体のこと、助成金のこと、今知りたいこと全部! 2021年の不妊治療を考えよう【PART 2】

子どもがいる生活が決して絶対とは思わない。けれど、生物学的なリミットもあるし、仕事やパートナーの状況、時代によって自身の考えが変わることだって大いにある。だからこそ、不妊治療の現状を知り、今後のライフプランを考えるきっかけに。


PART2 不妊治療の基礎を知ろう

その気になればいつでも妊娠できると思いがちだけど、実はそんなに簡単ではないのが現実。だからこそ、不妊治療について知識を深めよう。

産婦人科専門医
月花瑶子先生
不妊治療専門クリニック「杉山産婦人科 新宿」に勤務。ヘルスケア企業で医療監修のアドバイザーを務め、講演も行う。著書に『やさしく正しい 妊活大事典』(吉川雄司との共著/プレジデント社)。

 

そもそも不妊症って?

 不妊症とは、健康な夫婦が妊娠を希望して1年以上性生活を続けているにもかかわらず、妊娠しない場合をいう。
「現在日本では、子どもができず悩んだことがある夫婦は3組に1組。不妊検査や体外受精など、不妊治療をしたことがある夫婦は5.5組に1組もいます。そして、日本の年間出生数が約86万人にまで減っているなかで、体外受精によって生まれてくる子どもは増え続けており、近年では5万人を超えています」(以下、月花先生)
 つまり、生まれてくる子どもの約18人に1人は体外受精で命を授かっていることに。
「とはいえ、不妊治療をしたからといって、必ず妊娠・出産できるものではありません。年齢によっても妊娠率は変わり、男性40歳以上、女性35歳以上になると妊娠率は20%以下に。35歳以上の女性は、6カ月以上妊娠が成立しない場合は1年を待たず検査を受けたほうがいいでしょう」
 さらに、知っておかなければいけないのが、「妊娠したからといって必ず出産できるとは限らない=流産リスク」という点。
「20代~30代前半でも10%~20%ぐらいは流産をしてしまう可能性はありますが、36歳を超えると、妊娠、出産率が低下するだけでなく、流産率も上がります」

不妊症の原因は?

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 女性の問題と思われがちな不妊症だけど、不妊に悩む夫婦の48%は「精子の健康状態」など男性にも原因があるとされている。
「妊娠するには、男性の精子と女性の卵子が受精することが必要ですから、決して女性だけの問題ではありません。しかし、毎日新たに作られている精子と異なり、卵子は母親のおなかの中にいるときから保有しているため、どんどん数が減少していくうえ、年齢に伴い卵子の老化も進むので、妊娠のしやすさに影響が出ます」
 女性が初経を迎えるころ、体内に保有している卵子の数は約30万個。その後、若ければ1日に約20個~30個ずつ卵子を失う。これが妊娠のタイムリミットとなる。

 

どんな治療をするの?

まず検査 人工授精 タイミング法 体外受精顕微授精

 不妊症の治療法は聞いたことがあるけれど、具体的にはわからないという人が多い。
「まずは不妊検査をパートナーと受診して原因を探ります。原因が判明すればその治療を。原因不明であれば、排卵日期間を予測し、タイミングを計って性交をするタイミング法(費用目安:1万~3万円/回)へ。それでも妊娠しなければ、人工授精(費用目安:1万~3万円/回)、体外受精、顕微授精(費用目安:各35万~70万円/回)というのが一般的ですが、ふたりの年齢や治療への考え方、予算など、いろいろな要素で進み方は異なります。まさに不妊治療は人それぞれ。また相談したくてもロールモデルを見つけづらいことも妊活のつらさのひとつになっています」

SOURCE:SPUR 2021年5月号「体のこと、助成金のこと、今知りたいこと全部! 2021年の不妊治療を考えよう」
illustration: Misaki Tanaka text: Yuumi Fujii〈dis-moi〉

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