​Dr.Martensを履いた若者になりたかった

おしゃれ心が芽生えた中高生くらいの思春期、イケてる人はDr.Martensのブーツを履いていました。なるほど~この靴を履けばいいのね……と「オシャの新入社員」(©漫画家・かっぴーさん)な私は思っていたのですが、なぜか買うタイミングを逃したまま、うっかり大人になってしまったのです。老若男女に愛されている長年履ける靴であることは間違いないのですが、私の理想は「10代に買ったDr.Martensをおばあちゃんになるまで履いている人」だったんですね。若いときからずっと同じ靴を履いているということが、その人のブレない姿勢を表しているようで勝手に憧れがありました。

だからこそ、そんな必携アイテムを買い逃していたことの後悔がずっと頭の片隅にありました。けれど近頃、またDr.Martensを履いた若者をよく見かける気がする! それからふつふつと履きたい気持ちが湧いてきたのです。さらに極めつけは、そのタイミングでのSPURでの撮影。秋冬に発売する新作のサンプルを見て、これが欲しい!と強く思ったのです。定番にひとひねり加えたデザインに一目惚れでした。
発売を待ちわびて、ついに先日勇み足で表参道店へ。いざ試着をしてみると、あんなに素敵なブーツなのに、なんだか違う。私の華奢でひ弱な足に対して、靴のボリューム感が不釣り合いというか。ランドセル背負いたての小学生みたいな気恥ずかしさがあったのです。身長が小さいのもあるかもしれません。履きこなせない自分を恨みました。試し履き前からこれ!と狙い撃ちだったので、どうしよう……と思いつつ、せっかくなのでと薦められた定番を履いてみることに。おしゃれな人がこぞって履いていた8ホールは見慣れたものです。青春時代を抜けた今、私もやっとはじめて足を通すことができました。ボリューム感はちょうどいいのだけれど、8ホールだと私の短い足(涙)に対しては少し長い気がする。それでは、と次に目の前に置かれたのは6ホールのブーツ。これが、履いてみるとドンズバでちょうどよかったのです! 8ホールほど長くなくほどよい丈感。このモデルだとステッチもアイコンであるイエローではなく、ブラックに。そんなところも「若者のうちから履き込むのがカッコイイ」的な私の観念からすると、中途入社的な自分には定番とはちょっと違うくらいがいいのかなと思い決めました。

かくして、遂に6ホールのブーツでDr.Martensデビュー。今はレザーを肌になじませ、さらに折り目をつけるために(笑)、雨の日も風の日もガシガシ履き込んでいる状況です。憧れは「もう子供のときからずっと履いてるんだよね」という“味”。そんなことがかなうのも、堅牢なつくりがあってこそ。もちろん何歳から取り入れても素晴らしい、名品です。

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エディターSAKURABA

好きな服は、タートルネックのニットと極太パンツ。いつも厚底靴で身長をごまかしています。

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