【イソップ】のローズフレグランスは、くじけそうなときに背中を押してくれる香り #深夜のこっそり話 #1858

いつもお世話になっている方と食事に行ったある日のこと。「そういえば、お誕生日でしたよね。おめでとうございます」と言って渡してくださったのが、真っ赤じゃなくて真っ白なバラの花でした。驚く私に、「花言葉は『深い尊敬』です」とその方がさらりと仰ったんです。こんなに粋なプレゼントを人からもらったのは初めてのことだったので、感動もひとしお。これまでバラに縁のない人生を送ってきた私ですが、この日をきっかけに大好きな花になりました。

バラの香りを自分への誕生日プレゼントに

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いただいたバラの花は、パリに工房を構えるラ スフルリーの手吹きガラスの花器に生けてみました。

家に持ち帰り、お気に入りの花器に生けて眺めながらふと気付いたのは、バラの香りがそんなにしないということ。気になって調べてみると、どうやら香りの強いものは花持ちが悪い傾向があるらしい。つまり、切り花用に売られているバラは、花持ちが良くなるように品種改良されていて、香りが弱いものが多いそうです。なるほどそういうことか、と理解はしたものの、急にバラの香りが恋しくなり、駆け込んだのがイソップのお店でした。お目当ては、数年前からずっと気になっていたフレグランスの「ローズ オードパルファム」。店頭で香りを試してみて「やっぱりこれだ!」と思い、自分への誕生日プレゼントにすることにしました。

甘さを削ぎ落とした、生命力を感じるフレグランス

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イソップの「ローズ オードパルファム」(50ml)¥22,550

じつはローズ系の香りって、もともとあまり得意じゃないんです。自分には華やか過ぎるというか、女性性や甘美さが強いような気がして、自ら好んでつけることはありませんでした。ただし、イソップのローズはまったくの別物。シソをブレンドしたフレッシュなフローラルノートに、グリーンやウッディが重なり、いい意味で華々しさが削ぎ落とされているんですよ。例えるなら、野に咲くバラのような素朴で力強いイメージ。花弁のみならず、茎や葉っぱや根っこも含めて一本まるごと感じられる香りといいましょうか。重層的でありながらも軽やかでみずみずしく、ピンクペッパーのスパイシーなアクセントも効いていて、心地良さと刺激を同時に感じられる香りなんです。

バラの一生を表現したストーリーにも心酔

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さらに胸打たれたのは、移りゆく香りの背景にあるストーリー。「大輪の花を咲かせた後に儚く散り、土にかえっていくまでのバラの一生が表現されています」と店員さんが教えてくださり、ドラマティックなコンセプトに引き込まれました。しかもこのフレグランス、20世紀を代表するデザイナーであり、政治運動にも積極的に関わっていたシャルロット・ペリアンにオマージュを捧げた作品でもあるんです。ローズをフィーチャーする一方で、登山愛好家だった彼女が多くの時間を過ごしたアルプスの山々を連想させる香りでもある。女性の社会進出が厳しい時代をたくましく生き抜いた、ひとりの女性の生き様を反映したエピソードに触れたとき、いっそう愛着が深まりました。

シュッとスプレーするたびに、「一度きりの人生だから、自由に、タフに生きていこうよ」と背中を押されたような、前向きな気持ちになれるんです。調香師のバーナベ・フィリオンさんの類い稀なる感性に、改めて脱帽。こんなかっこいいローズ、ほかにはないんじゃないでしょうか。これから年末にかけて一気に慌ただしくなりそうで、早くも疲弊気味ですが、くじけそうになったとき、この香りの力を大いに借りようと思っています。

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エディターHAYASHI

生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。

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