An Di(アン ディ)/ デジタル社会の今、アナログでしか得られないぬくもりを味わう

PROFILE

大越 基裕さん
オーナーソムリエ。日本初のワインテイスターとしてレストランのワイン監修も行う。今後は、精肉店とタッグを組み、スペアリブを販売。

 新鮮な野菜、ハーブやスパイスをきかせたメニューを提案するモダンベトナミーズレストラン。当初、テイクアウトの販売は考えていなかったそう。

「しかし状況は悪くなる一方で……。幸いにもバインミーを主役にしたブランドの出店を考えていたので、米粉ベースのパンや具材、包材など細部まで構想を練ってあって。時期を早めて販売することにしました」。それに続き、アン ディ風のチキンライスやルーロン飯などアジアのローカルメニューも展開。「InstagramとFacebookで発信したところ、すぐに常連客や近くにお住まいの方が駆けつけてくれ、集客を得られました。今回はSNSのスピード感に助けられ、そのパワーを実感しました」

日替わりのバインミー。写真は「羊とグリーンアスパラガス」。

 店頭には農家直送の野菜や果物、ジュースの直売コーナーも設置。「お世話になっている有機栽培の農家の方は、レストランと契約している人が多く、スーパーや消費者に卸す販路がない。愛情込めて育った作物が余っている事実をそのままにはできないし、魅力を知ってもらう機会になればと思い、生産者に代わって販売しています」。予定外だった昼の営業を行うことで、新しい気づきや施策も得られた。

「今の生活様式に合わせると、ディナーの売り上げの落ち込みは避けられません。それをカバーすべく、今後は平日の昼の時間帯をどう活用するかが重要になってくるかもしれませんね。お客さまのニーズと自分たちが表現したいものとの折衷点を探し、展開していけたらと思います。またデジタルであらゆることが済む現代だからこそ、レストランの醍醐味であるアナログなつき合い、そこでしか得られない人の温かさや心の安らぎを再確認できました」

茨城や愛媛の農家直送の無農薬野菜。店では手作りドレッシングも開発。

 

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