そうだったんだ！ ランウェイ〝噂″の真相
プロが選んだベストルックから、アップカミングなデザイナーや話題のモデルのインタビュー、オフランウェイのスナップまで。各都市で開催されたコレクションから気になるトピックを徹底取材。モードラバーたちの「知りたい！」のすべてがここに
現地で取材したエディターだからこそ知る、注目トピックスから今季のムードを肌で感じて
PARIS by Minako Norimatsu
1・3 花の形のオブジェはショーが始まると動き出し、食虫植物の様相を呈した。それを取り巻くランウェイはサーカス小屋のよう
2 ジャンボファスナーが象徴的なルック
4 ショーのフィナーレで車と登場したのは、「ポーズ」で名を馳せたトランスジェンダーの俳優＆シンガー、ミカエラ・ジェ・ロドリゲス
5 クリノリンスカートも、ブランドのアイコンカラーで
演出は、ストーリー仕立てで
趣向を凝らした演出が多かった、今回のパリ。ルイ・ヴィトンのショーでは、ルーヴル美術館の中庭に巨大なUFOが着陸したかのようなセットが出現。現代美術アーティスト、フィリップ・パレノとハリウッド映画の舞台美術家、ジェームズ・チンランドによるスカルプチャーが観客たちを出迎えた。
またトム・ブラウンはオペラ座のホワイエにて、英国の俳優グウェンドリン・クリスティーの演技から始まる芝居仕立ての長いショーを展開した。一方、ランジェリー風ドレスを得意とするウクライナ出身のデザイナー、アナ・オクトーバーはガーデンパーティ風の演出でゲストたちも和めるひとときを提案。
そしてうれしいニュースは、4年前にロジェ ヴィヴィエを去ったブルーノ・フリゾーニの、自身のブランドでのカムバックだ。彼は話題性を狙うのではなくコンフィデンシャルなプレゼンテーションで、実力を見せてくれた。
6・7 アナ・オクトーバーは花にあふれたプレゼンテーションを展開
8・9・10 新作ではメタリック・レザーを多用したブルーノ・フリゾーニ
NEW YORK by Teruyo Mori
11 席に着くと早々にお土産をチェックする海外取材陣
12 ショーピースと同柄の扇子
13 テーマとなった本『砂の楽園』
14 NY名物ともいえるコース氏のワンマンショー
15・16 キャリア服のリゾート化、リゾート服のモダン化を象徴するルック
コレクションに行けば、世相が見えてくる
コロナ禍を経てショー出席者へのお土産は激減。そんな中、ADEAMの美しい花柄の扇子は、コレクション期間中で余裕のない各国取材陣たちの心を潤した。アルトゥザラは、着想源となった本にリリース、ルック画像、生地見本まで挟んで配布。コレクションをより深く理解できる、知的なお土産も好評だった。
おしゃべり上手なマイケル・コースは、プレス発表会で世相を交えながらショーのコンセプトを紹介。人々の動向を鋭くも面白おかしく説明し、記者たちをうならせた。今季のキーワードは「ルール・チェンジ」。コロナ禍や戦争などの影響で世界が変わり、オフィスの装いと余暇のための服に境がなくなった、との見解だった。
MILAN by Megumi Takahashi
17 ミニマルなホワイトがきいたルック。ボディコンシャスなラインも特徴的
18 赤の大胆な装い
19 バックスクリーンいっぱいに映し出されるキムに、観客は釘づけ……！
20 会場を超えて、色違いの砂をデリバリー
21 フレッシュに進化したフェラガモ。床にも配された赤は新たなハウスカラー
忘れられない、あのショーの仕掛け
ドルチェ＆ガッバーナは、キム・カーダシアンをキュレーターに、1987年から20年間のアーカイブスとキムの視点を融合したコレクションを発表。ショーの背景画面には、キムが食事する映像が大写しに！ パスタやパンをおいしそうに食べる彼女のアップが続き、「あ、パンにバター塗って、塩かけた！」「口角だけをナプキンで拭ってる！」などと、キムの食事の様を凝視している自分に気づくのだった。
フェラガモの新クリエイティブ・ディレクター、マクシミリアン・デイヴィスのデビューコレクションもお披露目に。会場は、荘厳な神学校の中庭にテーマカラーの赤い砂が一面に敷き詰められた異次元空間。感動に包まれ会場をあとにした途端に解けた魔法。靴の中が砂だらけでイタタ！ 脱いで砂を払うと、赤と黒の砂がたっぷり落ちた。そうだ、フェラガモ直前のジル・サンダーは黒砂敷き詰め作戦だった。今シーズンの隠れトレンドは、＂砂＂？
