【新年にワクワクして元気が出る本】「真似のできない女たち–21人の最低で最高の人生」

明けましておめでとうございます。お正月、いかがお過ごしでしょうか。やることないのが贅沢なはずなのに、つい暇を持て余してしまう皆さんに。ネット配信ドラマに勝るとも劣らないスリリングな一冊の本を紹介します。山崎まどかさん著「真似できない女たち–21人の最低で最高の人生」。 その前に、全然関係ないハナシを少々。

先日、ふと気づいたんです。自分、自然と口角が上がっているなと。サッカーW杯決勝戦を観ながら、思わず笑っていたのです。むき出しの人間らしさを、久々に目撃したからでしょうか。

あの決勝で度肝を抜かれたのは、アルゼンチンのゴールキーパー、エミリアーノ・マルティネス選手です。メッシでもエムバッペでもなく。

運命のPKで、彼はキッカーが蹴る前にサポーターを煽ったり、ギョロ目で相手を挑発。まるで蛇がカエルを飲み込むように、フランス代表を制してしまいました。おまけに最優秀ゴールキーパーに選ばれたセレモニーで、あろうことかギョッとするようなパフォーマンスを披露。

ろくでなしだけど、善悪で片付かないこの感じ。それで思い出したんです。昔、「マリーシア」って言葉がありましたよね。主に南米の選手に見られる、ちょっとずる賢いプレー。ロジカルな戦術とか、ハードワークとか、VAR(ビデオ判定)なんかで合理化きわまる近代サッカーにおいて、「マリーシア」は死語になったと思っていましたが、どっこい生き残っていた。だから人間は面白い。

「真似のできない女たち–21人の最低で最高の人生」 文庫本
「真似のできない女たち–21人の最低で最高の人生」 山崎まどか著 ちくま文庫

閑話休題、「真似のできない女たち」。この本にも変な人、常識のナナメ上を行く人、身近にいたら面倒見切れないよっていう実在の人物がいっぱい出てきます。自らの心の声に素直すぎるがゆえに、酔狂な人生を送る女性たち。ゴミ屋敷に住むセレブリティ、嘘つきなデザイナー、男たちに蹂躙されながらも健気に生きるダンサー、などなど。若いころは美しく魂を輝かせていたとしても、大層惨めに最期を迎えたりもします。ドラマチックな展開と山崎まどかさんの語り口に、ビンジウォッチングさながら一気にページをめくってしまう。読後はスカッと爽快で、元気が出ます。

畳にフトンをしいて誰かに見守れれて死ぬのが夢の、凡庸な私にはもちろん真似できません。

今年は心を新たに、彼女たちのようにもっと大胆に生きよう、なんて大それた目標は立てないけど、せめてそんな彼らを「目撃」したい。まだまだ海外旅行は難しいかもしれないけど、目と心を見開いて、世界中のわけがわからない人に出会いたい。そうして「だから人間は面白い」をいっぱい感じていきたい。

そんな野望(!?)に満ちた2023年。SPURをよろしくお願いいたします!

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エディターNAMIKI

ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。

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