおすすめワインをワインソムリエの田邉公一さんに教えていただきます!

ライターYOKOMIZO(以下Z)嘘みたい! これ全部¥900以下なんですって。

A ほんと、信じられない安さですね!!

田邉公一さん(以下T)コストコのワイン売り場は、有名な造り手の高額ワインや人気ワインが充実し、相場よりお得なこともあって、それ狙いでワイン通がやってきます。さらにコスパ抜群でおいしいワインもあるんですよ。今回もとっておきのものをセレクトしました!

Z コストコフードとのペアリングや、「ベストうち飲み賞」もぜひ参考にしてみて♪

超名門が造る! お値段以上のデイリーワイン「ラ・ヴィエイユ・フェルム ブラン」

ラ・ヴィエイユ・フェルム ブラン
ラ・ヴィエイユ・フェルム ブラン〈750㎖〉¥898/コストコ

T 南仏の造り手、ファミーユ・ペランのシリーズからグルナッシュブランをベースに、色々な品種をブレンドした白です。家族経営のワイナリーなんですよ。

A 南仏で家族経営って素敵〜♡ エチケットに描かれたニワトリのイラストも可愛くて、飼育しているのかなと想像してみたり。ほっこり系一家なのかしらと応援したくなります!

T 実は、ペラン・ファミリーは超名門で、超有名。南ローヌの最高峰ワインと称されるシャトー・ド・ボーカステルを所有していて、こちらがメイン! さらにカリフォルニアにもワイナリーを所有していて、ローヌ系の品種を使ったワインでこっちも大成功しているんですよ。 

A ちょ! ワールドワイドなやり手じゃないですか! 

T ラ・ヴィエイユ・フェルムは最高峰の造り手がカジュアル路線で造ったデイリーワインで、おいしいと評判のシリーズなんです。随分前から有名なコスパワインではあるけれど、コストコで取り扱いがあるとは知らなかった! 安定感抜群の白なので、見つけたら選ばざるを得ないくらい。

Z 応援どころか、むしろ南仏の勝者じゃないですか(笑)。味わいは辛口というよりも、南仏らしくジューシーで果実味たっぷり♪ このボリューム感を楽しめて、アンダー¥900は驚きです

T 産地の南仏は日照時間が長いので、葡萄もトロピカル系になり、酸味が控えめ。爽やかなキリッとした感じではなく、まろやか系になります。

A ペアリングはいかがでしょうか?

T 地中海性気候のテロワールなので、トマト味と合いますよ。マルゲリータやシーフードをトッピングしたピザがおすすめです

A それ最高です、ピザとラ・ヴィエイユ・フェルムでランチ飲みしたい!

大人気のプルコギと好相性なチリワイン「ポルタ カルメネール」

ポルタ カルメネール
ポルタ カルメネール〈750㎖〉¥798/コストコ

A この赤は、他の通販サイトとかでは¥2,000くらいで売られていることもあるので、かなりお値打ちです!!

T 品種はカルメネーレ。低価格帯でも品質の高いワインを造れる品種のひとつなのでチョイスしました。カルメネーレはチリの土壌や気候に適していて代表的な品種なんですけど、元々はボルドーの品種なんです。そしてマイポ・ヴァレーはチリで有名なワイン産地の一つで、味わいに安定感があります。つまりこの組み合わせなら、間違いない! それでも¥700台は驚きの価格ですね、通常もう少し高いですから。

Z 滑らかな口当たりと、熟したベリーのような甘やかな果実味。チリのワインっぽい官能的な飲み心地がたまりません♪

T マイポ・ヴァレーはカベルネ・ソーヴィニヨンを主力にしている産地ですが、この辺りで造られるカルメネーレは青臭くなく、適度なグリーンフレーバーに仕上げています。日照時間が長いので、葡萄が少し甘くなり、ワインもコンポートのような味わいが。コストコで大人気のプルコギとめちゃくちゃ合いますよ

A プルコギの甘みと葡萄の甘みがナイスマッチすぎる。正月太りのことなんて吹き飛ぶくらいのおいしさ! 絶対このペアリングで買ってください!

T ペアリングのプルコギは、ネギが入っているのがポイント。カルメネーレはピーマン香と呼ばれる青い香りがあるので、そこも合わせました。お肉の脂に対してタンニンが適度に渋みを利かせて、後味もしつこくなりませんよ。

お得すぎる! 銘醸地ボルドーの赤「シャトー ムーランド プライエール」

シャトー ムーランド プライエール
シャトー ムーランド プライエール〈750㎖〉¥858/コストコ

T ボルドーワインとして安すぎます! エチケットにしっかりと描かれているボルドーは、通常もっとワインの価格が高いはずの産地ですから。ボルドー産で¥900を切るワインを見つけるのは至難の技ですよ。しかも、このワインはちゃんとボルドーワインの個性が出ていてクオリティが高い

Z それは事件レベルじゃないですか! どんなトリック使ったの、コストコさん!? 

A 純粋なる企業努力です(笑)。ボルドーワインの個性とは?

