もしかして革命⁉ 味もコンセプトも衝撃のチーズケーキ! #深夜のこっそり話 #1494

かつてお取り寄せスイーツ企画で、ひとり3点ずつお気に入りを紹介することがありました。日頃あれこれたくさんのスイーツを取り寄せている中で悩みに悩んだ挙句、3点のうち2点もチーズケーキを選んでいる自分に驚きました。当時気づけば日本全国津々浦々のケーキ屋さんからレストラン、スーパーまで、チーズケーキハンターになっていたんです。人気店を網羅するのも大変なうえ、レア・ベイクド・スフレと種類もあり、新作も多いチーズケーキ。今年も様々なタイプを食べましたが、ずば抜けて衝撃的なチーズケーキとの出合いがあったので、ご紹介させてください。

名前は「一対」。2本セットのチーズケーキです。「現代の日本の母の料理」をコンセプトにしたレストラン「HITOTEMA」の谷尻直子さんと、お茶とお菓子のコースを提供する「菓子屋ここのつ茶寮」の溝口実穂さんの出会いから生まれたもの。食いしん坊の間では有名なふたりのコラボですから、その時点でワクワクします。でも、お互いのケミストリーがどうまとまるのか想像できずにいたんです。

すると、ビジュアルはご覧のとおり、いたってシンプル。オンラインでポチると、白と茶色の棒状のブリックが冷凍状態でクラスト2種と一緒に届きます。実はこの研ぎ澄まされたビジュアルが、おふたりをよく表しているうえ、美味しさの秘密でもあり、唸ってしまったのです。パッケージに毛筆で書かれた「一対」も加味され、「禅」を感じる風情です。谷尻さんはベイクドチーズケーキに味噌を加えて塩味を効かせたクラストを提案。そして、溝口さんはきな粉の風味をいかしたクラストにレアチーズの組み合わせ。

衝撃その1は、チーズケーキの脇役であり、土台であるクラストが別添えであり、脇役にとどめなかったこと。どの立場か不明ですが、個人的に表彰状をお渡ししたいくらい、「その手があったか!!チーズケーキ革命!」と膝を打った別添えクラスト仕様。チーズのクリーミーさとザクザククラストがそれぞれ引き立つように、あえて分けてあるのです。

さ・ら・に!ですよ、衝撃その2、クラストが調味料的に使えるフレーバーにもなっているんです。熱弁すみません。レアに味噌のクラストを添えたり、ベイクドにきな粉のクラストをクラッシュしてふりかけたり、ケーキをディップみたいにのせて食べたり、ベースの組み合わせを交換して味わうことも可能なのです。美味しさの可能性が広がります。まさにチーズケーキ革命のはじまりです。
クラッシュしてのせてみましたが、風味がほのかに伝わり、この手もありです!
ベイクドと味噌クラストの組み合わせはおやつにいただくのも豊かで美味しいのですが、ニクイことに白ワインや日本酒などお酒とも恐ろしくよく合いまして、家族も大喜び。そしてですね、レアチーズにきな粉クラストは今までなかったのが不思議なくらいマッチします。入れ替えてレアに味噌、ベイクドにきな粉ももちろん合う! 「粋」を通り越して一周回ってこれが「定番」の美味しさかもしれないと思うほど。奇をてらわず、馴染みやすい味わいなので、フォークも進みます。

レアは溝口さんが子どもの頃に通った喫茶店のチーズケーキの味を再現したとのこと。思い出たっぷりの手作りチーズケーキを丁寧に再現したものだったのです。見た目の白さも「ここのつ」さんのシグネチャー和菓子を連想させますよね。感動が様々な角度から押し寄せてきます。

個人的には贅沢食べをおすすめします。それぞれ食べるのではなく、2種を同時にがベストです。これ以上ないっていうくらい未体験の滑らかさであっさりしつつ深みのあるレアと、コクあれどほろりとしたベイクドの交互食べはチーズケーキの楽しみを頂上決戦まで押し上げます。「チーズケーキってほんと奥深い」とつぶやきたくなります。
東京の別の場所で、ジャンルも違うけれど“食”という共通点から「何か一緒に作りたい、日常の中にある和のケーキ」というところから生まれたチーズケーキ。すごすぎます。おふたりの出会いに感謝せずにはいられません。また、おふたりのお店は予約開始が早朝で、その予約を取るために早起きしても伺いたい店というファンの声もしばしば。そして生まれたこの感動の味。チーズケーキの美味しさは作り手の数だけありそうですが、されどクラスト別添え革命を起こしたこの「一対」。まずは何も考えずワクワク気分で食べてみてください。

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エディターTARUI

気づいたらメガネやサングラスを集めてました。しかし、何年か寝かせてからかけるという癖あり。ひとりっぷ®修行中。セレブやK-POPを語りがち。

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