2月のお悩み / 【理想と現実】で思い悩むあなたへ

2023年に突入し、新年の抱負を立てた方も多いのでは? でも、理想を高く掲げるほど、現実とのギャップに思い悩んでしまう瞬間だってある。毎月2つのお悩みに向き合う新連載。 初回の2月は、【理想と現実】がテーマです。読者の方から寄せられた切実なお悩みに、考えるイラストレーター、描き子が答えます。

♥描き子/ Twitterフォロワー数3万人を誇る、“考えるイラストレーター”。親や夫、子供との関係に悩んだ自身の経験を活かし、より多くの人の生きづらさを解消しようと積極的に発信している。

旅に出ようとする女性のイラスト

【お悩み①】 充実している毎日。“結婚”って、必要でしょうか?

▶ほみさんのお悩み

人生も30代に突入。結婚や出産など、周囲のライフステージが刻一刻と変化していくのを、痛切に感じる最近です。

そんな私はというと、2年前に希望の業種に転職。仕事に没頭しながら、充実した日々を過ごしています。ですが、やはり近ごろ頭をよぎるのは “結婚” の二文字。今の自分に満足しているのですが、例えば“祖父母にひ孫を抱かせたい……”など、周りを見ていると色々と思うところもあるのです。

ただ、“この人と一緒にいたい!”という相手に出会えない。街コン、アプリ、合コン、色々と試してみたものの、手ごたえナシ。職場恋愛は、イコール異動になるので絶対にNG。 今の自分が最高なので、“これ以上楽しく面白く幸せにしてくれる人、果たして存在するの!?”なんて思う瞬間もあります。 樹木希林さんは、結婚は“物事の分別がついたらできない” なんて言葉を残されていますが、30歳の今年、どんな風に身をこなしてゆけばよいものか悩んでいます。

♥ 描き子の 「幸せの要点」

順風満帆に思えるほみさんの人生。“今の自分が最高”と言えるポジティブな気持ちがとっても素敵です。満足している“今”に、「結婚・出産」を付け加えるべきなのか? これは本当に難しい問題です。選択肢としては、大きく二つの方向性があります。


一つは、出産にはタイムリミットがあるのだから、迷う気持ちがあるならとにかく今は結婚を目指してトライアンドエラーを繰り返してみること。今はいいと思える人に出会えなくても、明日にでも大きな変化が訪れるかも。とにかく出会いの数を増やすことで、チャンスも広がるはず。時間は有限だ!さあ急ごう!

一方で、結婚しない選択肢だってあります。“結婚・出産をすれば幸せになれる” なんて保証はどこにもないし、自分の幸せをつくるのはいつだって自分自身。どんなときも、私たちは自分自身で幸せを掴み取れるはずなんです。だから、自分が心の底から熱望するのでない限り、結婚・出産にこだわる必要なんてない。後々になって「やっぱり結婚したい!」となれば、その時に真剣に考えるでも良いのです。世間の圧なんかに縛られず、あなたはあなたの人生を生きて!

2つにパックリ分かれた道。そのどちらが正しいかなんて、一体誰に決めることができるでしょう? この問いには、きっとコレという答えなんかないのです。

♥そこでこんな隠し味

結婚にせよ出産にせよ、人生における新しいステージに入るのって、例えると旅行に行くようなものではないでしょうか。


ガイドブックは沢山売られてるし、行ってきた人の話もいくらでも聞くことができる。でも、自分がその旅で何を得られるのかは、行ってみるまで決してわからない。いざ行ってみれば新しいことづくしで苦労も多いかもしれない。だけど、忘れられないほど輝く瞬間に出合うこともある。どうなるかなんて分からないけれど、その「分からなさ」も含めて、旅の楽しさの一部ですよね。結婚や出産も、一つの経験という意味で、それとよく似ています。


だから、もしも結婚・出産にチャレンジする道を選ぶなら、「人生をもっと良くしてくれる誰かじゃないと!」と思うより、「旅のパートナー」を選ぶような気持ちで向き合うのはいかがでしょうか。視点に柔軟さが生まれれば、出会う男性の意外な良さに気づかされることだって増えるかも。これまでの人生を上手に乗りこなしてきたほみさんならば、きっと、結婚(および出産)という新しい経験も楽しめるだろうと私は思います。

♥ 2月の格言①

どの道を選ぶかより、どの道でも楽しむ決意が大事!


