子どもがいる生活が決して絶対とは思わない。けれど、生物学的なリミットもあるし、仕事やパートナーの状況、時代によって自身の考えが変わることだって大いにある。だからこそ、不妊治療の現状を知り、今後のライフプランを考えるきっかけに。
PART2 不妊治療の基礎を知ろう
その気になればいつでも妊娠できると思いがちだけど、実はそんなに簡単ではないのが現実。だからこそ、不妊治療について知識を深めよう。
産婦人科専門医
月花瑶子先生
不妊治療専門クリニック「杉山産婦人科 新宿」に勤務。ヘルスケア企業で医療監修のアドバイザーを務め、講演も行う。著書に『やさしく正しい 妊活大事典』(吉川雄司との共著/プレジデント社)。
そもそも不妊症って?
不妊症とは、健康な夫婦が妊娠を希望して1年以上性生活を続けているにもかかわらず、妊娠しない場合をいう。
「現在日本では、子どもができず悩んだことがある夫婦は3組に1組。不妊検査や体外受精など、不妊治療をしたことがある夫婦は5.5組に1組もいます。そして、日本の年間出生数が約86万人にまで減っているなかで、体外受精によって生まれてくる子どもは増え続けており、近年では5万人を超えています」(以下、月花先生)
つまり、生まれてくる子どもの約18人に1人は体外受精で命を授かっていることに。
「とはいえ、不妊治療をしたからといって、必ず妊娠・出産できるものではありません。年齢によっても妊娠率は変わり、男性40歳以上、女性35歳以上になると妊娠率は20%以下に。35歳以上の女性は、6カ月以上妊娠が成立しない場合は1年を待たず検査を受けたほうがいいでしょう」
さらに、知っておかなければいけないのが、「妊娠したからといって必ず出産できるとは限らない=流産リスク」という点。
「20代~30代前半でも10%~20%ぐらいは流産をしてしまう可能性はありますが、36歳を超えると、妊娠、出産率が低下するだけでなく、流産率も上がります」