連載最終回! 『ある結婚の風景』のジェシカ・チャスティンとオスカー・アイザックがセクシーすぎる

© 2021 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related programs are the property of Home Box Office, Inc.
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前回、会話劇を偏愛しているという話をしましたが、そのジャンルでも超弩級の一作が配信されます。会話劇で「超弩級」ってあんまり聞かない言葉ですよね。でもジェシカ・チャスティンとオスカー・アイザック主演の『ある結婚の風景』を見れば納得してもらえるはず。交わされる言葉の鋭さ、激しさ、その感情の濃密さ。カップルの別れを描く作品はたくさん見てきたはずなのに、全5話の間ずっと固唾を飲んで引き込まれました。ふたりが暮らしている家は撮影のセットだ、とドラマの初っ端から提示されるのに、リアルな臨場感がいっぱい。

オリジナルはイングマール・ベルイマン監督による70年代の同名ドラマ。当時は「このドラマのせいで離婚が増えた」と言われたそうですが、今作も離婚率はこれ以上上げられなくても、パートナーとの毎日に緊張感が生まれそう。そのくらいひとつひとつの言葉、行動がふたりの関係を決定していくのです。怖い! また興味深いのは、オリジナルの男女の役割が今回、反転していること。ジェシカ・チャスティン演じる妻はIT企業の重役で、オスカー・アイザックの夫が家事や育児を主に担当しています。家を出るのも妻。その構図によって話が現代的になるとともに、女性はどこまで個人の幸福を追求するべきか、男性が抱える抑圧など、テーマに新たな深みが生まれている。そして男女関係なく、どちらの不満にも痛みにも共感してしまうのです。

ただ頭ではそんなことを考えながらも、実際は二人の演技の切迫感と、セクシーな存在感に圧倒されっぱなし。セックスシーンだけでなく、例えばシャワーを浴びて髪が濡れたままの妻と、その横で彼女の衣服をたたむ夫のような場面でもエロティックさを感じました。リレーションシップ、パートナー、ジェンダーといったキーワードが気になる人には絶対見てほしいドラマ。オリジナルと見比べると時代によって変わったもの、変わらないものが見えてくるかもしれません。演技と会話をたっぷり味わえる親密なドラマは、この連載の最終回にぴったり。長い間ありがとうございました!

『ある結婚の風景』
監督・脚本/ハガイ・レヴィ
出演/ジェシカ・チャスティン、オスカー・アイザック
12月17日、U-NEXTにて独占配信

映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。

 

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