[vol.27] 今、アフロヘアが新鮮!ハル・ベリーにアリシア・キーズ、ヘアはデカくなったが、心は軽くなったセレブたち

今年のアカデミー賞授賞式のレッドカーペットで私の目を引いたのは、ハル・ベリーだった。アトリエ・ヴェルサーチのドレスにアフロヘアがカッコよかったな〜。女優たちがここ一番の美しさをアピールするレッドカーペットでは、高価なドレスに合わせて作り込んだヘアスタイルが多いのだが、ハル・ベリーはまるで70年代のディスコクィーンのようなアフロヘアだ。それなのに、ワンショルダーのドレスと相まって新しい感覚のエレガンスを作り出していた。

もうひとり、アリシア・キーズも今年のグラミー賞のステージに、昔のダイアナ・ロスのような思いっきりのいいアフロヘアで登場してインパクトがあった。彼女はVネックラインが深くお腹のあたりまでカットされた、黒とゴールドのストライプのジャンプスーツを着ていたのだが、力強さとセクシーさが一体となって迫力のパフォーマンスだった。アリシアは昨年からメイクアップもほとんどしなくなって、ありのままの自分をさらけ出すようになった。もともと美しい彼女だから、スッピンでも十分きれいではあるが、それでも人気商売でそれをやるのは、よっぽど精神的に揺るぎない自分を見出したのだと思う。

アリシア・キーズはグラミー賞を通算15回受賞。ハル・ベリーはアフリカ系アメリカ人女優で初めてのオスカー女優。そのキャリアで彼女たちは成功者だが、出産や離婚や恋愛において、または有色人種のアメリカ人として、人知れず内面の葛藤や憤りがあったと思う。だが、オスカーやグラミーなどの華やかな場で、本来持っているナチュラルな美しさを活かしたヘアスタイルの彼女たちは、なんと晴れ晴れとして見えることか。自分らしく装うその心意気。アフロヘアはデカいが、心は軽やかに自分を主張しているようでカッコいい!

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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