2016.09.20

フランソワとの出会いは最高の贈り物だと思った

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photography:©Parfums Christian Dior

2006年よりディオール マスター パフューマーを務めるフランソワ・ドゥマシー氏。今年の秋にグラースに開設されるディオールのフレグランスラボラトリーの責任者でもある

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photography:©Parfums Christian Dior

ローズ ドゥ メの収穫は手で行うことが必須。クロ ドゥ カリアンではヘンプや黄麻などを植えてバラの株を守りつつ、微生物や昆虫と共生させる試みを積極的に行なっている

「グラースの香水用の花の栽培業は衰退している印象がありました。でもキャロルと会って、300年以上もの間、積み重ねられてきた伝統を受け継ぐことの崇高さを再認識したのです」

キャロルとは、ディオール社のもうひとつの提携農家、ドメーヌ ドゥ マノンを率いる4代目のキャロル・ビアンカラーナのこと。キャロルを通じてディオール専属のマスター パフューマー、フランソワ・ドゥマシーと出会い、アルメルは自分の想いを伝えた。有機栽培でバラを育てたい、という決心だ。

「人工肥料や殺虫剤を極力使用せず、オーガニックで最高峰のバラを育てたい。そう言うとフランソワはきっとできると信じてくれた。共通の言語をもった人にやっと会えた、そう思いました。彼の言葉は素敵な贈り物でしたね」

かくして2012年からディオール社と独占契約を結び、ローズ ドゥ メのアブソリュートを提供している。最高峰のバラの株を手に入れるため苦心をし、70代のイタリア人栽培者から買い取ることにも成功した。微生物を駆使して土壌を整え、またグラースでは数少なくなったチュベローズの栽培に乗り出したいという夢ももっている。

「ラ コル ノワール城を復活させ、今年には香りの研究所も新設する――ディオール社のこの土地に対する投資と意気込みは本物です。私たちの共同作業は、壮大な物語の始まりにすぎません」

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エディターIGARASHI

おしゃれスナップ、モデル連載コラム、美容専門誌などを経て現職。
趣味は相撲観戦、SPURおやつ部員。

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