#4 石山アンジュさん シェアリングエコノミー伝道師

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1989年、神奈川県出身。シェアリングエコノミー活動家。一般社団法人Public Meets Innovation代表や内閣官房シェアリングエコノミー伝道師を務める。

(右)ほとんど買い物をしないが、TV出演や講演のための衣装は必要。白とベージュは好きな色で自分らしい組み合わせ。東京でのみ、ヘアをホットカーラーで巻き気分をチェンジ
(左)大分県では、DIYをこなし、台風のときは近くの住人と家の補強作業を助け合う。汚れを気にせずに、自然体でいられる服装をしている

 

心地よさと、見られたい自分ふたつの等身大をまとう

 遊休資産を他者にシェアすることで、双方に利益をもたらす仕組みやプラットフォーム、「シェアリングエコノミー」。日本で普及活動を行う石山アンジュさんは、渋谷にあるシェアハウス「Cift」で暮らしながら、昨年の秋、結婚を機に大分県の古民家を借りてふたつ目の住まいを設けた。
「田舎暮らしとリモートワークの両立は2018年頃から実践し、東京と大分を2対1くらいの割合で行き来していました。コロナ禍でほとんどのことがオンライン化し、その比率が逆転。テレビ収録や取材、政府との仕事を除き、多くの時間を手つかずの自然に囲まれた大分の家で過ごしています。都会では未来のことに意識が行きがちですが、地方ではいまを生きている実感をより得られる。大自然の中で、オンライン中心の仕事をするのが、いまの時代にちょうどよいバランスだと感じます」
 横浜という都会で育った彼女にとって、初めての田舎生活は“まるでテーマパークのような”驚きと感動、興奮に満ちていたそう。鶯の声で目覚め、虫たちの鳴き声に耳を澄ます日々。田舎暮らしのイロハを教えてくれる高齢者たちと若い移住者たちとの交流を通じ、共同体を育んでいる。
「家の修復作業や、ご近所さんから急に畑にお呼ばれすることもあり、大分県では汚れてもいいラフな服装。大自然の中で過ごすと地球に敬意が芽生え、景色になじむ自分でいたいという気持ちになるんです。東京の洋服を選ぶ基準は、自分のオフィシャルなイメージに合うかと、その場にふさわしいかどうか。白をよく着るのは、ファッションプロデューサーの母の『白は敵を作らない色だ』という教えから。言葉に耳を傾けてもらいたいから、服装で人との間に壁を作らないようにします」
 移住ではなく、あくまで二拠点生活にこだわる。いくつかの拠点に、複数の仕事とコミュニティをもつことがサステイナブルな生き方につながる。そして、さまざまな人たちとの交わりが幸福度を高めてくれるのだという。

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1 愛用しているイーワンの腕時計。文字盤をさわることで時刻を把握できるユニバーサルデザイン
2 さまざまな世代の人が暮らす、東京、渋谷の中心にあるシェアハウスに居住する。石山さんが掲げるシェアリングエコノミーの理念から生まれた「拡張家族」は、現在100名以上のコミュニティに成長し、日本全国津々浦々に浸透。国内中に誰かの拠点がありマップで共有することで、気軽に訪れることができる
3 自宅の畑にて。野菜のおすそ分けには、農作業など別の形でお返しすることもあるのだとか

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