体のこと、助成金のこと、今知りたいこと全部!2021年の不妊治療を考えよう【PART 1】

子どもがいる生活が決して絶対とは思わない。けれど、生物学的なリミットもあるし、仕事やパートナーの状況、時代によって自身の考えが変わることだって大いにある。だからこそ、不妊治療の現状を知り、今後のライフプランを考えるきっかけに。

フェムテック調査団による“みんなの不妊治療”レポート

あまり大っぴらに語られることがない「不妊」について、SPUR.JPのフェムテック調査団にリサーチ。その結果をナビゲーターのクラウドちゃんとともに見てみよう。

今回、回答してくれた人の平均年齢は何歳?

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今回アンケートにご協力をいただいたのは、19歳~47歳の全国に暮らすフェムテック調査団のメンバー62名。答えにくい質問内容にも真摯に対応してくれた。それだけに、この問題に対する関心の高さがうかがえる。

現在、既婚、未婚にかかわらず、パートナーはいますか?

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パートナーとのつき合い歴は2カ月~26年とさまざま。今後は婚姻関係のあるパートナーだけでなく、事実婚や同性婚など、多様なパートナーシップが世の中に浸透することで、「子どもを持つ」意味合いも変わってきそう。

パートナーと、子どもを含むライフプランについて話し合いますか?

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妊娠や出産、育児はこれからのライフスタイルが大きく関わることなだけに、きちんと話し合うことが大切。でも、今の生活に満足していたり、忙しすぎる毎日を送っていると、なかなかタイミングを見計らうのが難しいのも事実。

現在、子どもはいますか?

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子どもがいない人が全体の約7割で、子どもがいる人の平均人数は1.5人。すでに不妊治療を始めている人、今は欲しくないけれど、将来に備え、冷え対策や基礎体温を測るなど、妊娠しやすい環境を整えている人たちもちらほら。

今後、子どもは欲しいですか?

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「欲しい」と「欲しくない」がほぼ同数。よほどの強い思いがある人以外、年齢やキャリア、置かれた環境、パートナーの有無などにより、出産のリミットまでこの思いはシーソーのように揺れ動く。複雑な気持ちが垣間見える。

今後、子どもが欲しくないと思う理由を教えてください。

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20代~30代は「ふたりの時間を大切にしたい」「仕事をもっとしたいから」「自然に任せたい」という意見が。40代以降は「これから出産・育児は厳しい」といった声も。また、「すでに子どもがいるため」「不妊治療をして授かったから、その子に全力を捧げるつもり」など、これ以上の子どもを望まない人も「欲しくない」にカウントされている。

子どもが欲しい人は、何歳までに授かりたいですか?

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30代前半までは仕事に打ち込み、子どもを考えるのは30代半ばになりがち。ちなみに、2015年にオランダの研究チームが発表した「欲しい子どもの人数と年齢の関係」のシミュレーションデータによると、子ども1人の達成確率90%は32歳まで、2人は27歳まで、3人は23歳までとなっている。(出典:『やさしく正しい 妊活大事典』)

子どもが欲しい人は、妊娠のために何かしていることはありますか?

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生理があり、健康体であれば「避妊をやめればすぐに妊娠するもの」と考える人は多い。けれど、不妊治療をするカップルが多い現状をみると、「そのときになったら考える」のでは実は遅く、妊娠を考える前から婦人科検診を受けて病気の有無だけでなく、卵子の数を把握するなど自分の体を知り、体調を整えておくのがベター。

不妊治療を行なった人は、どんな治療をしましたか?

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「体のリズムを管理できるアプリを使って排卵日を把握するようにしている」「4カ月ほど不妊鍼に通い、同時に妊活サプリも」と、自分主動でできるものから、「29歳~31歳までタイミング法を」「35歳からタイミング法を取り入れ、37歳からは人工授精。2回の流産を経験したのち、1人目を出産。40歳で第2子を妊娠するも安定期まで注射の日々」など、医療とタッグを組むことで、子どもを授かった人もいる。

不妊治療中の悩みを教えてください。

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不妊治療をしたからといって必ず妊娠するとは限らず、さらに妊娠しても出産まで無事にたどり着けるかもわからないため、精神的な負担が大きい。だからこそ、パートナーとの連携が大切に。また、やめどきが決められず、経済的、体力的にも追い詰められがち。その結果、パートナーとの関係が悪化したり、仕事を休みがちで罪悪感に苛まれることも。

不妊治療にまつわるトピックで関心があることを教えてください。

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最も関心が高いのは2021年1月からスタートしている「不妊治療助成事業の拡充」。年齢の制限やどのくらい助成金がつくのかなど、詳しく知りたいところ。「生理休暇を不妊治療に充てる取り組みをしている会社もあるが、現状ではまだまだ不妊治療による休暇は社会的に認められていない。だからこそ、社会に不妊治療の現状を知ってほしい」「女性の社会進出に伴い、若いうちに出産することはなかなか難しい状況になっているのに、制度が整わないのはおかしい」など、注目度は高い。続いて、“いつかのため”の選択肢としての「卵子凍結」や「代理母出産」。また、「妊娠しやすい体かを検査するキットを試したい」というものから、「不妊治療中にパートナーとの関係を悪化させないためには?」「治療について話し合うタイミングは?」など、精神サポート面にも関心が寄せられている。

養子縁組について興味はありますか?

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産まなくても母となる選択肢のひとつに養子縁組がある。「興味はあるが自分は対象にはならない。虐待の被害にあったり望まない妊娠で生まれてきた赤ちゃんを守りたい思いはあります」「実際に養子縁組はしないが、制度を整えて児童虐待の解消につながればよい」「結婚してできなければ考える」など、半数の人たちは前向きに捉えている。

【フェムテック調査団とは?】
SPURの公式サイト「SPUR.JP」で活動中の「フェムテック調査団」。女性の体にまつわる悩みを可視化し、より生きやすい世の中を目指して、最新のフェムテックや生理に関するレポートなどを行なっている。

SOURCE:SPUR 2021年5月号「2021年の不妊治療を考えよう」
illustration: Misaki Tanaka text: Yuumi Fujii 〈dis-moi〉