2017年、最初のお願いです。

現在発売中のSPUR2月号で、どうしても読んでいただきたい特集があります。

それは「THE FACES of 2017」。文字通り、2017年に活躍するであろう、7つの「顔」を特集した企画です。7人全員の言葉を読んでいただきたいのですが、特に猛烈プッシュをしたい3人について、ここに書かせてください。

トップバッターは、デザイナーのグレース=ウェールズ・ボナー。昨年、LVMHプライズに輝いた彼女ですが、SPURは賞をとる前から、そのクリエーションの素晴らしさに魅せられて取材をオフォーし続けてきました。何度もタイミングがあわず、それでも彼女の生の声をききたくて、あらゆる方面からコンタクトをして実現したインタビューです。その間に、彼女はメンズのデザイナーながらレディースをランウェイで発表するようになり、賞の獲得とともにそのクリエーションの完成度と注目度はうなぎのぼりに。FKA Twigsのステージ衣裳を手がけ、あのフィービー・ファイロが彼女の服を着たがっているらしい、と言ったらそのすごさ、ちょっとおわかりいただけますでしょうか? 半年以上の時間をかけて、ついに彼女のインタビューがとれることになったときのうれしさと、取材原稿を読んだ時のときめきは、忘れられません。必ずやこれからのモード界を担うライジングスターの「今」を感じていただきたいのです。

さらに、女優のエマ・ストーン。「ラ・ラ・ランド」でゴールデン・グローブ賞とりたてほやほやの彼女の生の声もお届けしています! 映画自体が素晴らしく、観ていただきたいのももちろんですが、必ずや次のオスカーを獲る!と信じている彼女の声も、ぜひ届けたい。もうね、映画ではなにげないカップルの会話の時に見せる彼女の表情にしびれるんです。もちろんすでにスターではあったけれど、その階段を今さらなる高みまで駆け上がらんとする瞬間にエマ・ストーンはいると思うのです。その瞬間を、SPUR読者みんなで目撃して欲しい。

そして、最後に作家のチママンダ・アディーチェ。インタビュアーは作家の西加奈子さんです。アディーチェの最新刊『アメリカーナ』の帯にコメントを寄せている西さんは、同い年の同じ作家でありなあら、アディーチェのことを「スーパースター」と呼んでいました。なんと彼女の言葉をききたいがために、トークショーを見にアメリカまで行ってしまったこともあるのだそう。なぜ、彼女にSPURが注目したか、というとひとつのきっかけは、ディオールです。新アーティスティック・ディレクターに就任したマリア・グラツィア・キウリがアディーチェの考えにインスパイアされ、彼女のスピーチのタイトル「WE SHOULD ALL BE FEMINISTS」を今季のデビューコレクションでTシャツのメッセージとして使いました。これは「自分の着たいものは、自分で決める」というメッセージです。日本では、本好きの方、フェミニズムに興味がある方にしかまだまだ知られていない存在かもしれませんが、アディーチェのスピーチ動画は、世界中で再生され、共感されています。「WE SHOULD ALL BE FEMINISTS」の再生回数は320万回以上、「シングルストーリーの危険性」は1000万回以上にものぼるのです。性差やバックグラウンドのボーダーを超えることの大切さ、そしてそれを考えることの大切さを教えてくれます。西さんは、アディーチェへのこれまでの思いの丈をいっぱいにこめて、熱のこもったインタビュー原稿で、彼女の魅力をあますところなく伝えてくださいました。どうしてもこの原稿を、ひとりでも多くの人に読んでいただきたい。

2017年、いろんな目標や希望があると思います。目の前の問題をクリアすることで精一杯の方も多いかもしれません(私もそのひとりですが)。でも広い世界に目を向けて、今輝いている人たちの考えていることを共有することは、自分を輝かせるための小さな小さな種火になるのでは、と思うのです。新しい年のスタートに、新しい服も欲しいところですが、新しい言葉、新しい世界に触れてみるのはいかがでしょうか?

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エディターTOTOKI

ファッションと占い担当。おしゃれは我慢、ができないので、着心地重視。休みの日は、大体インテリアのことを考えています。

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