エントランス正面のショーケースに並ぶのは、サーロインやモモといったおなじみの部位に、カメノコにクリといった耳慣れない部位まで約15種類の熟成肉。赤身が放つ深いルビー色に、脂身ならではのやわらかな白、ていねいにトリミングされた美しいラインと、どの肉も"容姿端麗"!
「うちで扱うのは兵庫県で生まれ育った但馬牛と、但馬牛の中でも特に品質が高い神戸牛のみ。本来の肉質がよくないと、いくら熟成してもおいしくはならないですから」と語るのは、熟成肉ブームの火つけ役、「中勢以」の出浦陽一郎さん。同店では、枝肉(内臓や頭部などを取り除き、背骨から二つに分けたもの)の状態で、温度や湿度を管理した専用庫で8 ~10週間熟成させている。
「ドライエイジングと呼ばれる方法で、適度に水分を抜いて、うまみを存分に引き出してやる。つまり熟成とは、『おいしくな~れ』と肉をケアすること。実はこれ、やり方に多少違いはあるものの日本では昔から精肉店が行なっていたこと。処理した肉を半身で吊るしてしばらく置き、おいしくなった頃合いをみて出荷していたんですよ。私は、その伝統的な肉食文化をリポジショニングして広めたかった。いわば、"温故創新"ですね」
その熟成肉をベストな状態で食べてほしいとオープンしたのが、「中勢以 内店」。ショーケースに並ぶ極上の肉が小売価格の1.3倍で食べられるとあって、またたくまに熟成肉ラバーの聖地に。違う部位を少しずつオーダーして食べ比べるというエンターテインメント性の高さも魅力!
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●東京都文京区小石川5 の10の18
TEL:03(3830)0490
営業時間:11時30分~15時30分(LO14時、土・日のみ)、17時~23時(LO21時)
休日:月曜(祝日の場合は営業し、翌日休業)
http://www.naka-sei.com/uchi/
SPUR2015年12月号掲載