ソウルからKTXで東大邱駅に。朝市内を出て夜戻るスケジュールも十分可能な、話題の樹木園に足を運びたい。洗練された余白のある空間と自然に身を委ねて、心を空っぽにして 建築と自然が調和する樹木園で熟考と瞑想のひとときを 韓国の慶尚北道軍威郡に生まれた、広大な樹木園「思惟園(サユウォン)」。創設者はもともと鉄鋼会社を営んでいたユ・ジェソンさん。32万㎡超の巨大な土地に、植林された108本あるカリンの木や百日紅、ケヤキ、松、モクレンなどの樹木と、いくつかの建築物が点在する。コンセプトは「考える庭園」。権威ある賞も受賞するポルトガルの建築家、アルヴァロ・シザをはじめ、韓国人建築家の承孝相(スン・ヒョサン)や造園家などのスペシャリストたちが協働し造園した。 全体を回るとおよそ4〜5時間ほどの散策路をたどると、モダンな施設や伝統家屋、庭園などに出合える。ゆったりと設計された余白のある空間に身を置いて、思索にふける時間を過ごしたい。 DATA慶尚北道軍威郡缶渓面雉山孝令路1150054-383-1278営業時間:9時〜17時(入場は15時まで)定休日:月曜 ※要予約(平日₩50,000、土日祝₩69,000)ソウル駅からKTXで東大邱駅まで約2時間、駅からタクシーで約45〜60分Instagram:@sayuwonsayuwon.com 承孝相が設計した「金烏幽玄台」(写真上)やアルヴァロ・シザが設計した高さ20.5mの「巣台(ソデ)」(写真下)の展望台からは、思惟園全景を一望できる。金烏山(クモサン)のたたずまいや、森の中の「逍遥軒(ソヨホン)」など、目の前に広がる風景は展望台ごとに異なる アルヴァロ・シザによる「逍遥軒」の内部。天井から吊るされたアイコニックな彫刻の前で写真撮影をする人も多い 「モクレンギル」(1時間)、「百日紅ギル」(2時間)、「カリンギル」(3時間)、「松(老松)ギル」(4時間)と所要時間ごとに4つのおすすめコース案内も。参考にしながら有意義に散策しよう 30年間かけて大切に育てた、樹齢300年のカリンの木の庭「風雪幾千年」。穏やかな空気が流れ、まるで風景画のような美しさ 承孝相が思索のための池として造った「思潭(サダム)」。欅の木立にウォーターフロントのパフォーマンス舞台(写真右手)として設けた。左手には観客席がある 渓谷や池が調和する韓国伝統の亭子(あずまや)、「史野亭(サヤジョン)」。創設者が集めた松の木と石材を生かして造られた韓国庭園「瀏園(ユウォン)」にある 承孝相による「瞑庭(ミョンジョン)」。豊かな樹木の世界からあえて空間を遮断し、コンクリートの壁、水、空だけが視界に入る設計に。心地よい静けさが身にしみる 「玄庵(ヒョンナム)」では予約制のコースディナーが(観覧料込みで1人平日₩250,000、土日祝₩269,000・17時〜18時30分の1回制、2日前までに要予約)。同じく要予約でランチもあり。ディナーメニューのメインの一部は海老と椎茸の蒸し物と薄切りのサーロインなど。パノラマの絶景とファインダイニングでの韓国料理で至福のひととき