80年代ファッションとラブ満載! 『ワンダーウーマン 1984』

(c) 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (c) DC Comics
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女性監督による女性スーパーヒーロー・ムービーが、スーパーヒット――と、2017年の『ワンダーウーマン』は数々の「初めて」が痛快でした。ただ実はあの映画は女性像にもストーリーにもクラシックな趣があり、それが魅力だった気がします。何しろ天から落ちてきたような純粋な美女が、地上の男と悲劇的な恋に落ちるのですから! 『ローマの休日』(1953)を下敷きにしたような物語にかっこいいアクションが詰まっていれば、アピールするはず。続編『ワンダーウーマン 1984』でも、レトロな魅力と新しいルックの組み合わせは変わりません。

舞台は1984年。ダイアナ(ガル・ガドット)にとっても、彼女の運命の恋人、スティーブ(クリス・パイン)にとっても、それは目が覚めるような未来の世界です。いま見ても、派手なヘアや服に華やかなショッピングモール、浮かれた雰囲気はレトロフューチャー。ファッションもビッグなシルエットにオフィスウェア+スニーカー履きと、いまの流行の原型みたいなものばかりです。ただ、80年代の消費主義や人々の欲望は天井知らず。今回のストーリーは昔の怪奇小説「猿の手」をモチーフに展開します。つまり、人が自己満足な望みを叶えようとすると、必ず取り返しのつかない代償を支払わされる。それがいまのアメリカを重ねるような形で展開していきます。

でもやっぱり、感情的な中心はダイアナとスティーブの恋なんですよね。二人が80年代ワードローブで遊ぶ場面から(ウェストポーチが大活躍!)、迫力のアクションシークエンス、ハーレクインさながらのシーンまで、笑いもスリルも、エモさも全部あり。それに加えて、今回はヴィランのクリステン・ウィグがいい。最初はダイアナに憧れていたドジっ子が、よりセクシーで強い存在になろうとして変わっていく――彼女のキャラクターにはワンダーウーマンより共感できるかも。とにかく、公開が遅れに遅れたものの、間違いなく大画面で没入したい一作です。

『ワンダーウーマン 1984』
監督/パティ・ジェンキンス
出演/ガル・ガドット、クリステン・ウィグ、クリス・パイン、ロビン・ライト、ペドロ・パスカル
2020年12月18日、全国ロードショー

映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。