part.1 フーディたちが今一番好きな店は?

食べることは生きること。どんなときも妥協なくおいしいものを求め続ける6人のフーディが、心をときめかせ、舌と記憶に刻むレストランは? 

AC HOUSE/西麻布

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平野紗季子さん(フードエッセイスト)

自然の恵みを享受し、未知なる食体験を

シェフは20代からオスロの3ツ星店「Maaemo」でスーシェフを務め、日本橋「Caveman」のヘッドシェフを経た黒田敦喜さん。"あっちゃん"の愛称を持つ彼が、木造の一軒家に店を構えた。
「美しい10皿は、あらゆる食文化や料理技法をクロスオーバーさせ、ずらしや裏切りのスパイスを効かせて新しい味覚を表出させます」と平野さんは語る。

メニューは1カ月半ごとに変わっていく。今なら、栗の渋皮煮には黒にんにく、にんじんの花のピクルス、豚の背脂などを。メルティなサバのバーニャカウダには、いちじくの葉っぱのオイルや富士山の麓にある農園から届くユニークな野菜たちを約8種も添える。細部まで徹底的に自家製にこだわり、焼く、蒸すのほか独自の"発酵"の調理法も見え隠れ。

「おいしさの約束が背骨のように貫かれているので、あとはこちらも未知なる冒険を楽しみ尽くすのみ。店側にすべてを委ねて、思いきり楽しんでほしいです」

ひらの さきこ●雑誌や文芸誌などで多数の連載を持つほか、ラジオ「味な副音声」(J-WAVE)のパーソナリティ、スイーツブランド「(NO) RAISIN SANDWICH」の代表を務め、食を中心とした活動を行う。

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1 シェフの黒田さん自ら生産地や作り手を訪れ、愛情を注いで作られた食材を仕入れる。繊細に移ろう四季の魅力を、日本の陶芸家の器に表現する。写真のいちじくのアロマが芳しい、サバのバーニャカウダはコースの2皿目
2 1皿目の栗の渋皮煮と黒にんにく。5種以上の要素が入った革新的な組み合わせながら、滋味豊か
3 ギャラリーのような白い空間にはカウンターキッチンと日本のブランドTenonのイスを配置。アンビエントミュージックが鳴り響くなか、料理に没入したい

Information
エーシーハウス
東京都港区西麻布2の7の7
03-6419-7566 
営業時間:19時〜、12時〜(土曜のみ)
定休日:日・月曜
※予約制、1人¥12,000+サービス料7%
Instagram: @ac_house_jp

アジェ 有楽町店/有楽町

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市川紗椰さん(モデル)

高架下に登場。京都発だしでいただく"町焼き肉"

「自粛期間中、味わうことができなかった料理が焼き肉。名店のセットやロースターを買ったものの納得いかず。シンプルゆえに味や雰囲気、接客すべて含めてのエンターテインメントなのだと」

予約必須のおしゃれな焼き肉店が増える一方で、市川さんが注目するのは、気軽に通える煙モクモク系の"町焼き肉"。
「有楽町のガード下にできた『アジェ』は、京都市内で展開する大好きなお店の東京店。京都から直送し、厨房で迅速に下処理したホルモンや赤身肉は、とにかく新鮮! 厚みがあってぷりっぷりの看板メニュー『ホソ(小腸)』は、だしをくぐらせるから、こってりなのに後味はあっさり上品。都内では珍しい『天肉(牛ホホ肉)』のほか、サイドメニューも充実していて、見た目は豪快だけど、繊細な味わいの『スジ大根』や生肉系も。何を食べても間違いなくおいしいので、肩肘張らずにガツガツ食べてほしい。このお店ならひとり焼き肉もアリです!」

いちかわ さや●モデル、タレントとして活躍。趣味は、読書やアニメ、 鉄道、美術と多岐にわたり、突き詰める主義。集英社『BAILA』で「週末アートのトビラ」を連載中。 http://saya-ichikawa.com

