【最新フェムテック事情】月経痛を軽減するスマートウェアから、歩行者用ドライブレコーダーまで。Femtech Fes!2022をレポート!

フェムテックの最前線を知り・体験できるイベント、「Femtech Fes!(フェムテックフェス!)2022」が、2022年10月14日(金)から3日間開催された。昨年に続き六本木で開催された本イベントには、33ヵ国から200ものフェムテック製品・サービスが集結。
SPUR.JPフェムテック調査団が気になった展示や、特別ゲストによるトークイベントをレポート! 同行した調査団メンバー2名のリアルな声もお届けする。

Femtech Fes!とは?

Femtech Fes!,フェムテックフェス,フェルマータ
Femtech Fes!の会場

Femtech Fes!とは、日本のフェムテック市場を創出し、海外企業の日本進出サポートなど各種事業を行っているfermata(フェルマータ)が、2019年にスタートしたイベント。厳選された「モノ」と熱量の高い「ヒト」が、フェムテックを通じて交錯する交差点のような場所を作ることを目指している。オンライン中心に開催してきたが、創業2周年を迎えた2021年に六本木ヒルズでのリアルイベントを初開催。同会場での開催が二度目となる今回は、昨年と比較して会場・来場者数ともに2倍にパワーアップして開催された。

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会場は自然光がさす心地よい空間 photo by fermata

会場は月経、避妊、妊活・不妊、妊娠、産後、女性特有疾患、メンタルヘルス、セクシャルウェルネス、その他ウェルネスの9つのジャンルに分かれて展示され、A3用紙ほどの大きさの各企業のブースには製品やサービスの紹介と開発ストーリーなどがコンパクトにまとめられていた。展示数は200以上とかなりの数があるが、こうした展示方法のおかげで一つ一つが見やすいのも、Femtech Fes!の特徴だ。3日間を通してワークショップやビジネス向け/一般向けのトークイベントなども開催された。

フェムテック調査団が気になったものとは?

多数ある展示の中から、フェムテック調査団が気になったものをご紹介。開発中のものから日本上陸を検討しているものまで、わたしたちの未来を変えてくれそうな製品が豊富にラインナップ。

月経痛を改善するスマートウェア

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ボディスーツにデバイスを接続して使用する

まずは何種類か展示されていた、月経痛を軽減する機器のうち、ファッショナブルな一点を。ハンガリー発の企業「ALPHA FEMTECH(アルファ フェムテック)」は、微振動や身体への熱放出を調整することで、月経痛を軽減するデバイスを搭載できるボディスーツ「ARTEMIS(アルテミス)」を開発中。専用のアプリで振動や温度を調節できるだけでなく、痛みをトラッキングすることで症状のパターンを解析できるのだとか。スクエアネックのニットボディスーツはメリノウールやリヨセルなどから作られており、柔らかな着心地とファッション性を兼ね備えている。

ALPHA FEMTECH
https://www.allaboutartemis.com

息を吹きかけるだけで簡単予測

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現在は日本での製品化を目指してパートナー企業を募集中

オーストリアの「breathe ilo(ブリーズ アイロ)」が開発したのは、なんと呼気を分析することで月経周期と排卵日を正確に予測できるデバイス! 実は女性ホルモン量の変化により血中のCO2濃度に対する呼吸中枢の感度も変化することで、黄体期よりも卵胞期の方がCO2の値が高くなるのだとか。そのCO2濃度の変化を記録することで、女性のバイオリズムを予測するという仕組み。日本でのパートナー企業を募集中なので、近々製品を手にする機会がやって来るかも!?

breathe ilo
https://www.breatheilo.com/

タンポンとライナーが合体!

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思わず手に取りたくなるポップなパッケージが特徴

こちらはありそうでなかった製品。タンポンとライナーが一緒になった、その名も「Tampliner(タンプライナー)」。イギリスの企業「Callaly(カラリー)」が開発したサニタリー用品だ。オーガニックコットンのタンポンからは指を入れて簡単に装着できるアプリケーターが伸び、その先には大陰唇の間に折りたたむように装着するミニライナーが付属している。タンポンから微妙に漏れてしまう経血などの汚れからショーツを守ってくれる。

Callaly
https://www.calla.ly/gb/tampliners

ただのカミソリと見せかけて……?

