A 最初はポルトガルの白ワイン。レモンやライムを思わせるきりりとしたスタイルに、ピーチの香りがプラスされ、夏っぽさ満点ですね!
T 南ヨーロッパに位置するポルトガルは、海に面している土地が多く、夏向きのワインが充実しています。「カーサ・サントス・リマ バルカトリナ ブランコ」は、柑橘系とミネラル感のバランスが取れている1本。カルディで大人気の「エスカパーダ ヴィーニョ・ヴェルデ」と似た雰囲気がありつつも、もう少し穏やかな香りかな。
Z 土着品種のアリントなど3種の葡萄をブレンドしているようですが、ブレンドの方が単一品種よりリーズナブルな印象。その辺りいかがですか?
T 単一品種の場合、その葡萄頼りになってしまうので、品質や収穫量に影響されやすいんです。ブレンドは、広域でたくさん取れる葡萄を使えばリスクが減るし、色んな品種で臨機応変に対応できる。オリジナリティのある味やスタイルを造れる良さもありますね。だから比較的、ブレンドは価格をお手頃にできるのではないかと思います。
T こちらは新登場のロゼワイン、カルディで見つけた時はテンションが上がりましたね! ドイツとの国境沿いにある、フランス・アルザス地方が産地です。
Z フランスのロゼといえば南フランス、アルザスにロゼという印象はなかったので、新鮮です。こんなところにポツンとロゼワインがあった〜!
T 南フランスで造られたものを海ロゼとするなら、こちらは山ロゼ。アルザスは白ワインの産地ですから、赤も少ないですけど、ロゼはもっと少ないので非常にレア。最近黒葡萄のピノ・ノワールを特級区画に植えていい葡萄が取れているようなので、それでロゼも出てきたのではと推測します!
A 実際に飲んでみていかがでしたか?
T 冷涼なアルザスで造られるピノ・ノワールはもっと酸が強めで軽快というイメージを持っていたのですが、果実味があり、甘味と酸味のバランスが非常に良いです。葡萄自体のレベルが上がっているので、期待通りのおいしさでした! カルディ的にはちょっと贅沢な値段かもしれませんが、それでもお買い得といえますね。
A 海ロゼと山ロゼの味わいの違いについても教えてください!
T 南フランスはグルナッシュという品種をメインにサンソーなどをブレンドする傾向。海の影響を感じる味わいで、ブラッドオレンジとか塩のニュアンスが特徴的。シーフードに合いそうなドライなワインが多いですね。一方で内陸地のアルザスは、ピノ・ノワールの単一ワイン。土っぽい風味や、マッシュルームなどきのこ系の香りも少し入ってくるような感じ。ラズベリーや紅茶っぽいフレーバーがあるでしょう?
Z 開放感あふれ、潮風由来のうま味を感じる海ロゼに比べて、山ロゼはスンと端正、ベリー系の甘みがほのかに。サーファーと登山家くらいキャラが違います!
T この赤はエチケットでは産地が広域になっているのですが、おそらく実質はヴェネト州じゃないかな。使われているコルヴィーナやロンディネッラという葡萄は、ヴェネト州のヴェローナあたりの土着品種。しかも一部採用しているという陰干し(アパッシメント)製法は、ヴェローナ近郊で造られる有名な赤ワイン・アマローネのスタイルなんです。
Z アマローネと陰干し製法とは!?
T アマローネは、陰干しの葡萄を使った辛口の赤ワインです。収穫した葡萄を陰干しし、糖分を高めてから醸造することで、風味と甘みが凝縮されたワインに。 イタリアで特に成功しているのが、ヴェローナ近郊エリアで造られるアマローネなんですよ。
A コク旨〜! 凝縮感があってリッチな味わいだけど、滑らかさも際立っているから重くないです。
T 甘いアタックの後、余韻は結構引き締まっていて、タンニンの緻密な印象がありますね。決して甘口に仕上げているわけではなく、飲み疲れない味で夏向き。アマローネは10,000円オーバーもザラにあり、安くても5,000円以上はする高級ワインなんです。この赤はノウハウを活かすことで、うまくアマローネの雰囲気を出せていると思います!