海外文学で、世界一周|アフリカ大陸

若き女性作家の、感性にふれて

『アメリカにいる、きみ』
C・N・アディーチェ著 くぼたのぞみ訳(河出書房新社/1,800円)

大国ナイジェリア。多民族国家ゆえの高度な英語教育と、腐敗した国政を背景に、若者は国外へ出る。そんな社会情勢も踏まえつつ、普遍的な物語をつむいだ本書。移住先で、白人の男の子との価値観の差に驚きながら恋をするイボ人の女の子を描く表題作など、10の短編を収録。繊細さと色彩感覚が素晴らしい。

SPUR2016年1月号掲載

この国で白人として生きること

ジャンプ 他十一篇』
ナディン・ゴーディマ著 柳沢由実子訳(岩波文庫/900円)

アパルトヘイト廃止後の南アフリカで、白人作家として小説を書き続けたゴーディマ。偶然に暴動に巻き込まれた白人男性が、認識を改める日常のひとこまを、その妻の様子とともに描くなど、繊細さと冷静さが魅力的。本書は12編を収録。大文字の政治小説でなく、個人の側から状況を描いた作家の手腕に、うなる。

SPUR2016年1月号掲載

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