2026.09.16

素の美しさを引き出す。「ノーメイクアップ」メイクアップをプロが解説

今季の注目はすっぴんのように見えて、実は繊細に手をかけた仕上がり。2026-’27AWランウェイからヒントを得た、個性を生かすメイクアップを提案

今季の注目はすっぴんのように見えて、実は繊細に手をかけた仕上がり。2026-’27AWランウェイからヒントを得た、個性を生かすメイクアップを提案

自分らしさを輝かせる、不完全という完成形

2026-’27年秋冬シーズンのランウェイで目を引いた、メイク感を極力排除したメイクアップ。その魅力やファッションとのバランスを、メイクアップアーティストの松井里加さんとスタイリストの早川すみれさんに聞いた。

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コート¥143,000・シャツ¥58,300/ケイスケヨシダ カンパニー・リミテッド(ケイスケヨシダ)

松井 今季はシャネル(1・2)のショーが素敵でしたね。モデルの年齢も人種もミックスされた、層の厚いキャスティング。それぞれに似合うヘアメイクで、「自分もこんなふうに装えるのかな?」と思わせてくれました。

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©Getty Images

早川 以前は同じリップ、同じ質感で一人の女性像をつくり上げるのがショーの定石でしたが、変わってきましたよね。最近はその人らしさをリスペクトする方向に、ぐっと振り切っている気がします。出てくるモデルが同じコミュニティの中にいる人たちのイメージではなく「この人はこういう仕事をしている人かな」「この人はお嬢様かな」と、一人ひとりの背景を想像できる感じがユニーク。

松井 ほかに気になったブランドは?

早川 ディオール(7・8)です。ジョナサン・アンダーソン体制になり、レスなメイクアップとドレスアップした服のバランスが絶妙だなと。

素の美しさを引き出す。「ノーメイクアップの画像_3

©Getty Images

松井 ピーター・フィリップスがジョナサンの服に出した答えが、あのメイクアップですよね。セリーヌ(3)とミュウミュウ(4)も可愛い。セリーヌはヘアメイクがとにかくミニマムなのにシック。ミュウミュウは頰だけほんのり赤くて。「左右対称のきれいなチーク」ではなく、本当にリアルな赤み。そこに生命力を感じました。

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©Getty Images

早川 クロエ(5)やドリス ヴァン ノッテン(6)も、ほんのり血色感。

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松井 春夏に引き続きですが、やっぱりカギはナチュラルの中に感じるごく自然な「血色」なんです。以前はナチュラルメイクといえば本当にコンシーラーでアラをカバーするだけというのが主流でしたが、今は頰にじんわりとした赤みをこっそり足す。起きたてのようなリアルさを出す方向なんです。手抜きではない、あえての「不完全さ」をつくるのがすごく可愛い。

早川 肌ノイズを消しすぎないのもポイントのように感じました。フロントローではなくて後ろからショーを見ていても、そんなリアル感へのこだわりは伝わってきましたから。

松井 マットなのに透けて見える。洗練されているのに親しみやすい。そんな素肌感を生かしたバランスが大切。

早川 そうなると肌のコンディションがより重視されますよね。そのせいか、ショーの入りのときに、ファッションとしてディオールやシャネルのスキンケアパッチをつけているモデルがたくさんいました。いわば「準備途中の顔」をおしゃれとして取り入れていたのも面白いし、可愛かった。

松井 外に出るときはいつも完璧じゃなきゃいけない、という思考の時代から変わってきたのかも? それも「不完全さ」の魅力につながりますね。

早川 ファッションではレイヤードや本物の質感のレザーが戻ってきている分、メイクアップまで頑張るとちょっと過剰な印象に見えてしまうことも。メイクをレスするだけで、トータルで見たときにもこなれて見えます。

松井 生き生きと自然に、自分らしさを輝かせる。ランウェイにあふれていたそんなメッセージを受け止めて、メイクアップを楽しんでもらいたいですね。

松井里加さんプロフィール画像
松井里加さん

メイクアップアーティスト。確かなメイクアップテクニックとトレンド分析力で、編集者やセレブリティから高い支持を集める。

早川すみれさんプロフィール画像
早川すみれさん

スタイリスト。SPUR本誌をはじめモード誌や広告の仕事で活躍。2026-’27AWのパリコレクションでは、約25ブランドに足を運んだ。

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