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4 網の上で焼いているのは天肉¥1,000と純白のホソ¥750。テッチャン¥1,000や上ハラミ¥1,900など、赤身からホルモンまでズラリ。タレと塩から選べ、それぞれだしをつけて食す。自家製の白菜キムチ¥550やもやしナムル¥580も
5 JR有楽町駅より徒歩1分。「京都の河原町の風情に溶け込む木屋町店も好きでしたが、ガード下ならではの適度な雑多感(でも店内は非常に清潔!)も魅力」
6 2種のタレと生姜をつけていただく、滋味豊富なおいしさ。名物スジ大根(大)¥1,200。小サイズもあり

Information
アジェ ユウラクチョウテン
東京都千代田区丸の内3の6の10
03-3212-0707
営業時間:16時〜22時LO
定休日:月曜(祝日の場合は営業、翌日休)
Instagram: @age_yurakucho

YAUMAY/有楽町

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国井美果さん(コピーライター)

ドラマティックな空間で本格飲茶と点心を堪能

独自の視点で名店を発掘する国井さん。
「ここは年の瀬に親しい人たちと忘年会やお祝いをする、特別感のあるお店です」と語る。指揮をとるのは、名門ホテルで研鑽を積んだ料理長。素材の魅力が生きるアツアツの飲茶や点心に加え、前菜や焼き物など、伝統の味に緻密な手仕事と華やかなエッセンスを加えた品々が並ぶ。
「キビキビ働く点心師たち、立ち上る湯気、舞台美術のようなしつらえ。食を題材にした演劇を見ているような気分で、贅沢かつ面白いひとときを楽しんで」

くにい みか●人と人をつなぐ言葉やアイデアで企業活動に関わる。主な仕事は資生堂「一瞬も 一生も 美しく」、KIRIN「よろこびがつなぐ世界へ」。NHK「カムカムエヴリバディ」のコピーなど。 http://kuniimika.com/

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7 国井さんおすすめのメニュー。新鮮な素材を用い、できたてにこだわる帆立焼売¥1,200とニラ蒸餃子¥900。自家製のタレをかけて食べる、揚げ湯葉と海老の腸粉¥1,500
8 自家製ダレで煮込み、ジャスミン茶で燻す、キビまる豚のジャスミンスモーク¥6,800。骨つき肉特有のだしとうま味!
9 パリ在住のデザイナー、米川淳さんが手がけるドラマティックな空間。臨場感あふれる厨房が広がる。緑を望むテラス席も

Information
ヤウメイ
東京都千代田区丸の内3の2の3 二重橋スクエア2F
03-6269-9818
営業時間:11時30分〜15時(14時30分LO)、17時〜22時(21時LO)、11時〜22時(21時LO)(土・日・祝)
無休
※サービス料10%
Instagram: @yaumay_dimsum

Kitchen QH/白金高輪

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ツレヅレハナコさん(文筆家)

無国籍スタイルのおばんざいをお酒と

健啖家のツレヅレさんお墨つき。二毛作営業の店舗にて営むおばんざい料理店。
「白金高輪にある"呑兵衛のオアシス"。店主はニューヨークでバーテンダーをしていた吉井南美さん。京都・丹波にあるご実家の無農薬・減農薬の野菜を主役にしたお盆にみっちり並ぶ小鉢料理は、ワクワクが止まらない! 和洋中の垣根を越え、ハーブやスパイス、ほのかな酸味をきかせるセンスもすばらしい。ナチュラルワインなどお酒のセレクトもいいので、昼飲みがしたいときにぜひ」

つれづれ はなこ●お酒とそれに合う料理を提案。一方で「おいしいと聞けばどこまでも」の精神で、食べ歩きに余念がない。インスタグラム(@turehana1)も人気。『まいにち酒ごはん日記』(幻冬舎)など著書も多数。

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10 ビーツとぶどうのサラダやトマトとズッキーニのサブジなど、日替わり小鉢11〜15種+魚か肉がつく。おまかせ おばんざいプレート 大¥2,000。中¥1,600や小¥1,000も
11 「オリジナリティあふれる店作りや料理、南美さんの温かな人柄に、一瞬でファンになりました」とツレヅレさん
12 基本はランチから夕方までの営業で、水曜のみ夜まで。ナチュラルワインはグラス¥1,000〜、クラフトビールは¥900〜