【お悩み②】 分かっているのに行動できない。こんな自分を変えたい

▶ふーにゃさんのお悩み

今年の目標は、ズバリ「仕事もプライベートも優先順位をつけて計画的に」。

やる気が起きないことを後回しにして、今やらなくてもいいようなことを先にやってしまう傾向があるのです。40代ですが、自分はあまり要領がよくないなあ……という自覚があります。時には気分に任せるのも大事だと思いますが、仕事で納期ギリギリになって「早く着手しておけば良かったな」と後悔することが多々。そんな自分に嫌気がさして、理想と現実の間で悩んでいます。分かっているけどなかなか実行できないとき、行動を変えるちょっとしたポイントがあれば知りたいです。

♥ 描き子の 「幸せの要点」

やる気が出ないことになかなか着手できず、気づけばギリギリになっている……。きっとよくある悩みだけれど、太刀打ちしにくいやっかいさん。

この悩みを解決するために私がおすすめしたいのは、ポモドーロ・テクニックという方法です。これは1980年代にイタリアの起業家フランチェスコ・シリロが発案したもので、仕事に集中する時間と 休憩時間を繰り返すシンプルなもの。 一般的には25分の仕事と5分の休憩を1セットとし、3・4セット繰り返したら少し長めの休憩をとります。 重要なのは、この25分の間だけは絶対に他のことをやらないこと。スマホを触ったり、コーヒーを追加しに行ったりする行動も一切なし。とにかく仕事に集中します(トイレぐらいは仕方ないですけどね)。

目に見えない「時間」という資源。これを何セットという塊として捉えることで、時間を計画的・効率的に使うことができるようになるわけです。

仕事でもプライベートでも、やるべきことが積み上がる前に、タスクが入ったらすぐタイマーをセット。そんな風に習慣づければ、「わかってるけど手につかない」なんて悩むスキもなくなるかもしれません。

とはいえ、どんな方法にも向き不向きがありますよね。この方法でふーにゃさんのお悩みが改善するかどうかは、やってみなければわからないところではあります。

♥そこでこんな隠し味

私が紹介したポモドーロ・テクニック以外にも、時間管理のテクニックは世の中にたくさん存在します。その中から自分に合う方法を見つけるというのも大事なことですが、こうしたテクニックを色々と試してもいまいち改善が見られないとすれば、もしかすると、悩みの根本にあるのは目標に対するブレかもしれません。

どんな理想や目標も、実現させるにはハッキリとブレない姿勢が必要です。仕事もプライベートも優先順位を考えて、テキパキやる! そう決めたら、そこから目を逸らさないことです。ついつい忘れてしまうとしたら、いつでも見えるところに貼っておくくらいの勢いで意識に刷り込むのです。

逆に言えば、目標を立てる際に「ブレない姿勢で取り組めることだけを掲げる」というのも重要な視点だと思います。目的が曖昧すぎたり、実は、本心から目指していることではなかったり……。掲げた目標に行動が追いつかないときは、まず行動自体を見直す。それでもうまくいかないとすれば、目標の方を見直してみることも、時には必要ではないかと思うのです。

♥ 2月の格言②

行動にはルールを、目標には覚悟を!

プロフィール画像

描き子

イラストレーター、ライター。親や夫、子供との関係に悩んだ自身の経験を活かし、より多くの人の生きづらさを解消しようとSNSを中心に発信をしている。著書に、『推しにも石油王にも出会えない私たちの幸福論』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『女と男、このしんどさは誰のせい? わかりあいたいのに、なぜかすれちがう』(永岡書店)がある。Twitter@kaqico

 

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