はじめて出合う“常識”がたくさん!【ここが変だよ、日本の結婚式】赤裸々・対談トーク

人生の節目となる、感動的なウェディング。でもまだまだ昔ながらのスタイルや、暗黙のルールが存在しているらしい!? 今回は自身の結婚式を通じて“モヤモヤ”を体験した3名の、赤裸々トークをお届け。国際結婚ならではの気づきや、結婚式の概念を変えるために奮闘している業界人ならではの視点は必読。自分らしいウェディングを挙げるためのヒントがあふれているからぜひチェックして。

遠藤 佳奈子プロフィール画像
ウェディングプランナー遠藤 佳奈子

「Wedding LAB(ウェディングラボ)」 代表。2010年「ウェディングラボ」を発足。既成概念にとらわれない本質的なウェディングを提案する。自身はイギリス人のパートナーと2023年に結婚。

水戸守 奏江プロフィール画像
ファッションディレクター水戸守 奏江

新しい概念のドレスや空間、食事などウェディングをオーダーメイドできるブランド「SaboraMi(サボラミ)」を2023年にローンチ。

溝上 久美子プロフィール画像
アパレルブランドの海外セールス/コーディネーター溝上 久美子

パリ在住時にスタートした酵素シロップのプロジェクト「le koso(ル・コウソ)」ワークショップを不定期で開催。現在フランス人の夫と1歳の息子と3人で東京に暮らす。将来、子どもと一緒にカジュアルなウェディングパーティの開催を構想中。

自由なウェディングってできないの?[ここが変だよ:1]

ー新しいスタイルのウェディングも徐々に増えてきている昨今。いざ自分が花嫁になってみると、時代にマッチしていない点や、違和感を覚えることも。
そこで今回はイギリス人の夫と国際結婚をされたウェディングプランナーの遠藤さん、自身のウェディングの経験からドレスブランドを立ち上げた水戸守さん、フランス在住の経験を持ち、フランス人の夫と国際結婚をされた溝上さんの視点で、結婚式の“ここが変だよ”と思う点や、こうしたらもっと素敵なウェディングができそう!という点を固定観念にとらわれずに探れたらと思います。

ーまず、水戸守さんはご自身のウェディングをきっかけに、ドレスブランドを立ち上げられたのですよね?

水戸守 ワイン好きの彼とよくレストランに食事しに出かけていて。結婚式に前向きではなかった彼が「食事がおいしい所ならやってもいい」と言ってくれたので、必死に会場を探しました(笑)。実際にレストランに相談しに行ったら、婚礼用のワインリストに並んでいたのはすごく安いハウスワイン。「ここは有名なレストランなのに」と驚きました。そこで無理を言って、当日のワインはふたりで厳選して持ち込みに。パッケージ化されていて自由度がないことが衝撃でした。またレストランを自由に歩けるスレンダーなドレスが理想だったのですがなかなか見つからなくて、気がついたら結婚式の翌年にドレスブランドを立ち上げていました(笑)。

溝上 水戸守さんがディレクターの「SaboraMi(サボラミ)」のドレス、シンプルですごく素敵ですよね。フランスでは、小規模のウェディングドレスブランドがナチュラルなドレスを発表しています。なかでもクリーンなイメージのエンブロイダリーレースを使ったものが多い印象。私の周りではメゾンブランドのシンプルな白いドレスを選ぶ友人も多いので、「日本にもこんなドレスがあるんだ!」とうれしくなりました。

水戸守 アパレルのディレクターをずっとやっていたので、その感覚で「サボラミ」を作って、いざ花嫁にドレスを選んでもらおうとすると、“ドレス持ち込みNG”の会場だけでなく、“ドレスの持ち込み料を負担するドレスショップ”があることを知って……「深い」世界ですよね。

遠藤 ホテルや式場が、ドレスやヘアメイクさんなどスタッフの持ち込みを制限している場合はありますね。私自身、フリーランスのウェディングプランナーになって長くキャリアも経験も積んできたけれど、今でも入らせてもらえないホテルがあったり。フランスは日本と違って、ルールもなさそうなイメージですがどうですか?

