栗山英樹監督も語る、その魅力。ボールパークには夢がある

「WORLD BASEBALL CLASSIC 2023」開催、新球場誕生、たくさんの人々が野球に胸を熱くする春がやってくる。ハイファッションで身を包み、愛するチームを応援する、この物語の主人公のようにボールパークを目指して

開門と同時に観客席に滑り込む。練習時間から全力応援!

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ブルゾン¥558,800・ニット¥279,400・パンツ¥234,300/エルメスジャポン(エルメス)

プロ選手となった幼なじみの彼を応援するため、彼女は日夜問わずボールパークへ。軽快なクリスピーコットンのアウターとグラフィカルなフォルムを描くトップスは、アクティブなシーンを彩るために最高のスタイリング。落ち着いたボルドーやブラウンなどアースカラーでまとめることでショート丈や肌見せもエレガントに決まり、"モードなサポーター"が完成する。

いつも通りできっと大丈夫。ネット越しに緊張する彼を励ます

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ジャケット¥314,600・タンクトップ¥51,700・ミニスカート¥122,100・靴¥101,200/ステラ マッカートニー カスタマーサービス(ステラ マッカートニー) ソックス・キャップ/スタイリスト私物

モダンなスポーティルックを得意とするステラ マッカートニーが提案するオーバーサイズのボンバージャケットとミニスカートの組み合わせは、暖かな日差しが降り注ぐ春のボールパークによく映える。チアフルなイエローをまとって声をかければ、こわばった彼の顔もほぐれていく。

ミニマルなブラックのドレスは、ベースボールファンとしての正装

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ドレス¥261,800/バレンシアガ クライアントサービス(バレンシアガ)

オールスターゲームなどの球宴には、スリークなシルエットと地面につくほどのマキシ丈が印象的なTシャツドレスを選択。あえて色を差さないオールブラックの凛とした装いに、ボールパークとプレーヤーへの敬意を込めて。ハイネックの首もとに施されたクリーンな白のロゴがアクセントとなり、アクセサリーをつけずとも力強い存在感を放つ。

プレーヤーの気持ちに寄り添いたくて、たまに自分もバットを振る

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トップス¥281,600・パンツ¥297,000・靴¥106,700/ロエベ ジャパン クライアントサービス(ロエベ)

8ビットと16ビット。粗い解像度のピクセルを表現したプリントのTシャツとパンツでバットを振れば、気分は二次元ゲームの登場人物。現実世界でヒットを飛ばすのは難しいけど、ユニークなコスチュームのおかげで気分は上がる。ジョナサン・アンダーソンならではの遊び心あるデザインが、彼女の日々をより色鮮やかなものに変えていく。

情熱の色をまとって最前列へ。今日は負けられない一戦!

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コート¥775,500(参考価格)/クロエ カスタマーリレーションズ(クロエ) キャップ/スタイリスト私物

鮮やかなスカーレットカラーと円熟味のあるボルドー。趣の異なる赤いレザーを掛け合わせたパワフルなコートで、対戦チームのサポーターを圧倒する。野球のボールを彷彿とさせる肩や肘のコードのあしらい、目を引くジップ使い、細部まで計算された美しい一着をまとった彼女は今夜、勝利の女神になる。

記録達成! 彼を支えるパートナーとしてインタビューに参加

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ボディスーツ¥201,300・カーディガン¥293,700/エトロ ジャパン(エトロ)

彼が1試合4本塁打を達成したゲーム終了後に呼ばれ、報道陣の前に立つことに。素晴らしい記録を称えるフェスティブな場にふさわしいのは、華やかなロゴがデザインされたニット素材のボディスーツ。マキシ丈のロングカーディガンをボトム代わりに巻きつける"一歩先"のアイデアも披露したハイレベルな着こなしなら、自信を持ってマイクの前に立つことができる。

いつか行きたいボールパーク案内

エンターテインメント性あふれるボールパークの存在を知れば、野球ファンならずとも足を運びたくなる

エスコンフィールドHOKKAIDOは誰も見たことがない新時代型の球場!

