遊び心足りてますか? #深夜のこっそり話 #1027

先日パリにいた時のこと。現在開催中の建築家、石上純也さんの個展にお邪魔してきました。場所は、14区に位置するカルティエ財団。世界各国の現代アーティストにスポットライトを当ててきた同施設ですが、建築家にフォーカスした展覧会は初のこと。
正直な話、最初お誘いを受けた時は、建築の展覧会ってどうなの?と些か穿った目で見ていました。だって、実物は展示出来ないから、きっとプロトタイプでしょ?と。今回の展覧会「Freeing Architecture(自由な建築)」も、実際の展示物は模型や設計図なのですが、学芸員の方の解説を聞きながら見てみると、意外にもめちゃくちゃ面白い。結果(失礼な話ですが)期待値を遥かに上回る、素晴らしい展覧会でした。
それぞれのプロジェクトももちろん興味深かったのですが、特に私が感銘を受けたのが、石上さんの提案力。山口県宇部市に建設中のレストランでは、地中に窪みを作り、コンクリートで型を取り、それを反転させて骨組みに使うことで洞窟のような空間を作り出しました。中国の山東省に依頼された教会では、秘境の渓谷の中に高さ45メートルにも及ぶ円筒状の建物を建設。なんとこの建物、屋根がないそうなのですが、その細長い形状により雨風を防ぐことが出来るとのこと。
一見、奇をてらったように見えるこれらのプロジェクトですが、その背景にあるのは、当然ながら職人としての緻密な計算とプランニング。そして恐らく、面白いアイデアで、クライアントや利用客に楽しんでもらいたい、そんな考えがあるのでは、なんてことを考えながら、ひとつひとつの展示作品に目を向けました。真面目であることは日本人の美徳ですが、それよりも遊び心のある大人になりたい。そう強く思う今日この頃です。「Freeing Architecture(自由な建築)」は今年の9月9日まで開催されているようなので、現地にいる方、パリに行かれる方はぜひ足を運んでみてください。
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