サンプリングの“ネタ元”を着たい

行ったら必ずなにかしら欲しいものが見つかる店、FIFTH GENERAL STORE。以前ここで購入したロンTも紹介しましたが、背景のある語れる服を揃えているんです。今回「なんか可愛い」と思ってこのスウェットを手に取ると、スタッフの方が「こちら、どこかで見たことありませんか?」と声をかけてきてくれました。ある、あります! としばし熟考……

 「あ!ヴェトモンですね!」15年秋冬コレクションで、こういうスウェットを出していました。「ということは、ヴェトモンのコピーってことですか?」と失礼にも尋ねると、「その逆ですよ。このスウェットは、2000年代の、フランスの消防士のユニフォームのデッドストックなんですよ。ヴェトモンのデザイナーのデムナは、これに着想を得て、再構築したんですよね。デムナ自身は確か“元ネタ”の方を着ていたはずですよ」とショップスタッフのお兄さん。
確かに以前、T JAPAN 2016Vol.6でインタビューにこたえていたとき、フランスの警備員のユニフォームのポロシャツをまとっていました。 

これこそ、ヒップホップで言うところの「サンプリング」ですよね。既に発売されている音楽を取り込んでアレンジし、新しい曲に昇華する。ネタ元の曲を探り当てた末に、元の方にハマってしまうことはたびたびありますが、同じように「あえてネタ元を着る」というのもいいなぁと思うんです。消防士のユニフォームだけあって、着心地も抜群。「SAPEURS-POMPIERS」と刺しゅうされたテープの下には、ベルクロ(マジックテープ)が付いています。これは、階級章を貼るためのもの。左腕に付いたテープはペンポケットです。

こういった、デザインのためではなく機能のためのディテールにも、心くすぐられます。デニムを合わせてラフに着るのもいいですが、古着の花柄スカートとも相性が良さそう。普遍的なデザインだからこそ、スタイリングのし甲斐があるんです。やっぱりFIFTH GENERAL STOREには「語れる服」がある。今回の買い物も大満足でした。

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エディターITAGAKI

ファッション、ビューティ担当。音楽担当になったので耳を鍛えてます。好きなものは、色石、茄子、牧歌的な風景。

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