人生の節目となる、感動的なウェディング。でもまだまだ昔ながらのスタイルや、暗黙のルールが存在しているらしい!? 今回は自身の結婚式を通じて“モヤモヤ”を体験した3名の、赤裸々トークをお届け。国際結婚ならではの気づきや、結婚式の概念を変えるために奮闘している業界人ならではの視点は必読。自分らしいウェディングを挙げるためのヒントがあふれているからぜひチェックして。
自由なウェディングってできないの?[ここが変だよ:1]
ー新しいスタイルのウェディングも徐々に増えてきている昨今。いざ自分が花嫁になってみると、時代にマッチしていない点や、違和感を覚えることも。
そこで今回はイギリス人の夫と国際結婚をされたウェディングプランナーの遠藤さん、自身のウェディングの経験からドレスブランドを立ち上げた水戸守さん、フランス在住の経験を持ち、フランス人の夫と国際結婚をされた溝上さんの視点で、結婚式の“ここが変だよ”と思う点や、こうしたらもっと素敵なウェディングができそう!という点を固定観念にとらわれずに探れたらと思います。
ーまず、水戸守さんはご自身のウェディングをきっかけに、ドレスブランドを立ち上げられたのですよね?
水戸守 ワイン好きの彼とよくレストランに食事しに出かけていて。結婚式に前向きではなかった彼が「食事がおいしい所ならやってもいい」と言ってくれたので、必死に会場を探しました(笑)。実際にレストランに相談しに行ったら、婚礼用のワインリストに並んでいたのはすごく安いハウスワイン。「ここは有名なレストランなのに」と驚きました。そこで無理を言って、当日のワインはふたりで厳選して持ち込みに。パッケージ化されていて自由度がないことが衝撃でした。またレストランを自由に歩けるスレンダーなドレスが理想だったのですがなかなか見つからなくて、気がついたら結婚式の翌年にドレスブランドを立ち上げていました(笑)。
溝上 水戸守さんがディレクターの「SaboraMi(サボラミ)」のドレス、シンプルですごく素敵ですよね。フランスでは、小規模のウェディングドレスブランドがナチュラルなドレスを発表しています。なかでもクリーンなイメージのエンブロイダリーレースを使ったものが多い印象。私の周りではメゾンブランドのシンプルな白いドレスを選ぶ友人も多いので、「日本にもこんなドレスがあるんだ!」とうれしくなりました。
水戸守 アパレルのディレクターをずっとやっていたので、その感覚で「サボラミ」を作って、いざ花嫁にドレスを選んでもらおうとすると、“ドレス持ち込みNG”の会場だけでなく、“ドレスの持ち込み料を負担するドレスショップ”があることを知って……「深い」世界ですよね。
遠藤 ホテルや式場が、ドレスやヘアメイクさんなどスタッフの持ち込みを制限している場合はありますね。私自身、フリーランスのウェディングプランナーになって長くキャリアも経験も積んできたけれど、今でも入らせてもらえないホテルがあったり。フランスは日本と違って、ルールもなさそうなイメージですがどうですか?
溝上 私の周りは日本もパリもファッション関係の人が多いせいか、割と自由でカジュアルですね。自分の住むエリアの区役所で式を挙げるのが一般的です。区役所の中に正式な部屋があって、家族や仲間が見守る中で、誓約書にサインして。その後は友人たちとワイワイおしゃべりして、自分の好きなレストランへ行って食事したり、クラブに行ったりするなどフリースタイルが当たり前なので、日本の結婚式に制約があることをお聞きして、驚きました。
”前撮り”など独自の文化もたくさん![ここが変だよ:2]
ー遠藤さんは結婚式の準備を進める際、イギリス人のパートナーから、驚かれたことがあったそうですね。
遠藤 結婚式よりも前に、ドレスを着てスタジオや景色のよい場所などで写真撮影をする“前撮り”が最近では一般的なんです。“前撮り”は、日本ならではの風習ですよね。パートナーからはすごく驚かれて「僕は当日まで君のドレスは見たくない。特別なものなのに、なんで事前に見せるの?」って。フランスにも前撮りをする文化はないですよね?
溝上 そうですね。結婚式前に花嫁姿を見ると、よくないといわれているので。
水戸守 ウェルカムスペースに写真を飾ったり、パーティが始まるときのオープニングムービーを作るために前撮りをするカップルが多いイメージです。海外にはウェルカムスペースってありますか?
遠藤 &溝上 見た感じではなかったかも。ウェルカムボードを作って飾るカップルはいますね。
遠藤 海外はウェディングのインビテーションをメール等で送るケースが多いんです。そこに自分たちの写真を載せるんですが、前撮りはしなかったので、私はあえて旦那とハイキングしている写真や、普段着の家族の写真をピックアップしました。普段の自分たちや、この家族に会えるんだってゲストが楽しみにしてくれたらいいなって。
水戸守 それ、すごく素敵ですね!
遠藤 きっと日本でするウェディングには、思い込みがあるんですよね。「前撮りをしておかなきゃいけない」「オープニングムービーを作らなくてはいけない」「挙式はキリスト教式がイメージ」って。もちろん実施することに、ふたりの意図や意味があるなら素敵。でもそれを感じられないと「この映像を見て、何を思えばいいんだろうか」とゲストが困惑する結果になることも。一般的といわれている演出を“しなきゃダメ”という固定概念は、捨てていいと思います!
みんなと同じ&形式にとらわれすぎ!?[ここが変だよ:3]
ー遠藤さんがディレクションされているウェディングは、どんな雰囲気なのでしょうか?
遠藤 「アマン東京」でのウェディングをメインに手掛けていますが、余興をゼロにしています。会場をふたりが歩き回っているとゲストが本当に楽しそうにしていて……「新郎新婦と話すだけで喜んでくれる」と改めて気づかされました。
そんな従来のものとは違うスタイルを選ぶアマンの花嫁でも「他の花嫁はどうしていますか?」と聞かれることもあります。
水戸守 みんなはどうしているか、気になる方は多いですよね。
遠藤 日本では「披露宴」という名前がついているように、披露してばかりでゲストと会話もできないのが昔は主流だったんです。でも今は「もっと自分出していこうよ、人と違ってもいいんだよ!」と思っています。いわゆる形式にとらわれずに新郎新婦が自分たちの「らしさ」を追求することを恐れないでほしいです。
ここが変だよ、を乗り越える[ウェディングを成功に導く3つのポイントとは?]
・結婚式の目的やどんなスタイルにしたいのか、ふたりでしっかり話し合う
・「こうすべき」という思い込みは捨てる! 意味のある演出を見極める
・人と違ってOK! ふたりらしさを追求する