溝上 私の周りは日本もパリもファッション関係の人が多いせいか、割と自由でカジュアルですね。自分の住むエリアの区役所で式を挙げるのが一般的です。区役所の中に正式な部屋があって、家族や仲間が見守る中で、誓約書にサインして。その後は友人たちとワイワイおしゃべりして、自分の好きなレストランへ行って食事したり、クラブに行ったりするなどフリースタイルが当たり前なので、日本の結婚式に制約があることをお聞きして、驚きました。

はじめて出合う“常識”がたくさん!【ここの画像_2
フリーランスプランナー遠藤さんが手がけるアマン東京のウェディングシーン。新郎新婦とともにみんなでテーブルを囲み、形式にこだわらないスタイルを提案している。

”前撮り”など独自の文化もたくさん![ここが変だよ:2]

ー遠藤さんは結婚式の準備を進める際、イギリス人のパートナーから、驚かれたことがあったそうですね。

遠藤 結婚式よりも前に、ドレスを着てスタジオや景色のよい場所などで写真撮影をする“前撮り”が最近では一般的なんです。“前撮り”は、日本ならではの風習ですよね。パートナーからはすごく驚かれて「僕は当日まで君のドレスは見たくない。特別なものなのに、なんで事前に見せるの?」って。フランスにも前撮りをする文化はないですよね?

溝上 そうですね。結婚式前に花嫁姿を見ると、よくないといわれているので。

水戸守 ウェルカムスペースに写真を飾ったり、パーティが始まるときのオープニングムービーを作るために前撮りをするカップルが多いイメージです。海外にはウェルカムスペースってありますか?

遠藤 &溝上 見た感じではなかったかも。ウェルカムボードを作って飾るカップルはいますね。

遠藤
海外はウェディングのインビテーションをメール等で送るケースが多いんです。そこに自分たちの写真を載せるんですが、前撮りはしなかったので、私はあえて旦那とハイキングしている写真や、普段着の家族の写真をピックアップしました。普段の自分たちや、この家族に会えるんだってゲストが楽しみにしてくれたらいいなって。

水戸守 それ、すごく素敵ですね!

遠藤 きっと日本でするウェディングには、思い込みがあるんですよね。「前撮りをしておかなきゃいけない」「オープニングムービーを作らなくてはいけない」「挙式はキリスト教式がイメージ」って。もちろん実施することに、ふたりの意図や意味があるなら素敵。でもそれを感じられないと「この映像を見て、何を思えばいいんだろうか」とゲストが困惑する結果になることも。一般的といわれている演出を“しなきゃダメ”という固定概念は、捨てていいと思います!

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水戸守さんがディレクションを手がける「SaboraMi(サボラミ)」には、インドシルクを100%使用したドレスやトップス、ジャンプスーツなどが揃う。上質な素材にこだわりながらも18万円(税抜き)~という価格設定もうれしい。

ー水戸守さんが「サボラミ」を立ち上げたのは、自身のドレス選びがきっかけだったとか?

水戸守 私は“レンタル”ではなく、“セルドレス”で価格と商品のバランスがよいものを探していたのですが、都内のアパレルショップを駆けずり回ってもイメージ合うものに出合えなくて。最終的に「YOKO CHAN(ヨーコ チャン)」のワンピースが体型に合い、クオリティにも納得して購入に至りました。

 溝上 私がパリ在住時に参考にしていたのは、いろんな花嫁のウェディングの写真を載せている個人ブログ。パリの結婚式で着用したのは、当時働いていたお店「carven(カルヴェン)」のドレスでした。ファミリーセールでリーズナブルに購入できたんですよね(笑)。もし次に挙式をする機会があるなら、パリのショールームで働いていたときに取り扱っていたブランド「Shanshan Ruan(シャンシャン・ルアン)」のドレスもいいなと思っています。

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サボラミでは、ドレスは使用後に黒染めし長く愛用してもらうサービスも展開中。ふたりに合わせたフォトプランも人気だとか。

遠藤 さらっとカジュアルに着られるようなドレスって、どうやって探したらいいのかわからないですよね。以前、花嫁に「マッチズファッションのウェブを見てみたらどう?」っておすすめしたことも。ドレスブランドにこだわらなくてもいいし、ファッションポータルサイトでドレスを探すのはアリ。私自身の結婚式では“愛着があるもの”をテーマにしていたので、ネットで探してコロナ禍でドレスを着ることが叶わなかったオーストラリアの女性から、ドレスを譲っていただきました。

溝上 日本ブランドもいろいろ出てきていると聞いていますし、シンプルなドレスが広く認知されるといいですね。着たい人はいっぱいいるはず!