Information
キッチン キューエイチ
東京都港区高輪1の1の3
03-6450-2312
営業時間:11時30分〜17時30分、〜20時(水曜のみ)
定休日:日・月曜
Instagram: @kitchen_qh

鮨うめざわ/八丁堀

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桂まりさん(ライター)

味、サービス、価格。完璧なバランスの鮨店

新しい才能やセンスを求め、週2回は外食をする桂さん。最近ときめいたのが「八丁堀にて、梅澤直幸さんが奥様とお弟子さん3人で切り盛りするお店。お鮨の食べ歩きをしている友人に連れて行ってもらったのがきっかけ。ネタのよさ、雰囲気、良心的な価格帯……非常にバランスがいいので、リピート必至です」。

豊洲市場で仕入れる魚介は、鮮度がいいまま使ったり、時には寝かせたり。赤酢と米酢を加えた熟成米・銀坊主とやさしく溶け合う。ばらちらしや太巻きも人気。

かつら まり●世界各国を旅し、各地の料理教室にも通うほどの食いしん坊。食と旅にまつわる記事を中心に執筆し、T JAPANのwebやMarisol Onlineでフードコラムを執筆。Instagram: @marikatsuraでもグルメ情報を発信中。

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13 昼の部の握りは12貫+巻き物(お椀・手作りのデザートつき)¥5,500。写真はコハダと中トロ、穴子。注文時は、1貫ずつ握ってくれる。夜の部の価格は¥13,200〜
14 御影石のカウンターのほか個室も。「野菜や果物を使った月替わりのアイスも手作り。心が伝わるおもてなしに惹かれました」
15 イクラや穴子、エビ、自家製の煮ダコや煮しいたけ、約12種をのせた昼限定、特製ばらちらし¥2,725。持ち帰り限定、特製太巻き¥4,320(要予約)も
16 八丁堀駅から徒歩5分

Information
スシウメザワ
東京都中央区入船2の6の10
03-6222-8322
営業時間:12時〜13時30分最終入店(火・木・土のみ) 17時〜21時30分最終入店
定休日:日曜・祝日
Instagram: @sushi_umezawa

Maison KEI/御殿場

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甲斐みのりさん(文筆家)

富士山の麓で味わう美しいモダンフレンチ

仏ミシュラン3ツ星の小林圭シェフ率いるパリの「Restaurant KEI」と老舗「とらや」による御殿場のレストラン。根底にあるのは、地産地消への心がけと素材の魅力を活かしきる"大地の料理"。

「シグネチャーは、庭園風季節のサラダ。そして旬の食材とともにとらやのあんを合わせるデセールのヴァシュラン。美しさ、味わい、パフォーマンス性含め、新しいスタイルの料理に出合える。内藤廣さんによる、富士山を見渡せるガラス張りの空間や温かなサービスも魅力です」

かい みのり●旅や散歩、おやつ手みやげ、クラシックホテルなどを題材に雑誌・書籍・webで執筆。著書に『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』(エクスナレッジ)など。11月に『乙女の東京案内』(左右社)を上梓予定。

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17 30種以上の野菜やハーブ、お花を、アンチョビのマヨネーズやトマトのドレッシング、レモンの泡など4種のソースとよく混ぜて食す一皿。庭園風季節のサラダ(コースの一例)
18 和洋折衷のデセール、ヴァシュラン。秋はメレンゲに栗の甘露煮やアイス、カシスのソルベにとらやのあんなどを合わせて
19 「富士山を眺めながらのフレンチはきっと記憶に残るはず。食後は、東山旧岸邸やとらや工房にもぜひ立ち寄ってください」

Information
メゾンケイ
静岡県御殿場市東山527の1
0550-81-2231
営業日:11時30分〜、17時30分〜
定休日:火・水曜
※サービス料10%、ランチ¥4,800〜、ディナー¥5,500〜
Instagram: @maisonkei.gotemba

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