boyアートディレクター。2013年ネパールで美容による自立支援コフレプロジェクトに参加。「きれいになることが生きる力につながること」が自らの原点。 (右)着方が多数ありユーモアを感じるというミスターイットのワンピースが主役。ワイドパンツとよいバランス(左)蛍光ピンクがきいたウィンドブレイカーにデニムで、リラックス。メリノウールのインナーはマストアイテム。ヘアアレンジは高めにまとめて。アウトドアブランドに親しみを覚えるようになったそう 過ごす場所に合わせてクローゼットは二分する 原宿のヘアサロン「boy Tokyo」で働く、あべありささん。昨年8月に長野県上田市に住居を構え、1カ月のうち20日間は長野県で暮らし、残りは東京に戻りサロンの店頭に立つ。「夫が北欧の輸入家具を取り扱う『haluta』に転職して、本社が長野県にあるので引っ越しをしました。自分のキャリアを諦めなければならないのかなと、一瞬頭をよぎったのですが、思いきって上司に相談したところ二拠点生活をしながら働くことをすごく応援してくれて。お客さまも理解してくださり、限られた日数の中で来店してくださっています。本当にありがたいことですね」 長野県でも、地元の美容室の一角を間借りし美容師として働いている。「生活の変化とともに、洋服に対する気持ちはよりシンプルに変化しました。東京で過ごすときは、お店に立つことを想定したトレンドに敏感な装いをします。体にぴたっとなじむカットソーに、アシンメトリーなシルエットのワンピースを合わせたり。きちんとして見え、都会的であることが第一。一方、長野県では、柔らかい素材でゆったりしたニット、特に寒さに耐えられる100%ウールのものを着ています。普段の生活では風が強いので、ウィンドブレイカーが大活躍。その反動なのか、東京に戻るときは、おしゃれをすることに、いっそう気持ちが盛り上がるようになりましたね」 クローゼットは、東京用と長野県用で別に管理。目的がはっきりしたことで、必要なものや欲しいものが明確になったのだそう。断捨離も行なったというが、長野県がSDGsに注力していることと相まって、消費について考え直すきっかけになったと語る。「長野県はゴミの分別が、めちゃくちゃ細かいです。上田市はゴミ袋に自分の名前の記入が義務づけられているほど。慣れるまで時間はかかりましたが、自分の出すゴミの量が把握でき、ビニールやペットボトルを極力減らそうと意識が変わったのはよかったですね。服の購入も慎重に。東京は、これから変わっていくのかなと思っています」 1 「haluta」の倉庫に週末オープンするイベントでは、ヘアカットすることも。若い移住者たちが来場するそう2 雪が多いため買い足したブランドストーンのサイドゴアブーツ。外は本革、内がウールで、足先は冷え知らず3 古い単館系の映画館は、外観のかっこよさもお気に入り。空き家を再利用したカルチャースポットが増え、訪れることが日課に。ほかに、ブックショップやカフェなど、少しずつではあるが、街に新しいムーブメントの到来を感じさせる4 長野県が誘致したワイナリーが点在し、ぶどう畑が広がる。ワインショップで、飲み比べするのも楽しみのひとつ #3 角田貴広さん 編集者