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ポップな色合いでおしゃれなラインナップ

カラフルでおしゃれなカミソリと思いきや、アメリカの企業「Freya.(フレイア)」が生み出したのは、バイブレーターとして使用できるハンドルがついたカミソリ「Vee Starter Kit(ヴィー スターターキット)」。刃の部分を取り外すとバイブレーターのスイッチが隠されており、ハンドル部分をバイブレーターとして単独で使用できる。思いがけないユーモアあるプロダクトに、調査団メンバーも思わず笑顔に。


Freya.
https://www.hifreya.com/

手のひらサイズの歩行者用ドライブレコーダー

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画像のカメラは試作品で、今後形状が変更する可能性も

フェムテック フェス!の会場で初お披露目となったものも。こちらは日本の企業が開発中の「Carefie(ケアフィー)」という製品。路上や電車内などで性被害に遭ったことを証明する権利を守る、いわば歩行者用ドライブレコーダーだ。手のひらサイズの360度カメラで、バッグや身の回りのものにつけることで、いざという時の記録をしてくれるというもの。性被害経験者である開発者が2年間かけて開発をしている、これまで世になかった全く新しい製品だ。来春を目処にクラウドファンディングを開始する予定。現在LINE公式アカウントではクラウドファンディングに向けての情報を配信中。

Carefie LINE公式アカウント
https://liff.line.me/1645278921-kWRPP32q/?accountId=158onkxs

ホットフラッシュに特化した肌着

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イギリス・ドイツ・フランスで特許を取得した技術を使用


今最も注目されていると言っても過言ではないカテゴリーといえば、更年期障害。イギリスの「Become(ビーカム)」が手がけているのは、更年期に現れる”ほてり”であるホットフラッシュに悩む女性のための衣類「Anti-Flush Short Sleeved T-shirt(アンチフラッシュTシャツ)」だ。特許を取得した技術で作られた素材は、暑くなると皮膚の表面から熱を吸収し放出する。ホットフラッシュ特有の短時間での体温の乱高下に特化して開発されている。タンクトップやショーツなども揃えており、公式サイトでは日本への通販も可能。


Become
https://www.becomeclothing.com/

トークイベント「エンターテイナーと生理」

取材をしたFemtech Fes!最終日には、タレント・歌手の伊藤千晃さんと振付師の竹中夏海さんによるトークイベントが開催されていた。アーティスト、アーティストを影で支える立場というそれぞれの視点から、「エンターテイナーと生理」をテーマにトークが繰り広げられた。

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(左から)振付師の竹中夏海さん、タレント・歌手の伊藤千晃さん、司会進行を務めたfermataスタッフ

伊藤さんは10代後半に音楽グループAAAのメンバーとして芸能界デビュー。男女混合グループだったこともあり、当時はまだまだ生理のことを公にできる環境ではなかったそう。「体調が悪いのは自分のせいで、他人に弱みを見せるのは良くないことだと思っていた。病院に行くという選択肢は思い浮かばず、それより夢の実現のために練習に励んでいた。でも今になって思うけど、100%のパフォーマンスを発揮するためには何より健康であることが重要」と振り返る。振付師としてさまざまなアイドルと接してきた竹中さんは「私は性格的に自分から『生理で辛い』と言えたけど、言えない子もいる。だからあえて私から『今日は生理だからコンディション悪いかも』とさらけ出すことで、アイドルの子たちにも『生理のことって話して良いんだ』という空気を作るように心がけていた」と語った。

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竹中さんは著書『アイドル保健体育』から、アイドルダンス史半世紀年表などのデータを引用してトーク

最後に竹中さんは「メリハリをつけることがプロ意識であって、無理をすることではない。“推す”側になった時も、そういう視点を持ってみんなでアーティストをエンパワメントしたい。ルールはすぐに変えられなくても、ムードを変えることはできる」と力強い言葉をくれた。それを受けて伊藤さんは「出る側は常に100%の気持ちでファンに向かっているけど、そういられないこともある。でも、そんな時に支えになっているのはファンの言葉。ひとりではステージに立てないんだなと、改めて気がついた」と笑顔で締めくくった。

調査団メンバーはどう感じた?

今回のイベントにはフェムテック調査団メンバー2名も参加し、エディターとともに会場を巡った。

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(左から)フェムテック調査団メンバーのHさん、Nさん

助産師のHさんは、身につけるだけで何らかの測定ができるウェアラブル系のプロダクトが気になったよう。「身体にまつわる数値は管理したいけど手間になるのが億劫だった。でも身につけるだけで良いなら簡単! おしゃれで手軽で、どんどん技術が進化していると感じた」とコメント。昨年も参加したというNさんは「規模が大きくなっていてびっくり! 前回は女性が多いイメージだったけど、今回は家族連れで来る人も見かけて、フェムテックの認知が広がっていると思った」と驚いた様子で語ってくれた。

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ボードに収まりきらないほどの“モヤモヤ”が集まっていた

2022年のFemtech Fes!は約2,900名が来場という大盛況で幕を閉じた。身体に関する話題を赤裸々に話し合う機会は、まだまだ少ないのが現状。Femtech Fes!は、同じ興味関心を持つ者同士で交流ができる、またとないチャンスだろう。まさに「モノ」と「ヒト」が、フェムテックを通じて交錯する交差点となった3日間だった。


fermata
https://hellofermata.com/