みんなと同じ&形式にとらわれすぎ!?[ここが変だよ:3]

ー遠藤さんがディレクションされているウェディングは、どんな雰囲気なのでしょうか?

遠藤 「アマン東京」でのウェディングをメインに手掛けていますが、余興をゼロにしています。会場をふたりが歩き回っているとゲストが本当に楽しそうにしていて……「新郎新婦と話すだけで喜んでくれる」と改めて気づかされました。
そんな従来のものとは違うスタイルを選ぶアマンの花嫁でも「他の花嫁はどうしていますか?」と聞かれることもあります。

水戸守 みんなはどうしているか、気になる方は多いですよね。

遠藤 日本では「披露宴」という名前がついているように、披露してばかりでゲストと会話もできないのが昔は主流だったんです。でも今は「もっと自分出していこうよ、人と違ってもいいんだよ!」と思っています。いわゆる形式にとらわれずに新郎新婦が自分たちの「らしさ」を追求することを恐れないでほしいです。

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自由に動き回り、ゲストとの歓談タイムを楽しんで。
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花嫁が自由にゲストのもとへ行き近くで過ごすことで、結婚式の時間がより濃密なものに。

ー正解はないですが、形式にとらわれずに“ふたりらしい”結婚式をするためにはどうしたらいいでしょうか?

遠藤 まず「なぜ結婚式をやりたいのか」「何のための結婚式なのか」を、ぜひ考えてほしいですね。新郎新婦がどういう目的を持って結婚式をしたかは、ちゃんとゲストに伝わるもの。意味を持たせて作っていたら、どんな場所でも心が震えるような感動があったり、拍手がおきるんですよね。まず、会場やドレスを予約したり、SNSで情報収集したりする前に、ふたりで、結婚式の目的や譲れない点を話し合うことが大事だと思います

水戸守 結婚式をすることになった理由を尋ねると、意外とみなさん「なんとなく」って答える人が多いと感じていて。「サボラミ」のお客様は「イメージ通りのドレスがない」と悩んで、すごい熱量を持って見つけてきてくださるので、「絶対にこのドレスが着たい」と強い気持ちを感じますね。結婚式でも同じように「こんなウェディングにしたい」という気持ちは重要ですね。

溝上 日本では、結婚式をすることに建前があるのかもしれないですね。フランスは結婚に対して(結婚をしても、しなくても)どちらでもいいという人たちが多いんです(笑)。だから結婚、そして結婚式をすると決めた人には「自分たちで決めた」という意思の強さを感じます。

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遠藤さんのイギリスでのウェディングパーティでは、義理母が自宅の庭で育てている花をメインにテーブルコーディネート。

遠藤 私も、普段はラグジュアリーウェディングをプロデュースしていますが、自分のウェディングでは究極にミニマルに振り切りました。パートナーの出身地イギリスで手作りでハートフルなスタイルに。現地の大学で行った人前式では母がオペラを歌ってくれて、家族と仲のよい友人たちとのんびりとレストランでパーティをしましたが、最高でした。どんなスタイルでもただシンプルに「大切な人たちを愛おしんで、一緒にお祝いをする」、そこに焦点を当てると、最高なウェディングがかなうはずですよね。

溝上 これからもっと、みんな自由なスタイルでウェディングを楽しんでほしいですね。私も子供が物心ついたら、アーティストの夫と一緒に自由に参加できるピクニックウェディングをぼんやり妄想しています(笑)。

水戸守 素敵ですね! 一人でも多くの人が思い描いたウェディングを実現できるよう、私も一助になれるよう努力していきたいです。


ここが変だよ、を乗り越える[ウェディングを成功に導く3つのポイントとは?]

・結婚式の目的やどんなスタイルにしたいのか、ふたりでしっかり話し合う

・「こうすべき」という思い込みは捨てる! 意味のある演出を見極める

・人と違ってOK! ふたりらしさを追求する

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