ウイスキーバーのバーテンダーが厳選! 【ハイボール】に合うウイスキー3選

バーテンダーがおすすめするウイスキー

SPURデジタルで連載中の「うち飲み向上委員会」から、ハイボールや水割りで飲んでおいしいウイスキーをピックアップ! バーテンダーの小林渉さんが厳選したとっておきの3本をご紹介。

海辺の気分をひとさじ「ブルックラディ ザ・クラシック・ラディ」

ブルックラディ ザ・クラシック・ラディ

ブルックラディ ザ・クラシック・ラディ〈700㎖〉¥6,600/レミーコアントロージャパン

K 「ブルックラディ ザ・クラシック・ラディ」はスコットランドのアイラ島で造られているウイスキー。熟成庫は島内の海沿いにあります。アイラ島で造られるウイスキーはクセ強めなのですが、ここは一切クセのないタイプのウイスキーを造っているんですよ。

A 「ブルックラディ ザ・クラシック・ラディ」はボトルデザインもモダンで印象的、ギフトにもいいですね!

K アイラ島は雨が多い島で晴れ間が少ない天候ですが、数少ないきれいに晴れた日の空の色をシンボルカラーと決めて、今も使われています。

Z なんだかロマンチック〜! ほろ酔い中に雑学は欠かせませんから、このトリビア披露しちゃいましょう!

K 飲むとピリッとしませんか? 実はこのウイスキーは他のものより10%くらいアルコール度数が高いんですよ。ピリッと感がおさまってきたあたりで舌の両サイドあたりで塩っぽさを感じると思います

Z ほんとだ〜! これはワインでいうところの、海風にさらされた葡萄で造るワインがほのかに塩味を帯びるのと同じでしょうか?

K 諸説あるんですけど、本来ウイスキーは樽熟成を海沿いで行っているからといって、塩っぽさが加わるということありません。ただ長い期間にわたって海の近くにあったら、影響があるかもしれないという説もあります。この蒸留所では余韻の塩っぽさというのを大事にしているので、海沿いのテロワールを非常に重要視しています。特に夏場は、心地よい塩っぽさが合うと思います。ハイボールはもちろん、水割りにしてもおいしいですよ

隠れた名品!「サントリーウイスキーオールド」

サントリーウイスキーオールド

サントリーウイスキーオールド〈700㎖〉¥2,475/サントリー

K 今ジャパニーズウイスキーのヴィンテージや人気商品は本当に手に入らないんですよ。価格も高騰し続けていて、一般の人には到底手が出せません。

Z そもそも、プレミアムウイスキーはなぜあれほど高額なのですか?

K いろいろな要因があって。サントリーの「響30年」が2004年にウイスキーの世界的な品評会「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ」で、最高賞トロフィーを受賞し、それをきっかけにジャパニーズウイスキーが有名になったんです。さらに、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝をモデルとしたNHKの連続テレビ小説『マッサン』が放映されてから、国内でもウイスキーに興味を持つ人が一気に増えました。10年ほど前から始まった世界的なウイスキーブームと相まって、ジャパニーズウイスキーの需要に供給が追いつかず、今も希少性が上がり続けているんです。

A 「山崎55年」がオークションで約8000万円という高値で落札されたというニュースもありましたよね。 

Z それに比べてこの「サントリーウイスキーオールド」の親しみやすさよ!! トレンド路線というよりはクラシックなイメージのあるウイスキーですが、改めておすすめされる理由は?

K おっしゃる通り、このウイスキーは今そこまで注目を浴びていません。というのは、やはり世の中的に缶ハイボールにもなっている「角瓶」や「トリス」、もしくは「山崎」のような高級銘柄が目立つ存在。でも私は「サントリーウイスキーオールド」を隠れた名品だと思っているんです! 

Z 大好きワードきました! “隠れた名品”その心は!?

K というのは、「角瓶」と飲み比べるとよくわかるのですが、「角瓶」はちょっと若い雑味を感じるんですよね。それに対して「サントリーウイスキーオールド」はシェリー樽由来の甘みがあることによって、エグ味がほぼありません。

A わかります! ふわっと芳醇な甘み、すごくシルキーできれいな飲み心地ですね

K そうなんですよ。改めて飲んでみると、「あれ、これいいじゃん」ってなる!「サントリーウイスキーオールド」はシェリー樽比率の高いブレンデッドウイスキーになります。

Z 「角ハイボール」と唐揚げの組み合わせも最高だけど、「サントリーウイスキーオールド」はリッチな味わい。香りも豊かで、ロックでもストレートでもいいですね

K 実は過去に一度、「サントリーウイスキーオールド」が販売量世界1位を達成した時があったんですよ。

A すごい、過去にはチャンピオンに輝いていたなんて! 実力派なわけですね。でも決して「俺が、俺が」とは主張しない健気なやつじゃないですか(泣)。

K それだけ良いウイスキーということなんですよね。というもの「サントリーウイスキーオールド」は日本人好みの味に造られていて、和食に合わせるという方針なんです。特に寿司と「サントリーウイスキーオールド」の水割りを合わせるのがおすすめです

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3大シングルモルトに舌鼓「キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士」

キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士

キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士〈700㎖〉¥6,600/キリンホールディングス

K 最近、ジャパニーズウイスキーは基準が変わったんですよ。日本洋酒酒造組合に所属している会社で造られるウイスキーは、ジャパニーズウイスキーと名乗るためにクリアしなくてはいけない条件があります。その定義の中に、アルコール度数40%以上、3年以上熟成というのが含まれています。正直いうと、組合に所属していない会社もあり、その基準を満たしていないものもあります。現状は自主的なものです。でも、大手と言われる会社はほぼ所属していますね。

A スコッチウイスキーやアメリカンウイスキーと同様に、ジャパニーズウイスキーにもクオリティを守るために規定があるんですね!

K 「キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー富士」は、その条件に則って造られた新しい商品、昨年発売されました。「山崎」、「白州」と並ぶ国内の3大シングルモルトでありながらも手に入りやすく、現状は一番安価です

A シングルモルトとは、単一の蒸溜所で造られた大麦麦芽のみを使用したウイスキーでしたよね

K このウイスキーが製造されている、キリンの富士御殿場蒸溜所には、とても複雑な製造設備があって、世界5大ウイスキーのうち4つをカバーするノウハウを持っているんです。スコッチウイスキーを造る機械ではシングルモルト、アメリカンウイスキーとカナディアンウイスキーを造る機械ではグレーンウイスキーを。それらを混ぜてブレンデッドウイスキーも造れます。なので、このシングルモルトのほかに「富士」はシングルグレーンとシングルブレンデッドもラインナップしているんですよ。

Z 技術力が素晴らしいですね!! 飲んでみるとバニラ香が印象的で、舌にピリッとする余韻がありますね。

K ご指摘のとおり、舌触りがホットですよね。これはハイボールにしたらおいしい1本。今日改めて飲んでみて、すごくバランスが良いなと思いました。味わいとしては、ピザやパスタなどのイタリアンと相性が良さそうです。

A すごくキャラが濃いわけではないけれど、優等生な味わい。期待を裏切らないですし、飽きることなくボトルの最後まで飲みきれそうです!

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