エスコンフィールドHOKKAIDO

北海道日本ハムファイターズの本拠地となるエスコンフィールドHOKKAIDO。その新球場を擁する北海道ボールパークFビレッジが、3月に開業する。日本初となる開閉式屋根つき天然芝球場で、施設内にホテルも併設。さらに世界初の試みとしてフィールドを見渡すことができる球場内クラフトビール醸造レストランがあるほか、サウナや入浴をしながら野球観戦ができる温泉施設があることも大きな話題に! 球場外にもグランピング施設、地産品が並ぶアンテナショップや飲食店が入る商業施設、農業体験施設やアドベンチャーパークなど。エンターテインメント性の高い空間が続々とオープン予定。東京ドーム約7個分の敷地に広がる、世界でも類を見ないボールパークを、ぜひ一度この目で確かめたい。

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1 美しい天然芝と開放的なガラス壁に圧倒される、全天候型スタジアム
2・5 球場内にあるホテル「tower eleven hotel」は内装も野球をイメージ。客室やルーフトップから試合を観戦可能
3 「ととのえテラスシート」(予約制)から試合を楽しむことができる世界初の球場内サウナ&温泉施設 
4 センターバックスクリーンに位置するクラフトビール醸造レストラン。開放的なルーフトップスペースからフィールドを一望できる
6 青空に映えるモダンな外観

DATA
新千歳空港から電車で20分ほどの北広島駅、そこから徒歩19分ほどの場所にオープン。駅からはシャトルバスやタクシーでも移動可能。
北海道北広島市Fビレッジ
https://www.hkdballpark.com/

アメリカにも個性あふれるボールパークが!

アメリカの個性あふれるボールパーク

野球を観戦するだけではなくさまざまなレクリエーション施設を併設し、地域活性化につなげることを理想とする"ボールパーク文化"はアメリカが発祥。チェイスフィールドは右中間にCrèmily Pool Suiteというプールに入りながら観戦できるゾーンがあり、常に予約が埋まっているほど人気を集めている。オラクルパークは心躍る巨大なコカ・コーラやグローブのオブジェが観客を待ち受け、実はコーラ瓶の内部は、滑り台となっている。ほかにも繁華街の中心に位置するペトコパークは開放感あふれる球場外から犬と観戦する人がいるほか、球場内外野席部分には子どもが遊べる砂場を設置。遊び心あふれる仕掛けの数々は大人でも心躍ること間違いなし!

侍ジャパン監督、栗山英樹さんにインタビュー

野球人、栗山監督が語るボールパークの面白さとは、「今ここ」で起きているホンモノを肌で感じること

 

侍ジャパン監督、栗山英樹さん

命懸けで取り組む姿に人は最も感動する

ボールパークで野球を観る楽しさとは何だろう。昨年、野球日本代表(侍ジャパン)の監督に就任した栗山英樹さんは、「球場へ来るのに、野球のことなんて何もわからなくても大丈夫」と答える。

「僕が子どもの頃は、大概の人なら野球の知識をそれなりに持っていて当たり前という時代でした。でも今は違います。だからまず、遊びにきてもらうことが大事。きっかけは何でもよくて、たとえばスタジアムグルメ目当てやビールをおいしく飲むためでもいい。グッズを集めるのも楽しい。昨シーズンのきつねダンス(北海道日本ハムファイターズの応援で行うチアダンス)のように、演出に巻き込まれてみるのもオッケー。それらを入り口に観始めると、今度は気になる選手が出てきたり試合展開にわくわくしたりして、ルールも頭に入ってくるものです。詳しくなると、まるで監督のように『何をやっているんだ!』と叱咤をし始める方も(笑)。僕はそうやって批判されるのはいい文化だと思っています」

侍ジャパンの監督になる前には、ファイターズの監督を10年近く務めていた。その間に、人々の観戦スタイルは多様化。テレビやネット配信で野球中継が手軽に見られる時代に、わざわざ足を運んで観戦する意味を見出せない人もいるのは確かだ。