T カベルネ・ソーヴィニヨン主体で、メルロー、カベルネ・フランなどをブレンドしているのが典型的なボルドーブレンドです。もしこれをチューリップ型が特徴的なボルドーグラスに注いで、ブラインドで飲んだらこの価格だとはまず思わないでしょうね。ボトル¥5,000くらいだと思う人もいるんじゃないかな。

A 5倍のプライスが付いた。飲み比べ無双のガクトさんにもぜひお試しいただきたい!

Z タンニンと重厚な存在感があり、カベルネ・ソーヴィニヨンらしいですね。リッチな味がします、おいし〜♪

T このタンニンも決して粗くなく、緻密ですね。2020年の醸造から3年経ち、いい意味でこなれた味に。よくできているボルドーブレンドだなと思います。ペアリングはボルドーでは定番の組み合わせである、ラムチョップのグリルがおすすめ。ラムは、ローズマリーやタイムなどハーブの香りと合うので、ワインが持つシダやミントのようなニュアンスとも相性の良さを発揮します。さらにお肉の旨みと脂を、タンニンが引き立ててくれますよ。

常備しておくと便利! 万能な食中酒「カークランドシグネチャー ピノグリージョ」

カークランドシグネチャー ピノグリージョ
カークランドシグネチャー ピノグリージョ〈750㎖〉¥688/コストコ

T コストコのプライベートブランドのピノ・グリージョをセレクトしました! マスカットや青リンゴのようなテイストが特徴的

Z 清々しい軽やかな飲み口なのに、味わい深い! 余韻に深みのあるコクや旨味を感じるので、安いワインにありがちなもの足りなさがありません。

T ピノ・グリージョはピノ・ノワールの派生品種なんですけど、カークランドシグネチャーのようにイタリアで造られたワインは、爽やかな辛口に仕上げています。酸味は強くなく、フレッシュ感を出して仕上げるのがピノ・グリージョのスタイル。爽やかに飲めるけど、フルーティな甘みも感じられて、ワインビギナーにも飲みやすいですよ! よく冷やして、コップなんかでラフに飲んでもおいしい。

A この白ワインを選んだ理由は?

T ピノ・グリージョの安定感ですね。世界的にも今、人気の品種ですが、リーズナブルなワインを造るのに長けていて、逆に高級ワインに使われているのは見かけません。ピノ・グリージョなら安いワインでもハズさない! 

A なんと! ピノ・グリージョ自体がコスパ抜群な品種だったのですね。ちなみに低いコストで探している時、どこを見て選ぶとおいしいワインにたどりつけますか?

T 基本的には安くてもおいしいといわれる品種を選ぶことをおすすめします。ピノ・グリージョ、グルナッシュ、カルメネーレです。今回ご紹介したラインナップは、まさにこの品種。ジャケ買いも悪くないと思いますよ! やはり良い生産者はエチケットにもこだわりがあるので、見た目が良いというのも、付加価値の一つだと思います。あとは、紙質の良し悪しもポイントに。

Z まさか紙質もポイントの一つだったとは! 現場ですぐ解決できるように、もっと推理力を鍛えねばっ。

A 商品棚は現場じゃないし、事件は起きてないから(笑)。でも、紙質は盲点でした!

T エチケットがすぐ剥がれやすいボトルもありますし、それも細部まで考えられているという証ですよね。

A ペアリングはいかがでしょうか?

T このワインが造られているエリアの近くは、グラナパダーノというチーズが有名。パルミジャーノチーズに近い味わいなので、ペアリングにグッドだと思います。モッツァレラチーズでカプレーゼもおすすめ。野菜にも魚にも合うし、チキンやポークもOKで、ペアリングしやすい品種です!

〜今回の「ベストうち飲み賞」を発表!〜

Z コストコワインを飲み比べてみて、改めて今回のコスパ最強ワインはどちらでしょうか?

T 「シャトー ムーランド プライエール」ですね! 価格の割においしいとかではない。凝縮感があり、香りと味のバランスがかなり良く、すごいと思います。ラベルも高級感があって、トータルでこの価格とは思えません。

A 今回のラインナップが気になったらその足でコストコへGO!

【うち飲み向上委員会メンバー】 
田邉公一
ソムリエ・ワインディレクター。レストランやワインショップ数社の飲料の監修を手掛ける。飲食店のワインはもちろん、コンビニやスーパーのワインにも一切の妥協なく日夜真剣に向き合っている。ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」の講師。https://twitter.com/tanabe_duvin近著に『ワインを楽しむ 人気ソムリエが教えるワインセレクト法』がある。

ライターYOKOMIZO
おいしいお酒とごはんのためなら、高い海外輸送費も厭わず即ポチ。苦手な家事は休日に大好物の泡を飲みながらやっつけます。最近は海外の料理番組を観て、妄想トラベル。

エディターAKIYAMA
お酒はもっぱら外でハシゴ酒だったのが、ここ3年でうち飲みの魅力に開眼! おいしいお酒を飲みながら、ほろ酔い気分で愛猫と遊ぶのが至福の時間。

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