2020.01.07

「深くかっこよく生き続けるしかない」【LicaxxxのTalk Room】

Licaxxx/リカックス
DJ、ビートメイカー。ウェブ「シグマファット」主宰。インターネットラジオ「Tokyo Community Radio」もチェック。

GUEST Holly Q/ホーリー キュー
ヒップホップグループKANDYTOWNのMC。上杉柊平名義で俳優としても活動している。

Licaxxx(以下L ) まずはSPURの読者のみなさんへの自己紹介も含めて、KANDYTOWNとはなんぞやというところからお願いします。

Holly Q(以下Q) みんな地元が一緒の幼なじみが集まったグループです。もともとKANDYTOWN RECORDSだったんだけど、音楽だけじゃないよねってことで、今はKANDYTOWN LIFEに。その中で音楽やってるのは15人くらい。みんな自分がやりたいラップや好みも違うんで、最初にビートありきで、これやりたいって曲にMCがどんどん入っていく。

L 俳優としての仕事も忙しいのに、今作では参加曲も増えて精力的だね。

Q 今作から正式に事務所に許可取ってやり始めたってのもあるし、言いたいこともいっぱいたまってた時期にちょうど制作期間だったってのもあるし。映画の撮影の合間にリリック書いたりレコーディングスタジオ行ったり、よく頑張ったなと(笑)。音楽が充実してきたから自信がついて、俳優業のほうも精神的に落ち着きました。どっしり構えられるようになって、周りと比べなくなったかな。俺みたいに、本気で音楽やってる俳優がいていいじゃんって、オープンになれた気がしますね。

L  ライブの規模も大きくなって、みんな外向きだったよね。その中でやりたいこともちゃんと伝えられる形になってて、すごいなと。

Q アルバムの制作段階でZeppでやるのは決まってたから、そういう規模のライブを意識した曲は多くなったよね。

L  全員の意識を揃えるのは大変じゃない?

Q 揃わないけど、「何がかっこいいか」のベースが一緒だからやれてる。ちゃんと役割決めようって話は出てるけどね。Licaxxxは、いろんなフェスに出たりヨーロッパツアーやワンマンやったりで、以前と何か変わった?

L  好きなことができる率は高くなったかな。DJにしろラジオにしろ、自分の活動をイベント主催者もお客さんもアーティストもわかってくれるようになったから、やりやすくなった。ところで最近は日本のヒップホップが飽和状態で食傷ぎみだったんだけど、やっぱりKANDYTOWNかっこいいなって。オールドスクールの芯が通ってて、詩や生き様がはっきりしてるからかな。

Q 俺らの中に共通にあるものが複雑でディープなんだよね。そのうまく言葉にできないものに、みんな向き合ってるから、KANDYTOWNの音楽になってるのかも。「クラシック」になるものを作ろうって毎回言ってるし。

L  いろいろやってきたものをちゃんと熟成して出してる感じがして、新鮮だった。KANDYTOWNのHolly Qとして、今後の展望は?

Q  KANDYTOWNでやるラップが好きだからこのままでいいかな。あといろんな人と曲作ってみたい。ラッパーだけじゃなくシンガーやDJ、俺と同じで俳優やってて音楽やってる人と。あと、深くかっこよく生き続けるしかないと思ってます。

『ADVISORY』
KANDYTOWN
¥2500/Warner Music Japan

前作から3年ぶりにリリースされた、セカンド・フルアルバム。Holly Qが参加した「Core」「In Need」「Bustle」「Until The End Of Time」など全15曲収録。

SOURCE:SPUR 2020年2月号「LicaxxxのTalk Room」
interview & text: Annie Fuku photography: Akira Yamada