超絶技巧で描き出す、幽玄な地下世界へ。クリス・べレンスの個展がメグミオギタギャラリーで開催中

東京・銀座のメグミオギタギャラリーでは、現在、オランダ人画家、クリス・ベレンスによる超絶技巧の新作絵画を紹介する個展「素晴らしき地下世界」を開催中。べレンスにとって日本での個展は約7年半ぶり。パネルにミクストメディアで描かれた新作32点は、いずれも力作揃いだ。

東京・銀座のメグミオギタギャラリーでは、独自の精細な表現と幽玄な世界観で知られるオランダ人画家、クリス・べレンスの個展「素晴らしき地下世界」を開催中だ。べレンスにとって日本での個展は2016年に同会場で開催された「Moonrise」以来となるもの。パネルにミクストメディアで描かれた新作32点が展示されている。

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クリス・ベレンス「Mascotte」2024 32×23cm Mixed media on panel

べレンスは1976年オランダ・スヘルト-ヘンボス生まれ。1999年にベレンスはスヘルトーヘンボス王立芸術アカデミーでイラストレーションを修了。2005年にアムステルダムのヤスキ・ギャラリーで開催された初の大規模個展で一躍名声を得た後、今回の会場である東京のメグミオギタギャラリー(2013年、2016年)をはじめ、ニューヨーク、ロサンゼルス、シアトル、シンガポールなど、世界各地で展覧会を開催してきた。また、2011年発表のブロンディのアルバム「パニック・オブ・ガールズ」のカバーデザインを担当したことでも知られている。

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クリス・ベレンス「Visiting Hour」2024 36×26cm Mixed media on panel

小さな紙片に細筆やインクで細部を描き、さらに別の紙を貼りつなげて描くという微細な作業を繰り返し、作品の全体を緻密に構成するべレンス。想像上の景色をありありと表出させる手描きの技術、ピントのずれやレンズの歪み効果により、郷愁を感じさせるような独自の表現をものにしているほか、近年ではデジタルでの画像制作も行っている。レンブラントやフェルメールの影響もうかがわせながら、時空を超えて光と影が交錯する、幽玄な異生物の世界を表現しているべレンス。日本の伝統文化に見られる精霊信仰や幻想性もインスピレーション源のひとつとして挙げているのも興味深い。

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気が遠くなるほど細かな作業を経て形になるクリス・べレンスの作品。

「あなたの内側からざわめきが生まれる時。何者かが物陰に隠れてあなたを見ているような、不穏な感覚を覚えた時。少しの間、耳を澄ましてみてください。それは私たちかもしれません。私たちはあなたの目の端に住む生き物です。私たちは甘美な欠落感であり、存在しなかった時間や場所への深い憧れです。私たちはここにいます、これまでも、そしてこれからも。恐れる必要はありません。私たちは待っていました。あなたを見つけた今、私たちは決して離れません。手を取り、一緒に飛び込んでください。ここはもうあなたの家。ようこそ、素晴らしき地下世界へ」(クリス・べレンス)

作家の内的世界と現実をつなぐ生命体として鑑賞者に語りかけるべレンスの作品世界に、この機会にぜひ没入してみてほしい。

クリス・ベレンス「素晴らしき地下世界」
会期:〜2024年4月27日(土)
会場:メグミオギタギャラリー(東京都中央区銀座2-16-12 B1)
開廊時間:12:00〜18:00
休廊日:日・月曜
https://www.megumiogita.com/

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