2020.06.04

“非日常”に触れるよろこび #深夜のこっそり話 #1280

新たな生活様式にも少しずつ慣れてきたこの頃。今月に入り、都内の美術館も再開され始めたのでさっそく、かつ恐る恐る、東京都写真美術館に足を運んでみました。

現在開催されているのは、この日から始まった『森山大道の東京 ongoing』と、会期が延長になった『写真とファッション 90年代以降の関係性を探る』のふたつの展覧会。向かったのが平日の午後ということもあり、美術館スタッフによる検温の上、他の来場者とじゅうぶんなソーシャルディスタンスを保ちつつ、ゆっくり鑑賞することができました。

森山さんの展示は近作が中心。森山さんのフィルターを通した“少し前の日常”がモノクロで、カラーで、ダイナミックに写しとられていて圧倒されます。数カ月前だったらそこまで強く意識しなかったかもしれないけれど、これらは紛れもなく「過去の記録」。すごいタイミングで目にしてしまった!と感じました。会期中に展示替えも予定されているそうです。

続いて、林央子さん監修の『写真とファッション』展へ。90年代に10代だった私は完全に後追いですが、アンダース・エドストローム、高橋恭司さん、『Purple』など、ファッション界隈のカルチャー好きにはお馴染みのレジェンドにまつわる写真や誌面、作品が並びます。とはいえタイトルに「90年代以降」とある通り、その後のインターネットやSNSの隆盛により変化し続ける、写真とファッションの関係性についても考えさせられる構成。会場の一角に、写真やイメージを用いて革新的なクリエイションを続けるファッションレーベル、PUGMENTの作品が展示されているのが象徴的です。

アート愛好家と言えるほどではないものの、展覧会に足を運ぶことは以前から私の中で、“日常の中の非日常”だったように思います。暮らし方や価値観が大きく変わり、右往左往しがちないま、(関係者の尽力により)「変わらず、心を揺さぶるもの」に再会できたことはとてもうれしく、自分の軸を再確認できたようにも思ったり。他にも、今月9日には楽しみにしている展覧会が開幕するので、またそろりそろりと、浸りに行きたいと思います。

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エディターMATSUE

モードとカルチャーの狭間で15年。音楽と鉱石とフレンチフライから逃れられません。

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