#TechnologyINSPO
最近話題のAI(人工知能)。私たちの生活を一変させると言われているこのテクノロジーは、いったいどういうもので、世界はどう変わるの? 今知っておくべきAIのことをわかりやすく解説!
Q1: AIってなに?
コンピューターの進化の延長上にあるものがAI(人工知能)です。電卓程度の機能があるものはすべて広い意味でのAIと言えます。より厳密に定義すれば、電卓やゲーム機程度のごく基本的な機能を持つコンピューターが第1世代、インターネット接続機能を備えた現代のPCやスマートフォンが第2世代、そしてディープラーニング(深層学習)を備えた最新の人工知能が第3世代のAIとなります。
Q2: 今なぜAIが注目されているの?
第2世代までは、あくまでも人間のプログラマーが知恵を絞って、コンピューターが計算したり、データを分析したりする部分をプログラミングしていました。これはつまり、プログラマーの能力をコンピューターが決して超えることはないことを意味します。ところが、第3世代では、人工知能は与えられたデータから勝手に学習し、自分なりの考えを持つようになった。それまではプログラマーの想像力の範囲でしか動いてなかったコンピューターが、ディープラーニングによってここ数年で人間の想像を遥かに超える成果を生み出すようになったため、世間でも注目を集めるようになったのです。
Q3: ディープラーニングって?
それまでのプログラミングと違って、コンピューターが勝手にいろいろなものごとの性質をとらえ、これまで機械には不可能だった高度な判断や識別ができる学習方法のことです。たとえば、「猫」として分類された画像データを大量に与えると、AIが猫の特徴を自動的に学び、猫かどうかを自ら判断するようになります。この技術が誕生して以来、画像認識や音声認識の性能が格段に向上し、AIは飛躍的にできることが増えました。クルマの自動運転システムもそのひとつです。
Q4: AIでファッションはどう変わる?
ファッションのコーディネートに関しては、人間よりAIのほうがうまくできると思います。ピーコみたいなAIが、体型や肌の色、さらにはデートなのか会議なのかといったシチュエーションまで取り入れて、「あなたに似合うコーディネートはこれ」というふうに提案してくれる感じですね。ファッションは流行の形や色がある程度決まっているので、かなり機械的にできるはずです。それこそそのシーズンのすべての洋服の画像データを読み込ませれば、同じシャツでも違うブランドの似たような形や色のものを簡単に探し出せるため、わざわざお店に行かずとも自分に合った最適なコーディネートが実現できます。
Q5: AIは洋服のデザイナーになれる?
もっと言えば、服を作ることも簡単にできるようになるでしょう。ファッション誌の過去記事を大量に読み込ませて学習させれば、たとえば今季のトレンドを意識したうえで"SPURっぽい服"もぱっとデザインしてくれる。しかも、最近のAIは下手な絵を上手に直せるので、適当にドレスや靴の絵を描けば、あとは自動的にAIが洋服の形にデザインし直してくれます。
Q6: AIが進化していくとどうなる?
メガネのことを考えてみましょう。メガネが登場したことによってこれまで見えなかったものがよく見えるようになって、人によっては字が書けるようになったり、運転ができるようになったり、視力がいい人と悪い人の差はほぼなくなりました。これと同じで、AIの登場によって今までできなかったことができるようになります。絵が下手だから漫画家になることを諦めていた人が、AIの進化によって思いどおりに絵を描けるようになって、夢を実現できるようになる。AIがあれば、諦めていた夢を実現でき、なりたかった自分になれるのです。
Q7: AIが人間の仕事を奪う?
AIが進化していけば、これまでは人間にしかできなかった仕事をロボットなどが代替していくことは十分に考えられます。ただ、心配することはありません。人間にとってつらい仕事やロボットに任せたほうが利点のある仕事が取って代わられるだけで、人間にとって楽しい仕事は残るはずです。
Q8: AIは人類を超えてしまうの?
いつかAIが人間の知性を超えて、勝手に独立国家をつくるとか、AIを脅威ととらえる意見は確かにあります。とはいえ、AIが自分の意志で国をつくることはまずあり得ないでしょう。なぜならAIの賢さは欲望を持たない賢さですし、賢さの尺度を最初に人間が与えるので、最終的にその枠をAIが超えていくことはないわけです。それよりも怖いのは、悪意を持ってAIを開発する研究者ですね。殺人ロボットを開発したり、ハッキングを行なってシステムを乗っ取ったり、悪用されることのほうが怖い。
Q9: 2018年のAI事情は?
今後は医療や教育、金融などの分野でAIが大きく進展していくと思います。ただ、誰でも気軽にそのメリットを享受できるようになるにはもう少し時間がかかります。2018年あたりに実用化が期待できそうなのは、デジタルサイネージではないでしょうか。歩いている人の背格好や表情を読み取って、その人や周囲の空間に合わせて最適な提案をする。そういった広告を街中で見かけるようになると思います。
教えてくれたのは……
清水 亮さん
株式会社UEI 代表取締役社長兼CEO1976年新潟県生まれ。ディープラーニング(深層学習)を中心とした人工知能の研究開発を専門とし、自らプログラミングも行う。2005年、情報処理推進機構より天才プログラマー/スーパークリエータとして認定される。東京大学先端科学技術研究センター客員研究員。
SOURCE:SPUR 2018年2月号「2018年の#INSPOを探せ」
text:Masayuki Sawada illustration:Hiroyuki Ishii
着たい服はどこにある?
トレンドも買い物のチャンネルも無限にある今。ファッション好きの「着たい服はどこにある?」という疑問に、SPURが全力で答えます。うっとりする可愛さと力強さをあわせ持つスタイル「POWER ROMANCE」。大人の女性にこそ必要な「包容力のある服」。ファッションプロの口コミにより、知られざるヴィンテージ店やオンラインショップを網羅した「欲しい服は、ここにある」。大ボリュームでお届けする「“まんぷく”春靴ジャーナル」。さらにファッショナブルにお届けするのが「中島健人は甘くない」。一方、甘い誘惑を仕掛けるなら「口説けるチョコレート」は必読。はじまりから終わりまで、華やぐ気持ちで満たされるSPUR3月号です!