「実は、映像と生とでは気づくところが違うんですよ。現地ではカメラが映していない、たとえば全然関係ないところで全力疾走している選手や、反対に気を抜いたプレーなども目に入る。小事が大事というか、そんな小さなことからチームが盛り返したり崩れたりするのがわかる場合もあります。目の前で見ていて何を感じるかは人それぞれ。自分で感じてほしいし、それは人に決められるものではなく、感じたことが正解なので。ほかの人の答えと合致する必要はありません。球場ではそういったものを見つけてもらえたらと思います」

パンデミックにより現地で試合を楽しむことが容易ではなかったここ数年。ようやく昨年から少しずつ規制が緩和され、生で観るハードルが下がってきた。

「観戦に限らず、どんな問題でも答えを見つけようとすると、それは現場にしかないと思っています。肌で直接感じること、その場の空気から受け取ること、それがホンモノ。膨大な情報が入ってくる現代だと、若い人はそれで満足してしまうかもしれない。だけど本当に大切なものは現場にあるんです。それを感じていただきたいですね」

在籍していたファイターズは、今春、新球場を中心とした「北海道ボールパークFビレッジ」を北広島に誕生させる。

「Fビレッジは球団や関係者、ファン、みんなの夢でした。竣工式にも行きましたが、本当にすごい。監督のときから新設の経緯は把握していたものの、実際に完成してみると驚きます。日本はもちろん、アメリカのいろいろな球場にも足を運びましたが、今の時点だと世界一ではないでしょうか」

楽しんでもらえるハコは出来上がった。次に観客を迎える側、プレーヤーとしてすべきことは、試合での勝利、そしてプロとしての素晴らしいプレーを見せること。

「勝利は大前提。その上で、誰にもできないようなプレーや、高度な技術を見せるのはプロとして当然ですが、見る人が何に最も感動するかというと、人間が命懸けで取り組む姿です。若い人たちもそこは斜に構えずしっかり受け止められる。僕がファイターズの監督をしていたときには、たとえ負けていたとしてもその姿勢だけは見せられるはずだと選手にずっと言い続けました。超一流の選手はそれを繰り返すことができるから、ファンが見にきてくれるんです」

 

振る舞いや生き方、魂が、最後の勝負を決める

3月から野球世界一を決める大会、「ワールドベースボールクラシック(WBC)2023」が始まる。今大会では日本代表として、アメリカメジャーリーグで活躍中の大谷翔平選手やダルビッシュ有選手、日本からも昨季史上最年少の3冠王となった村上宗隆選手や2年連続パ・リーグMVP、沢村賞を受賞した山本由伸選手らが選ばれている。

「日本もアメリカも、驚くほどのトッププレーヤーたちが出場します。彼らが一堂に会することはほぼないので、WBCはものすごい選手たちのプレーを見るチャンスです。それからボールがグローブにさわるかどうか、ベース際でアウトかセーフかというぎりぎりのところを見てほしい。紙一重の結果が何で決まるのか。それは技術ではなく、その人の日頃の考え方や振る舞い、もっと言うと生き方や魂、人間なら持っていなくてはならないものが最後の勝負を決めると僕は信じています。それを日本国民は感じてくれるはずです。侍ジャパンは超一流選手の集団。好き勝手にやってもらって構わない。ただルールは一つ。日の丸のために全力を注いでくれということだけです。それは突き抜けた選手にしかできないので。僕が言わなくても彼らはよくわかっていますし、魂を持ってやってくれると思います」

栗山英樹プロフィール画像
栗山英樹

1961年、東京生まれ。創価高校から東京学芸大学を経て1984年に東京ヤクルトスワローズに入団。1990年に引退後キャスターに転身し、白鷗大学教授に。2012年、北海道日本ハムファイターズの監督に就任。同年リーグ優勝、2016年には日本一に導いた。2021年退任し、日本代表監督に。