担当編集が教える、海外文学レーベルの個性|No.3 ハヤカワepi文庫

世界的に評価される文芸作品を、手軽な文庫サイズで
担当:永野渓子さん(早川書房)

イギリスを代表するイシグロの作品の多くがここで読める。 「『わたしを離さないで』は、ぴんと張った緊張感のある静かな物語で、主人公たちを待つ運命には絶句せざるをえません。これほどの作品を書くイシグロさんですが、来日の際は、真摯で誠実で、ユーモアのあるお人柄に社員一同感激しました」と、永野さん。

『わたしを離さないで』
カズオ・イシグロ著  土屋政雄訳(ハヤカワepi文庫/800円)

全寮制学校時代の友人を“介護”する31歳のキャシー。みずみずしい青春期のエピソードが語られるうち、話は不穏なほうへ。21世紀的な科学技術の問題も盛り込まれた衝撃作品。

SPUR2016年1月号掲載

単行本から今年epiに入った『ならずものがやってくる』は、いかにも現代アメリカ的な側面をもつ作品だ。 「夢いっぱいの物語ではなく、現実をシビアに捉えた作品に、心慰められることもあります。本作の素晴らしさは、いや応なくすぎていく“時間”の非情さと、輝ける一瞬が誰にでもあるということを、同時に描いたところです」

『ならずものがやってくる』
ジェニファー・イーガン著 谷崎由依訳(ハヤカワepi文庫/1,200円)

窃盗癖のある30代女性、その上司で家庭生活に行き詰まる男、彼の若き日を知るパンク少女。全13章の章ごとに主人公を替え、彼らの過去・現在・未来を立体的に描く意欲作。

SPUR2016年1月号掲載

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