未知なるものへの好奇心を刺激するジャンルを超えた3冊
いちかわ さや●1987年生まれ。モデルとして女性誌、CM、広告で活躍。テレビ、雑誌で鉄道やアニメ、ロックについての知識を披露し、そのギャップから人気に。読書家としても知られ、雑誌に書評を寄稿している。
SPUR2016年1月号掲載
今回おすすめしてくれた『タイタンの妖女』はSFの古典的名作だ。「SF好きじゃない人でも楽しめると思います。SFの皮をかぶった哲学書ですね。宇宙を舞台にした壮大な話ですし、不思議な世界観とか、変わったものが好きな人にもおすすめです」
『タイタンの妖女』
カート・ヴォネガット・ジュニア著
浅倉久志訳(ハヤカワ文庫/760円)
神のように全知全能の存在となったラムフォードが、宇宙の平和と人類の救済のためにとった手段は、大富豪コンスタントの人生を狂わせることになる。宇宙を舞台に奔放な想像力と軽快な文体を駆使して描かれた異色のSF小説。
SPUR2016年1月号掲載
次に挙げてくれたのはチェーホフ。ロシア文学に興味をもった市川さんは、原文で読んでみたいとロシア語を学んだこともあるという。 「ロシア文学は難しいと思っている人に読んでほしいですね。短篇だし、人物描写がリアル。それに、悲惨な話でも後味が悪くない。チェーホフ本人も美男子で人気者だったそうです」
『新訳 チェーホフ短篇集』
アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ著 沼野充義訳(集英社/1,600円)
『桜の園』などの戯曲で知られるロシアの文豪、チェーホフは短篇の名手でもある。この新訳では女、子ども(と犬)、死、愛それぞれのテーマ別に作品を厳選。時代と空間を超えて、生きること、愛することの本質を教えてくれる。
SPUR2016年1月号掲載
最近の作品で印象深かったのが『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』。スラング、スペイン語が交じったまさに「いま」のアメリカ文学だ。 「主人公が日本のアニメが好きという設定だから、親しみやすいと思いますね。米国育ちの彼がドミニカに行く話なんですけど、私も知らなかったドミニカの文化を上手に紹介しています」
『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』
アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ著 沼野充義訳(集英社/1,600円)
『桜の園』などの戯曲で知られるロシアの文豪、チェーホフは短篇の名手でもある。この新訳では女、子ども(と犬)、死、愛それぞれのテーマ別に作品を厳選。時代と空間を超えて、生きること、愛することの本質を教えてくれる。
SPUR2016年1月号掲載