ファッションだけじゃない!2020春夏パリ・ファッションウィーク こぼれ話

ファッションウイークの期間には、多分野の話題も相次ぎます。この秋のオフ・イベントから、まずは「モダン・マハラジャ」展。中央インド、インドール県のマハラジャが1930年代に作らせた邸宅、マニク・バグ宮の調度品を中心とした展覧会です。彼は当時ル・コルビジェやブランクーシらとも親交があり、インドの伝統と欧米のアール・デコやモダニズムの融合という特別な世界観を築きました。ところで州は変わりますがインドと言えば、ジャイプールを創作の拠点とするジュエリー・デザイナーのマリーエレーヌ・ドゥ・タイヤック。9月25日には彼女の作品の集大成Gold and Gems (Rizzoli刊)の出版記念サイン会が開かれました。

グルメ×モードの例では、ジャックムスのシモン・ポルト・ジャックムスのディレクションで完成したレストラン「ウルサン」が、新たなホットアドレス。パートナーシップを組んだのは、老舗レストラン「キャヴィア・カスピア」で知られるカスピア・グループです。一方シモンの親友でインフルエンサーのジャンヌ・ダマスは、自身のブランド「ルージュ」の初の旗艦店を、レストラン併設でオープン。1年前に彼女のトレードマークの赤リップを中心にスタートした、メイクアップ・ラインも好評です。一方メイクを含めたビューティのこだわりセレクトなら、オープンしたばかりのドーバーストリート・パルファン・マーケット(DSPM)へ。DSMによる世界初のビューティ専門店であるここには、発表されたばかりのトム・ブラウンの香りコレクション「09.27.65」から、サステイナブル&オーガニックなニッチブランド、例えば最近はヴィーガン・レザーのケースを発表した「ラ・ブッシュ・ルージュ」など。

ヴィーガン・ファッションを徹底するのは、女優のルーニー・マラによる、ロサンジェルス拠点のブランド「ヒラエス」です。レザーやファーだけでなく、ウール、カシミア、シルクも一切使わないヒラエスのコミュニティは 、倫理的ファッションに共鳴する人たち。その流れで、今回パリでのヒラエスのショールームでは、サステイナブル・トークが開かれました。そして一番の話題は、シャルロット・ペリアン展。その創造性だけでなく、大戦前後の女性の社会的地位向上に貢献した彼女は、今まさに見直したい存在です。数年前にはルイ ヴィトンがペリアンにインスパイアされたカプセル・コレクションを発表しましたが、この偉大な家具デザイナー&アーティストは、今でもジャンルを越えた影響力を放っているのです。

text: Minako Norimatsu

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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